2025年7月16日、東京都内で『芥川龍之介賞(以下、芥川賞)』と『直木三十五賞(以下、直木賞)』の選考委員会が行われました。
第173回となる今回は、芥川賞・直木賞ともに『該当作品なし』と決定。
ともに該当作品がなかったのは、1998年1月の第118回以来、6回目とのことです。
予想外の結果に、多くの人が驚きの声を上げました。
芥川賞・直木賞ともに『該当作品なし』
第173回芥川賞の候補作は、以下の4作。
・グレゴリー・ケズナジャット『トラジェクトリー』
・駒田隼也『鳥の夢の場合』
・向坂くじら『踊れ、愛より痛いほうへ』
・日比野コレコ『たえまない光の足し算』
また第173回直木賞の候補作は、以下の6作です。
・逢坂冬馬『ブレイクショットの軌跡』
・青柳碧人『乱歩(らんぽ)と千畝(ちうね) RAMPOとSEMPO』
・芦沢央『嘘と隣人』
・塩田武士『踊りつかれて』
・夏木志朋『Nの逸脱』
・柚月裕子『逃亡者は北へ向かう』
芥川賞について、選考委員の川上弘美さんによれば、候補作を2作まで絞り、議論を重ねたものの、2度目の投票でも過半数には満たず、該当作なしとなったとか。
「芥川賞は新しい視点をもたらしてくれる賞であってほしい」とし、今回新しい試みなどもたくさん見られたものの「もうひと踏ん張りしてほしい」という思いがあったといいます。
直木賞について、選考委員の京極夏彦さんは「各作品のレベルが拮抗している」といい、「最終的にどれか1つを選ぶわけにはいかないという意見が、選考委員全員の総意として落ち着いた」と伝えていました。
1935年に制定された、芥川賞と直木賞。ともに該当作がないケースは珍しいとのことです。
該当作がなく「残念だ」という声が上がっている一方で、「むしろ全候補作がよかった結果なのでは」というポジティブな意見も上がっていました。
多くの書店で、芥川賞と直木賞の候補作が展開されているとのこと。
両賞ともに『該当作なし』にはなったものの、候補作をチェックするために書店を訪れる文学ファンは後を絶たないでしょう。
[文・構成/grape編集部]