パイナップルの缶詰に入っている液は、甘くておいしいですよね。
この液のファンは少なくないようで、中には「果肉を食べた後に全部飲む」という人もいるのだとか。
では、パイナップル缶に入っている液とは、どのようなものなのでしょうか。
パイナップルの缶詰でおなじみの、株式会社ドール(以下、『Dole』)に取材しました。
パイナップルの缶詰の液の正体は…
――パイナップルの缶詰に入っている液の正体は?
パイナップルの缶詰に入っている液は『シラップ』です。砂糖水を煮詰めた液が、『シラップ』となります。
『シラップ』は農林水産省が定めている正式名称で、『シロップ』と同じ意味で使われています。
――『シラップ』は1種類しかない?
実は、砂糖には、果物の甘みや風味を底上げする役割があり、果物のおいしさをさらに引き出す役割を担っています。
缶の裏面を見ていただくと『エキストラライトシラップ、ライト・シラップ、ヘビー・シラップ、エキストラヘビーシラップ』の表記があり、これにより甘さ(糖度)が分かります。
『Dole』では缶詰の各果物別に『シラップ』を決めており、例えばすっきりした甘さを求めるミカン缶詰は14%(ライト・シラップ)、濃厚な甘さを求めるモモやパイナップルの缶詰はそれぞれ18%(ヘビー・シラップ)など、果物のおいしさが引き立つように工夫しています。
――『シラップ』はなぜおいしい?
缶詰に入っている『シラップ』をおいしいと思う秘密は、それぞれの果物の液が溶け出しているからではないかと思います。
果物は水分を豊富に含んでおり、『シラップ』に漬かり、缶に詰められて保存される間に、それぞれの果物のおいしさが液に染み出します。
そのため、缶詰に入っている『シラップ』は、果物のおいしさが溶け出した液といっていいかもしれません。それで、おいしく感じていただけるのでしょう。

画像提供:株式会社ドール
『フルーツカップ』でも工夫している!
『Dole』では「『シラップ』以外の液に関しても、さまざまな工夫をしている」とのこと。
缶詰ではありませんが、コンビニエンスストアなどでプラスチック容器に入った『フルーツカップ』を見かけることがあるでしょう。これに使われている液も、実は特殊なものです。
例えば『スウィーティオゴールド缶』では「芳醇な甘みのパイナップル果汁が、熟成パインのおいしさを引き立てるよう設計している」とのこと。
※『スウィーティオゴールド缶』は2025年現在、一次販売休止中です。

画像提供:株式会社ドール
『フルーツカップ』のこだわりについて、以下のように教えてもらいました。
『Doleフルーツカップ198g』(『至福のマンゴー』『贅沢ピーチ』『満足フルーツミックス』)の液部は、砂糖不使用・果汁100%です。
果汁にはフルーツのピューレをミックスし、濃厚で飲みごたえのある『液(果汁)』と『果肉』が、どちらも主役といえる当社こだわりの商品です。
ピューレにも秘密があります。例えば『満足フルーツミックス』のピューレには、流通や加工の過程で『規格外』となってしまう『もったいないバナナ』と『もったいないピーチ』を、『至福のマンゴー』のピューレには『もったいないマンゴー』を、『贅沢ピーチ』には『もったいないピーチ』を活用。
いずれもフルーツそのもののおいしさをお届けしながら、フルーツロスの削減にも貢献する商品と自負しています。
パイナップルの缶詰に入っている液がおいしいのは、糖度を工夫して最適なものとし、果肉の成分も染み出ていることが理由かもしれません。
「今まで缶詰・フルーツカップの液は飲んだことがなかった」という人は、一度飲んでみてはいかがでしょうか。
[文/高橋モータース@dcp・構成/grape編集部]
取材協力株式会社ドール