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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年4月スタートのテレビドラマ『キャスター』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
境遇も仕事への姿勢も、自分によく似た職場の後輩や部下がいるとして、似ているからといって上手く指導できるかはまた別の話だ。
逆に自分に似ている分、思い入れが過剰になったり、嫌な面が目についたりして難しいのではないか。
『キャスター』の7話、主人公の進藤壮一(阿部寛)と崎久保華(永野芽郁)を見ながらそう思った。

黒豹のように密かにスクープを狙う進藤、正義感で暴走しながら真実を追う崎久保。
取材のアプローチは違えど、進藤と崎久保は本当によく似ている。
幼い頃に家族が崩壊した欠落感を内に抱えながら、ハングリーにスクープを追う。孤独を恐れない。周囲は振り回されるが、その真剣さに惹かれて協力する者もいる。
時に彼女の猪突猛進ぶりにうんざりしつつ、本当に崎久保が道を踏み外しそうな時以外は、進藤は静かに細やかに『はねっかえり』な後輩を見守っている。
そう、自分に似た部下や後輩を指導する時、つくづく「そのやり方は多分間違ってるけど、言っても聞かないだろうなぁ」と我がことのように分かってしまうから難しい。
それは自分が通ってきた道で、同じように失敗の苦さを味わうまで分からないと知っている。
きっと進藤壮一も、そんな気持ちで崎久保を見守っているのだろう。

型破りなメインキャスター・進藤壮一と、報道番組・ニュースゲートの面々が時に衝突し、時に協力しながら社会の暗部をスクープでえぐりだすテレビドラマ『キャスター』(TBS系)。
前回と今回の第7話で、ドラマは臓器売買犯罪と崎久保の過去について描いていた。
この悲壮なエピソードで特に印象に残ったのは、報道者としての進藤の厳しい覚悟だった。
他人の人生に土足で踏み込み報道する者は、ひるがえって自身が報道されることを拒んではならない。
そして、自身が報道したことが二次的に被害をもたらしても、言い訳をしたり、安易な後悔に逃げたりしてはならない。
その覚悟を貫いた末の、娘のすみれ(堀越麗禾)から送信された「うそつき」というメッセージ、元妻の恭子(相築あきこ)の冷淡な態度に、改めて進藤の深い孤独を思う。
社会的には成功していても、誰とも群れず、妻子にも背を向けられて孤独に生きる進藤と、臓器売買の当事者として逮捕されながらも、娘の華からは愛情と尊敬を勝ち得た医師の川島(山中崇)。
二人の対照的な父親に、改めて家族と仕事、幸福について考えさせられる回だった。

エピソードごとの豪華なゲストもまた、日曜劇場の大きな楽しみの一つだ。
今回のゲストは、臓器売買斡旋組織のトップ・深沢を演じた新納慎也と、崎久保の父親で違法な臓器移植手術に手を染める川島圭介を演じた山中崇。
共にあらゆるジャンルの作品で頻繁に見る名脇役であり、どちらかというと悪役というよりは、人のいい人物あるいは陽気な人物の役で見る機会が多い。
しかし今回、特に新納は人を人とも思わぬ冷酷な違法臓器売買のコーディネーターで、柔和な物腰は普段のままで、それが逆に役のおぞましさを引き立てていた。
一方、山中崇の演じた悪役といえば、2021年にテレビドラマ『アバランチ』(フジテレビ系)で内閣情報調査室の冷徹なエースを演じており、感情を排したその演技は特に印象深かった。
ちなみに第4話で盗撮犯としてゲスト出演した馬場徹も、これまで悪役の印象はなかったが、クライマックスでの暴れぶりは凄まじかった。
普段はなかなか見られない、名脇役の別の面、魅力を発見できるのも、日曜劇場という器の大きさならではだろう。

次回から物語は最終章に入る。
過去、進藤の父親に何が起きたのか、テレビ局の会長・国定(高橋英樹)は何が目的なのか。怪しい清掃員(ヒコロヒー)の背後にいるのはどんな人物なのか。
序盤、どうも消化不良に思えた羽生官房長官(北大路欣也)絡みの面々に再びスポットライトが当たる。
厳しく孤独な報道マンの人生の先には何が待ち受けるのか。
それは救いか、それとも哀しみだろうか。
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[文・構成/grape編集部]
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