ようやく夏の暑さが落ち着き、徐々に肌寒くなってきた2025年10月現在。
もうしばらく経つと、赤や黄色に色づいた葉が美しい季節になります。
一方、その美しい光景の裏で、多くの家庭を悩ませるのが『落ち葉』の問題です。
特に、隣家の木の枝が自宅の敷地にまで伸びてきていると、「掃いても掃いても、落ち葉がなくならない」と、モヤモヤしてしまうでしょう。
※写真はイメージ
弁護士「2023年の法改正で大きく変わりました」
それでも「トラブルになるのは避けたい」と考えて、なかなか言い出せずにいる人も多いはず。
そもそも敷地に侵入してきた木の枝を、自分で切ってはいけないのでしょうか。
大阪府大阪市で、まこと法律事務所を運営する北村真一弁護士にうかがいました。
――隣の家から伸びてきた木の枝は、勝手に切ってもいいのですか。
かつては「勝手に切ってはダメ」というのが法律のルールでした。しかし、2023年4月の民法改正によって、ルールが大きく変わりました。
新しい法律では、一定の条件を満たせば、自分でその枝を切り取ることができるようになったのです。
――『一定の条件』とは、どのようなものでしょうか。
いきなり勝手に切っていいわけではありません。以下の3つのステップを踏むことが大切です。
まずは、木の所有者に「枝を切ってください」とお願いします。お願いをした後は、相当の期間(通常は2週間程度)は待機しましょう。
期間を過ぎても切ってくれない場合、自分で枝を切り取ることができます。
また、「隣人が誰だか分からない」「台風で今にも枝が折れそうで緊急を要する」といった特殊なケースでも、切ることが可能です。
ちなみに、地面の下から伸びてくる『根っこ』については、昔から変わらず、発見次第自分で切ってしまってOKです。
ご近所トラブルにしない、賢い『伝え方』
自分で切れるようになったとはいえ、やはりご近所とは円満な関係を築いておきたいものです。いきなり法律の話を持ち出しては、相手も心を閉ざしてしまうでしょう。
角を立てずに、こちらの困りごとを伝えるには、『感情的にならず、客観的な事実を、低姿勢で伝えること』が大切です。
「お宅の木の枝から落ちる葉の掃除が、少し大変になってきまして…」
「もし、枝が枯れているようでしたら、台風の時などに折れてしまわないか心配でして…」
※写真はイメージ
このように、相手を責めずに『私が、こう困っている』という視点で伝えるのがポイントです。
その上で、「もしご迷惑でなければ、こちらで切りましょうか?」と提案してみるのも、相手への思いやりが伝わる、素敵なコミュニケーションかもしれません。
法律での解決はあくまでも最終手段。相手を思いやる気持ちがあれば、穏便に解決できる問題はたくさんあるはずです。
気持ちのいい秋晴れのように、ご近所づき合いも晴れやかな気分で過ごしたいものですね。
[文・取材/ことのは 構成/grape編集部]
まこと法律事務所 代表弁護士。
「きたべん」の愛称で大阪府茨木市で知らない人がいないという声もあがる大人気ローカル弁護士。
猫探しからM&Aまで幅広く取り扱う。
HP⇒まこと法律事務所

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