毎日の調理で使うことが多い、まな板。使用後に洗うことはしても、それ以上のお手入れはしていない人もいるかもしれません。

まな板を長く使うためには、どのようにお手入れすべきなのでしょうか。

1953年創業の有名な包丁メーカー、藤次郎株式会社(以下、藤次郎)に取材しました。

まな板のお手入れ方法

藤次郎によると、まな板は使用後だけでなく『使う前』も注意すべき点があるとのこと。

木製のまな板の場合、使う前に必ず、まな板を水で濡らし、ふきんで水気を拭くというのは必ず行う所作。

これは食材の水分をまな板に染みこませないようにする、昔ながらの知恵です。

木は水で濡らすことで表面に水の膜ができ、臭いなどがまな板に浸透しにくくなる特性があります。

そのため、木製のまな板の場合はこの方法により、臭いだけでなく汚れも付着しにくくなるとのこと。

ただし、濡れたままだと食材にまな板の水分が付いてしまうため、その都度布巾で余計な水分を拭き取るといいそうです。

一方、抗菌剤が配合されていることが多い樹脂製のまな板。水をつけて、布巾で拭き取っておくことで、抗菌剤の効果を発揮できます。

抗菌剤は水に濡れることにより銀イオンを発生させ、雑菌の発生を抑制する効果があります。乾燥した状態ではほぼ効果が期待できないので、注意してください。

藤次郎によると「揚げ物などの水濡れが気になる料理以外は、まな板を使う前に水で濡らし、ふきんで水気を拭き取るという一連の流れを覚えておくことが大切」とのこと。

この前提のもと、以下のお手入れを行うのがよいといいます。

水と洗剤で洗う

魚や肉など臭い移りしやすい食材は、切った後に洗剤で洗い流す必要があります。

専用まな板を使用することが理想ですが、用意できない場合はまな板の裏表で食材を切り分ける、まな板シートなどを上に敷くなどの工夫も長持ちさせる秘訣。

また、魚や肉類はタンパク質が含まれているため、使用後にそのままお湯を掛けるとタンパク質が固まり、汚れ落ちが悪くなります。

水と洗剤でまず洗い、その後に熱湯をかけて消毒しましょう。

立てて保管して自然乾燥

まな板は洗い終わったら自然乾燥させてください。しっかり乾燥させれば雑菌などの繁殖を防ぐことができます。

また、まな板は板状のため、特に木製の場合は反りや歪みなどが発生する可能性が…。

反りを防ぐためには、木目が縦になるよう立てて保管することを心掛けましょう。片面だけに直射日光が当たったり、熱が加わったりする場所に置かないでください。

材質に合った除菌消毒

最近では除菌効果のある洗剤などがあり、「そのまま付着させておくと除菌できる」というものもあります。

しかし、木製のまな板の場合は付着させたままにすると、黒ズミの原因になる場合が…。洗剤は残さずに早めに洗い流しましょう。

除菌消毒の方法は以下の通りです。

・木製のまな板の場合

洗剤で洗った後、熱湯を表面にかけて除菌を行うのがおすすめ。

刃によるキズが多くなっている場合は、粗塩を表面にまぶし、タワシで水洗いをするか、クレンザーなどの研磨材を利用すると、細かいキズ内部の汚れも落ち、除菌効果が期待できます。

また、重曹をまな板にすり込むことでも同様の効果が。何回かに一度、このような処理を行うことをおすすめします。

・樹脂製まな板の場合

布巾に塩素系漂白剤を含ませ、まな板全体に被せるようにかけて、5分程度放置。その後、洗剤を使って洗い流すことで除菌効果が期待できます。

まな板は濡らしてから使う?乾いたまま? メーカーに聞いた『正解』は…
まな板の写真

※写真はイメージ

まな板の黒ズミの対処法

抗菌効果のないまな板には、黒ズミが発生することがあります。発生した場合は以下のように対処するのがおすすめです。

・木製のまな板の場合

粗塩や重曹などをすり込んで洗うことで、黒ズミは落ちやすくなります。

そのほか、木工ヤスリを使って表面を削ったり、厚いまな板の場合は業者に依頼してカンナ掛けしてもらったりする方法もあります。

・樹脂製まな板の場合

漂白剤を入れた洗い桶などで浸け置きします。洗い桶に入りきらない部分には、漂白剤を付けた布巾などで覆うようにします。

藤次郎からのアドバイス通り、まな板を使う上での基本動作として、『水を掛ける・ふきんで拭く』という一連の動作を覚えておくといいですね。

[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]

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