「絶対に排水口に流さないで」　水道工事店が注意を呼びかけ

一般家庭での水のトラブルは多々ありますが、代表格の１つは排水口が詰まって流れないというものでしょう。

排水口が詰まると、それがシンクであれ、トイレであれ、どこであっても大変に困ったことになります。

多くの場合、排水口が詰まるのは『普段のメンテナンスが行き届いていない』というのが原因です。

しかし、「これはNG」という物を排水口に流しているのも一因かもしれません。

排水口を詰まらせないためには、どのようにすればよいのでしょうか。

排水トラブル解消に特化した水道工事店、株式会社HLS（以下、HLS）に取材しました。

排水口を詰まらせる物とは？

HLSに排水口が詰まる原因を聞いたところ、以下の回答がありました。

排水口の水が流れなくなる原因は、排水管の内部に『汚雑物』が堆積するからです。

その症状は『水はけが悪い』『水の流れが遅い』という軽症なものから、『シンクの水がまったく流れない』『排水口に水が逆流してくる』という重症なケースまでさまざまです。

では、なぜ症状に差が出るのかというと…。

これらの程度の差は、詰まっている物質の量と硬さなどが関係しています。

詰まっている汚雑物の量が多ければ、詰まりの程度は重症になりますし、量が少なくても硬いものが詰まれば、やはり同様に詰まりの症状は重くなります。

家庭で詰まりやすい５つの場所ごとに『詰まる原因物質』を見ると、以下のようになるそうです。

トイレの排水口が詰まる原因

男性用小便器の場合、たまっている汚れは主に尿に含まれるカルシウムの成分で、『尿石』と呼ばれます。尿石には薬剤の使用が非常に有効。

普通の洋風トイレの詰まりの場合、その多くはトイレットペーパーの使いすぎが原因です。

お風呂の排水口が詰まる原因

お風呂の排水口を詰まらせるものは、主に頭髪。洗髪時に流れた髪の毛に、シャンプーや石けんの成分が絡み付き、汚物化します。

キッチンの排水口が詰まる原因

『スカム』と呼ばれる油が変性した、ヘドロの詰まりも主な原因に…。油汚れが時間経過とともに酸化して、石けんのように硬く変化します。

洗面台の排水口が詰まる原因

洗剤の成分と皮脂などの汚れが混ざり合い、酸化した汚雑物が主な詰まりの原因になります。

キッチンのスカムほど硬くはないものの、洗面台の細いパイプを詰まらせるには十分な粘度があるので注意です。

洗濯機の排水口が詰まる原因

洗濯機の排水口を詰まらせるのは『繊維くず』です。

ドラム式の洗濯機の場合、いわゆる普通の全自動洗濯機に比べ、乾燥の過程において繊維が多く排出される傾向があります。

排水口に流してはいけない物とは

では、具体的にどのような物を排水口に流してはいけないのでしょうか。以下の５つはNGとしているとのことです。

熱湯

排水口に使われている塩ビパイプ（塩化ビニル管）には耐熱性が低いものがありますが、おおよそ６０℃までは耐えられます。

しかし、それ以上の温度になると破損する可能性があるので注意しましょう。やけどするほど高温の熱湯を排水口に流すのはNGです。

小麦粉

小麦粉は水分が加わると固まる性質があります。そのため、キッチンのシンクなど排水口に多量の小麦粉を捨てるのはNGです。

油

天ぷらやトンカツに使った揚げ油、マヨネーズなどを直接排水口に大量に捨てるのもNG。

油は冷えると固まりやすく、排水管の中でヘドロ状になって蓄積します。

ほかのゴミや食べかすと混ざると『脂肪分スラッジ』という油のかたまりになり、詰まりの原因になるのです。

残飯や『野菜くず』など

残飯や野菜くずが排水パイプ内に流れてしまうと、配管の途中で引っかかって堆積し、詰まらせる可能性があります。

洗い物をする際は、ゴミ受けバスケットは外さないようにしてください。特にネギの根や皮、キャベツの芯などの繊維質は詰まりやすいので、注意しましょう。

割り箸や爪楊枝など

そのまま排水口に流す人はいないと思われますが、これらも配管の中で止まって、ほかの物をせきとめ、詰まらせる可能性があります。

同様にビニールやプラスチック製品などを流すのもNGです。

排水口の写真

※写真はイメージ

排水口を詰まらせる可能性のあるものは流さないのが基本。また、髪の毛や体毛は、洗面台やお風呂場の排水口にたまって詰まらせることがあります。

最後にHLSから、このようなアドバイスがありました。

キッチン排水口の詰まりを未然に防ぐために、もっとも効果的なのは『パイプ洗浄剤』の定期使用です。

排水不良の原因のほとんどが経年による汚れの蓄積です。

月に１回程度でよいので、排水口にパイプ洗浄剤を流すことで、この汚れの蓄積がある程度リセットされます。

また、お風呂場の場合、抜け落ちた髪の毛が排水口に流入しないようにする、ネット状やシール状のヘアキャッチャーが販売されています。

すでに使用されている人も多いかも知れませんが、詰まり防止には非常に効果が高いので、おすすめです。

HLSは、排水口が詰まってしまった時の対処法も紹介しています。

排水口に流してはいけないものを確認のうえ、水のトラブルを未然に防ぎましょう。

[文／高橋モータース＠ｄｃｐ・構成／grape編集部]