住んでいる地域にもよりますが、いわゆる『ご近所付き合い』の一環として、食べ物のおすそ分けが行われることは珍しくありません。
「家庭菜園で採れた」や「親戚から分けてもらったけれど、量が多くて…」といった理由で、食材をもらえると、ありがたいですよね。
しかし、たとえ相手に悪気がなくても、そこには大きな罠が潜んでいるかもしれません。
5月になると増える『ニラと有毒植物の誤食』に要注意!
2025年5月、農林水産省や厚生労働省は、各種SNSアカウントにて注意喚起を行いました。
その理由は、毎年多くの人から被害が報告される、有毒植物の誤食です。草花が芽吹く春になると、さまざまな危険が周囲に潜み始めます。
代表的な誤食が、ニラと有毒植物の勘違い。山菜を採ったり、他人から食材をもらったりした際、毒を含むスイセンを口にしてしまう人が絶えないのだそうです。

ニラ

スイセン
スイセンは、11月から翌年4月にかけて花を咲かせる植物。そのため、5月頃になるとニラと見分けることが困難になり、誤食が増えるのです。
上記の写真を見ても、よほど植物に詳しい人以外は、判別することができないでしょう。「我が家で採れたニラです」と渡されたら、信じるのも無理はありません。
スイセンは全草に有毒成分が含まれており、口に含んでから30分前後に、嘔吐や下痢などの症状に襲われます。海外では、命を落としたケースも報告されています。
スイセン以外の『ニラと間違えやすい危険な植物』
厄介なことに、ニラと間違えやすい有毒植物は、スイセンだけではありません。
ヒガンバナ科のキツネノカミソリやゼフィランサスは、リコリンなどの毒性を含みます。

キツネノカミソリ

フィランサス
これらの写真を見たら分かるように、花でも咲いていない限り、違いを見抜くのは難しいはず。
ニラと有毒植物の誤食については、たびたびネットでも広まりますが、それでも毎回「こんなに似ているとは知らなかった」や「高齢者がいるから家族に伝えておく!」といった声が上がります。
見分けようとするのではなく『少しでも怪しいなら絶対に食べない』
農林水産省や自治体は、有毒植物の誤食を防ぐ方法として『採らない、食べない、売らない、人にあげない』というフレーズを呼びかけています。
外出中に目にした山菜などを採ったり、他人から食べ物を分けてもらったりすることは、時々ありますよね。
ですが、勘違いによって有毒植物を口にしてしまう人は絶えません。過去に被害に遭った人たちは、口をそろえて「大丈夫だと思ったのに」ということでしょう。
なお農林水産省によると、こういった有毒植物の誤食をするのは、およそ半数が60歳以上なのだとか。周囲に高齢者がいる人は、より注意を払うことをお勧めします。
食材は、プロが育てたものを店で購入し、正しく管理しましょう。
[文・構成/grape編集部]