10月末のハロウィンを象徴する文化は、やはり『仮装』でしょう。街にはお化けや魔女、アニメキャラクターなどにふんする人が増え、『非日常』が楽しめる季節です。

そんなハロウィンの時期になると、ひときわ賑わうのが、東京都豊島区の池袋エリア。

にぎわう理由は、2014年から毎年開催されているコスプレイベント『池袋ハロウィンコスプレフェス』です。

『池ハロ』という通称が定着し、3日間でなんと10万人以上が訪れる一大イベントへと成長しました。

12回目の開催を終えた2025年10月30日現在、これまでの歩みを振り返ります。

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベントを楽しむ参加者たちの写真

©池袋ハロウィンコスプレフェス2024

10万人以上が訪れる『池ハロ』 ハロウィンの街を彩る圧巻の光景

主催するのは、豊島区のほか、動画サイト『ニコニコ動画』などのエンターテインメント事業を手掛ける株式会社ドワンゴなどでつくる実行委員会。

会場は、大通りや公園、商業施設、飲食店など、池袋の『街全体』です。

コスプレイヤーだけでなく、カメラマンや家族連れ、観光客といった幅広い層が訪れ、海外からの参加者も多数。

パレードでは、多彩なキャラクターにふんした人々が大通りを練り歩き、街を彩ります。

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベント会場でレッドカーペットを歩く参加者たちの写真

©池袋ハロウィンコスプレフェス2024

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベント会場でポーズを決める参加者たち

©池袋ハロウィンコスプレフェス2024

撮影会やステージイベント、飲食メニューの出店など、一般客が楽しめる企画も豊富で、まさに『誰もが主役になれる祭典』と言えるでしょう。

12回目の模様を取材! 悪天候も過去最高の来場者数に

2025年は『池袋ハロウィンコスプレフェス2025 Powered by dwango』と銘打ち、同月24~26の3日間に開催。grapeは25日の模様を取材しました。

あいにくの悪天候にもかかわらず、会場には多くの参加者が集まり、寒さを吹き飛ばすほどの熱気に包まれていましたよ。

パレードでは、個性豊かな約400人のコスプレイヤーたちがレッドカーペットを颯爽と歩き、来場者の注目を集めました。

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベント会場でレッドカーペットを歩く参加者たちの写真(撮影:grape編集部)

撮影:grape編集部

コスプレ姿の女性による腕相撲大会や、コスプレをきっかけに結婚した夫婦『新コスさん』の紹介コーナーといったユニークな企画も。

会場ではコスプレイヤー同士はもちろんのこと、カメラマンや一般客たちも和気あいあいと会話し、交流を深める様子が印象的でした。

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベントで交流を楽しむ参加者たちの写真(撮影:grape編集部)

撮影:grape編集部

海外からの参加者も数多く見られ、『グローバルな文化祭』のように感じました。

参加者からは「いろんな人とつながれるのが楽しい」「普段と違う自分になりきれて、自信が得られる」といった声が聞かれましたよ。

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベントの会場の写真(撮影:grape編集部)

撮影:grape編集部

12回目の『池ハロ』は3日間でなんと、過去最高となる16万1千人が来場したそうです!

今や日本を代表するコスプレイベントとして広まった『池ハロ』ですが、実は、イベントを企画した背景には、地域の深刻な課題があったといいます…。

日本を代表するコスプレイベント 知られざる企画背景が?



『池ハロ』が企画されたきっかけは、日本創生会議の報告で、豊島区が東京23区で唯一『消滅可能性都市』に指定されたことでした。特に若い女性人口の減少が問題視されていたのです。

一方で、池袋は、女性に人気のアニメや漫画に関連するショップが多く立ち並び、サブカルチャーが根づくまちでもあります。

そこで同区は、若い世代に人気のコスプレ文化に着目。コスプレを通じて街の魅力を世界に発信しようと、複数のエンターテインメント企業と実行委員会を立ち上げ、2014年の初開催にこぎつけました。

前例のない試みだけに、開催までの道のりは決して平坦ではなかったようです。

企画プロデューサーが語る 『池ハロ』の歩みと現在地

grapeの取材に、『池ハロ』の企画プロデューサーを務める株式会社ドワンゴの橋口雄樹さんは、立ち上げ当時をこのように振り返ります。

池袋の街全体を会場とするため、地域住民はもちろん、企業の関係者など、さまざまな方の理解と協力をいただく必要があったんです。

2014年の初開催時は、できる範囲の小さな規模からスタートし、改善を重ねながら少しずつ拡大してきました。

関係していただいた方たちには本当に感謝しています。

地域との丁寧な対話をこつこつと重ね、街ぐるみでの協力体制を築いた結果、イベントの規模を年々拡大することができたといいます。

街中でコスプレ姿を楽しめる非日常感や、多彩な企画が人気を呼び、参加者も増加。国外からの参加者も増えました。

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベントを楽しむ外国人たちの写真

©池袋ハロウィンコスプレフェス2024

会場を『街全体』とすることで、一般客も楽しめる、これまでにないコスプレイベントになったといいます。

橋口さんはイベントの特徴について、次のように話します。

コスプレイベントの会場は、専用の場所や、閉鎖された屋内で開催されることが主流でした。

『池ハロ』の特徴は、街中で実施することで地域住民と参加者が自然と交わる、開かれた場をつくっている点です。

参加者同士の交流だけでなく、地域住民や訪れた人とのコミュニケーションも生まれ、新しいつながりや、コスプレ文化への理解が育まれているのではないでしょうか。

小さな子供の参加者も増え、街のにぎわいの創出にもつながっていると感じます。

コスプレが『個人の趣味』にとどまらず、池袋の街全体を巻き込む文化へと成長したことがうかがえます。

参加者の誰もが主役になれる空気感が、街の魅力をさらに引き立てているようです。

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベントの会場の写真

©池袋ハロウィンコスプレフェス2024

今後の展望について、橋口さんはこう語ります。

コスプレイヤーやカメラマンたちがより安心して楽しめて、地域住民や海外の人などにも広く参加いただけるイベントに成長させていきたいです。

参加者が好きなことを「好き」と言えて、個性を表現できる場所になるように取り組んでいきたいですね。

400人のコスプレイヤーが街中を歩く! 一大イベントが始まった深刻なワケが…
コスプレイベントの参加者の写真

©池袋ハロウィンコスプレフェス2024

地域のにぎわいを生み、人と人とをつなぐ場として根づいた『池ハロ』。

池袋が、日本を代表する『コスプレの聖地』として知られるきっかけの1つにもなりました。

『池ハロ』は、参加者が自分の『好き』を自由に表現できて、世界中の人々を笑顔でつなぐ場であり続けるはずです!

[文・構成・取材/grape編集部]

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