子供が犯罪に巻き込まれないよう、さまざまな対策をしている保護者は多いでしょう。

少し想像してみてください。

もし、あなたが誘拐犯だとしたら、子供をさらう際はどのようなタイミングを狙いますか。

もちろん想像するのは不快で不適切ですが、犯罪者の視点を一度だけ考えることは、被害を防ぐために有効です。

犯人が狙うのは、長時間ではなく『大人の目が一瞬でも離れる瞬間』。そのタイミングがトイレに行く時であることが多いのです。

本記事では、筆者が元警察官として現場経験を踏まえ、犯罪者視点で見たリスクと、保護者や施設が今すぐできる具体的な対策を紹介します。

なぜトイレが危険なのか?

トイレは外出時に保護者の監視の目が離れる数少ない場所です。

子供が1人でトイレに行く時。あるいは保護者がトイレを利用している間に子供が外で待っている時。

このタイミングこそ、外出中でもっとも危険な瞬間といえるでしょう。

トイレ前で起きる恐怖 親が知らない『落とし穴』を元警察官が解説
トイレ前の通路の写真

※写真はイメージ

また、トイレ前で子供がじっと待っていると、保護者もついスマホを触ってしまうことがあります。

そのわずかな隙こそが、犯人にとっては絶好の機会です。

実際に筆者が勤務していた当時も、子供がトイレ前で待っている際に「何歳なの?1人なの?」と声をかけられる事案がありました。

幸い実害はありませんでしたが、保護者の戻りが遅ければどうなっていたかと考えると、今でもゾッとします。

保護者ができる対策!『見える・人通り・スマホ禁止』を意識する

子供がトイレを利用する時、保護者はどんなことに気をつけたらよいのでしょうか。

保護者ができる最大の対策は、以下のように『監視を途切れさせない』ことです。

・必ず見える位置で待つ

子供が入る時も出てくる時も、出入口を常に視界に入れておきましょう。

・人通りのあるトイレを選ぶ

不審者は人目を嫌います。利用するなら、人の出入りが多いフロアや明るい場所のトイレを優先しましょう。

・スマホを触らない

待っている間のスマホ利用は控え、周囲に注意を払ってください。

筆者が経験した事案でも、保護者がスマホを触っていた数分間に声かけが起きたケースがありました。

『見える』『人通り』『スマホ禁止』。この3点を意識するだけで、トイレ前のリスクは大幅に下げられます。

トイレ前で起きる恐怖 親が知らない『落とし穴』を元警察官が解説
スマホを見る女性と子供の写真

※写真はイメージ

子供ができる対策!『離れない・叫ぶ・戻る』を習慣にする

子供自身に伝えておきたいのは、以下の通り『離れない・叫ぶ・戻る』の3つです。

・保護者から離れない

「トイレが終わったらその場から動かない」ことを約束にしておきましょう。

・異変を感じたら大声を出す

とにかく大きな声で「助けて!」と叫ぶこと。できれば「知らない人に声をかけられた!」と伝えられると、周囲の理解がより早まります。

・その場からすぐ戻る

怖いと感じたら迷わず保護者のもとへ走って戻るようにしましょう。

筆者が関わった事案でも、大声を出したことで周囲の大人が駆けつけ、被害を防げたケースは少なくありません。

トイレ前で起きる恐怖 親が知らない『落とし穴』を元警察官が解説
泣いている子供と女性の写真

※写真はイメージ

保護者と子供でルールを徹底!

トイレは外出先で子供が『1人になる数少ない場所』であり、保護者の監視が途切れる瞬間です。だからこそ過去には事件や声かけ事案も発生しています。

保護者は『見える・人通り・スマホ禁止』を意識し、子供は『離れない・叫ぶ・戻る』を習慣にしましょう。

このシンプルなルールを徹底するだけで、トイレ前のリスクは大きく減らせます。

筆者が警察官時代に学んだことは『危険は大げさに予防するぐらいでちょうどいい』ということ。

親子でルールを共有し、今日から実践してみてください。

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[文・構成/りょうせい]

トイレ前で起きる恐怖 親が知らない『落とし穴』を元警察官が解説
りょうせいさんの顔写真
記事執筆 りょうせい

元警察官。警察歴10年。
交番勤務を経て、生活安全課の捜査員として勤務。
行方不明やDVなどの「人身関連事案」を対応しつつ、防犯の広報・企画業務を兼務。
現在は警察の経験を生かし、Xや音声配信(StandFM)にて、防犯情報を発信中。


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