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SNSを中心に注目ドラマの感想を独自の視点でつづり人気を博している、かな(@kanadorama)さん。
2025年7月スタートのテレビドラマ『19番目のカルテ』(TBS系)の見どころを連載していきます。以下、ネタバレが含まれます。
かなさんがこれまでに書いたコラムは、こちらから読めます。
『19番目のカルテ』(TBS系)の4話を見終えて、改めて見事だなと思うところがある。
4話は、夫が糖尿病と診断され、夫婦で栄養指導を受けているが、一向に改善しないひと組の夫婦の話である。

糖尿病に紛れて特殊な病気が隠れていたり、まるで超能力のような問診があったりすることもない。
つまり地味なのだ。設定としてはとことん地味なのに、見始めると視聴者を惹きつけて45分があっという間だった。
これは徐々に人物像を立体的に見せていく脚本、無駄を削り落として丁寧に編まれたセリフ、静と動を繊細に調節する演出、そして俳優陣の間合いを狙いすました演技。
全てが噛み合った上での効果だと思う。
作中で滝野みずき(小芝風花)が、生活習慣病に悩む患者夫婦に語りかけた言葉がある。
「小さな積み重ねが、大きな変化に繋がっていきます!」
まさにそんな、いぶし銀のエピソードだった。

とある地方都市にある総合病院、魚虎総合病院。そこに新設された総合診療科にやってきた医師、徳重晃(松本潤)。
飄々としてつかみどころのない徳重は、同僚の専門医たちに煙たがられながらも、徐々に理解者を増やしつつある。
整形外科から転科して総合診療科にやってきた滝野もまた、徳重と仕事をともにしながら自らの医師としてのありようを模索していた。
その総合診療科に、滝野の同期で内科医の鹿山慶太(清水尋也)からの紹介で、糖尿病の患者の安城耕太(浜野謙太)と妻の早智(倉科カナ)が診察に訪れる。

4話で印象深かったのは清水尋也が演じる鹿山のキャラクターだ。
仕事で嫌なことがあっても、上手く気晴らしをして自分をコントロールする。
手帳を活用して感情を整理し、トラブルへの対処もマニュアル化してそつがない。
苦手なことを無理に追わない。興味のないことには徹底して効率重視。

確かに20~30代にいる。彼らは意識が高く、賢明で優しくて、そして閉じている。
鹿山も閉じているが、同期の滝野といる時には、閉じた輪が綻ぶのが興味深い。自分を守るために閉じてはいるけど、諦めているわけではない。
鹿山は淡白に見えるが、同時にそれは安定でもあるならば、医者の資質としては長所だ。
徳重が鹿山を良い医者だと評価したのはその意味もあるのだろう。
そんな、慎重に自分を守って生きるZ世代の青年を、清水尋也が目線から一挙手一投足まで繊細に演じていた。
とりわけ徳重のアドバイスに真剣に聞き入る滝野を見る目線には、羨ましさと揺れがあって、その一瞬の表現力にさすがだと思った。

今回、松本潤演じる徳重は、これまで以上に引いた立ち位置で若い医師2人と患者夫婦の4人を見守っている。
後半の全員揃っての問診のシーンでも、滝野と鹿山に任せて言葉少なだ。
しかし、ここというタイミング、これを逃したら解決の糸口が失われるという瞬間に徳重は患者に語りかける。
その瞬間は、夫の耕太が小さな声で呟く言葉だ。

「仕事で…」その言葉を、徳重はすかさず「仕事で?」と繰り返して会話を繋げる。
おそらく、徳重はこれまでの滝野と鹿山の聞き取りの結果から、何が治療を阻んでいるのか気づいている。
そして、本人が勇気を出して妻や他人にそれを話すことが出来なければ、疾病は治せても『病』を克服できないと判断している。
患者が語り出す瞬間を掴む松本潤の瞳は、まるで魔法使いのようだと思う。
若い医師2人に、患者の現状を分析するときのマクロとミクロの視野を説明する時の徳重の表情も、生き生きとして楽しげだった。
誰かを導きながら見守る医師という役に、松本潤は予想以上にハマっている。

来週はとりわけ専門性の高い診療科のひとつ、心臓血管外科医である茶屋坂心(ファーストサマーウイカ)がメインとなる話のようだ。
ゼネラリストの総合診療医、徳重と対極にある癖の強いスペシャリストの専門医との出会いはどんな物語を奏でるか、楽しみだ。

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[文・構成/grape編集部]
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