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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年4月スタートのテレビドラマ『キャスター』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
正直に言って、今回第6話のエピソードが、これまでの中で一番見ごたえがある。
過去形にしないのは、決着は次回7話に持ち越されているからだ。
今回の臓器移植をテーマにしたエピソードは、無数の社会問題から何を選び社会に広く知らせるかという、マスコミ報道の存在意義そのものを捉えている。
6話は対立する正義と、その隙間に滑り落ちる弱者という問題を考えさせられる内容だった。

視聴率低下に悩む老舗のニュース番組、『ニュースゲート』の再生のために呼ばれた、元公共放送のキャスター・進藤壮一(阿部寛)。
進藤は、破天荒かつ一匹狼な行動で周囲のスタッフを振り回すが、大胆に対象に踏み込んだ取材でスクープをとる。
当初は孤立していたが、進藤のやり方を理解し始めたニュースゲートのスタッフたちはそれぞれのスタンスで連携しつつ、ニュース番組を作り上げていく。
中でも総合演出担当の崎久保華(永野芽郁)は、過去の因縁から進藤と激しく対立しながらも、その背中から報道としての覚悟を学ぶのだった。

これまでにも回想シーンで、かつて崎久保の家族に進藤が絡んだ大きなトラブルが起き、家族関係が破綻したことが示唆されていたが、今回それが明らかになった。
ひと組の親子の臓器移植をめぐって、「制度の整備を待っては間に合わないゆえに制度の例外を認めるべきだ」と主張する崎久保と、「秩序と安全のためにルールがあり、悪法もまた法だ」と断言する進藤の対決は、息をつめて見入ってしまうほど見応えがあった。
確かに、マスコミの報道には進藤のように広い視野で突き放した視点が必須だが、同時に崎久保のように取材対象に寄り添って、集合知を経ながら問題解決を探ることもまた、必要なことだと思う。
その平行線の両者の間をつなぐのは、やはり本橋悠介(道枝駿佑)だった。

本橋は崎久保にほのかな好意を抱きつつも、彼女には全くその想いは通じていないようである。
特別な相手として崎久保を守りたい思いと、報道チームの同僚として暴走する崎久保をコントロールせねばならない駆け引きが、本橋の中ではせめぎ合っている。
二人が成田空港に向かうタクシーの中で静かに言葉を交わすシーンから、空港に到着して互いの思惑を打ち明けるシーンの、道枝駿佑の表情の繊細なグラデーションは必見である。
大切な人を裏切っている鬱屈から、それでも彼女を守れたのだからこれで良かったのだと、自分に言い聞かせているような表情だった。

先輩の言うことをきき、後をついて回る可愛い後輩ADから、スクープを取るために互いを騙し合う報道のライバルへ。
そして、とっさの判断で、大切な人を守りながら報道チームにとっての最善を選び取る胆力を持ったADへ。
1話目の、おっとりした高学歴・理想主義の坊やの面影はもうない。
「報道の役割とは、スクープを掴むとはどういうことか」そんな進藤から投げかけられる問いを受け止めながら、成長していく本橋を道枝駿佑がどう演じていくのか、楽しみだ。
それにしても、3話の論文データ偽造の回でも感じたが、驚いて目を見開いたり、予想外の展開になって苦い顔をする道枝の表情がとても魅力的だ。
人に振り回されて、そのリアクションが魅力的に『映える』のは、俳優として大きな強みの一つになるはずだと思う。

これからクライマックスに向けて、崎久保の家庭を壊した難病支援の組織をはじめ、一つのロゴマークで繋がっている謎の組織の全容が明らかになるのだろう。
進藤の過去、国定会長(高橋英樹)の思惑、そして時折現れるヒコロヒー演じる胡散臭い清掃員の正体。それらの伏線に加え、山中崇、新納慎也ら、屈指の名バイプレーヤーを迎えた盛り上がりを見届けたい。
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[文・構成/grape編集部]
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