草花は場所や時期によって、さまざまな姿を見せてくれます。こうした自然の魅力に触れようと、ハイキングや登山を楽しむ人がいるでしょう。
ただし、植物を楽しむ際には注意も必要。特に初夏は、食べられる山菜と有毒植物を見誤ることによる中毒事故が多く報告されています。
本記事では、身近な植物に潜む危険性について詳しく見ていきましょう。
見つけても絶対食べないで!
鮮やかな紫色が印象的なこの植物を、公園や庭先などで見かけたことがある人もいるでしょう。

※写真はイメージ
この花は『ジギタリス』という、紫色の美しい花を咲かせる植物です。しかし見た目の美しさとは裏腹に、強い毒性を持つ有毒植物として知られています。
葉の形が、かつて天ぷらなどにして食べられていた『コンフリー』に似ていることから、誤って口にしてしまう危険があるそうです。
さまざまな事故や事件の情報を発信する、東京都保健医療局では、ジギタリスを誤食した場合の症状について説明しています。
胃腸障害、おう吐、下痢、不整脈、頭痛、めまい、重症になると心臓機能が停止して死亡することがあります。
東京都保健医療局 ーより引用
重篤化すると死亡する可能性もある点に、驚いた人も多いでしょう。ジギタリスは全草が有毒で、食べると中毒症状を招きます。
また、食べることはもちろん、切り口から皮膚を通じて有毒物質が伝わる可能性も。したがって、むやみに触るのも避けましょう。
自宅で栽培する場合は、誤って口にしないよう、食用の植物とは離れた場所で育てるなどの工夫が必要です。
実は『コンフリー』も危険!?

※写真はイメージ
かつて健康食品として人気があった『コンフリー』。天ぷらにすると、香り豊かでパリッとした食感が特徴でした。
しかしコンフリーには、『ピロリジジンアルカロイド』という毒性成分が含まれており、長期間にわたって多量に摂取すると、肝障害を引き起こしかねません。
現在では、厚生労働省によりコンフリーの製造と販売が禁止されており、摂取も控えるよう呼びかけられています。見かけても、食用にしないよう注意が必要です。
このように、身近にある植物の中には、知らずに口にすると健康被害につながるものもあります。
春から初夏は、山菜採りに出かける人が増えるシーズンです。誤って有毒植物を採取しないように、細心の注意を払いましょう。
加えて、以下のポイントにも気を付けてください。
・採ってもよい場所か確認する。
・山菜の種類を確認する。
・採取方法に注意する。
・山に入るルールを守る。
・山菜の適切な調理法を調べる。
私有地での山菜採りは避けましょう。また、素人が山菜の種類を判断するのは非常に困難です。知らない山菜や見分けに自信がない、絶対に採らないようにしてください。
山菜によっては、アク抜きや下処理が必要となるため、適切な調理方法の確認も大切です。
身近な植物には思わぬ危険が潜むものも多くあります。毒性植物の知識や山菜採りのマナーを理解した上で、自然の魅力を堪能してくださいね。
[文・構成/grape編集部]