『継続は力なり』ということわざがありますが、同じことを何年も続けるのは、容易なことではありません。
『あること』を子供の時から続けていたという不神イェーガー(@fuo_fficial)さんに、注目が集まっています。
14年間、描き続けた漫画
不神イェーガーさんが子供の頃に始めたのは、『ブータくん』という漫画の制作。
そこから14年もの間、同作を描き続け、全215巻で完結させたのだそうです。
「誰か、完結させた俺をほめてくれ」とコメントし、Xに1巻と214巻の表紙を投稿したところ、20万件以上の『いいね』が付くほどの大反響となりました。
話題となった2冊を、見比べてみてください!

子供らしいタッチから、美しい絵柄に!
変わったのは、表紙だけではありません。内容も、だんだん変化していったようです。

当初は、ブタと牛のキャラクターによる、ギャグ漫画調だったのが、描いていくうちに、バトル漫画になっていったのだとか。
ちなみに、バトル漫画になった後も主役は変わらず、214巻に描かれているキャラクターの、向かって右側がブタ、左側が牛のキャラクターです。
Xにはストーリーの一部が公開されており、「面白すぎる!全部読みたい」「本当に長期連載だ。完結させたのがすごい」といった称賛の声が届きました。
『継続は力なり』を体現した、不神イェーガーさん。どんどん迫力を増す、素晴らしい物語で、多くの人の心を動かしたのでした。
『ブータくん』制作秘話
14年の歳月を経て完結した『ブータくん』。制作の経緯について、不神イェーガーさんに、お話をうかがいました。
――『ブータくん』を描き始めたきっかけを教えてください。
小学生の時に訪れた牧場で、のびのびと暮らすブタや牛に癒され、特典でもらったメモ帳に記念として描いた絵が、このキャラクターたちの原点です。
そこから、のんびりとした内容のギャグ漫画を描き始めました。小学生ながらいろいろ考えてたどり着いたのが、あの1巻なんです。

メモ帳に描かれた実際のイラスト 右が初めて描いたブータくん
――ギャグ漫画から、バトル漫画に変化した転機はいつでしたか?
転機が訪れたのは、中学生の時です。「テイストを変えたい」と思い立ち、漫画『ドラゴンボール』『ONE PIECE』『HUNTER×HUNTER』から着想を得て、戦闘技術『メテオ』の設定を盛り込みました。
最終決戦でも、ブータはこの技を使って、ラスボスを倒すんです。『メテオ』のおかげで、一気に物語の展開や世界が広がったと思います。

左:最終決戦で『メテオ』を発動するブータ(211巻)、右:『メテオ』初登場シーン(49巻)
――最終話の演出は、いつから決めていましたか?
物語の締めくくりについてずっと考えていた頃、テレビアニメ『進撃の巨人』の最終話が放送されました。そのラストに感動し、「原点回帰するような終わり方がいい」という結論に達したのです。
完結した時は、達成感と少しのさびしさが入り混じった不思議な感覚でした。今まで描いていた思い出も全部よみがえってきて、正直ウルっときましたね。

『ブータくん』ラストシーン
――長編を書き続けるモチベーションは、やはり読者の声ですか?
実は、家族や親せきに無理やり読んでもらっていたくらいで、人に見せる機会はほとんどありませんでした(笑)。
それでも続けられたのは、漫画や映画、ライブなど、気持ちを昂らせてくれる作品や場所に触れることで、自然と創作意欲が湧いてきたからだと思います。
また、「『ブータくん』を面白くするにはどうすればいいか」を常に考え、アイディアを書き留めていたことも大きいですね。漫画を描くことそのものが、描き続けるモチベーションになっていました。
「描くこと自体がモチベーション」だといい切った、不神イェーガーさん。
『ブータくん』は多くの人を惹き付けましたが、一番のファンは、どんな時でも作品を描き続けた、作者自身だったのでしょう。
14年間、作者に愛されながら完結までたどり着いた『ブータくん』。人々の心に残った理由は、そこにあるのかもしれませんね。
[文・構成/grape編集部]