3歳・5歳・7歳の子供の健やかな成長を祝う行事、七五三。
華やかな晴れ着をまとわせ、神社やお寺にお参りに行くのが習わしになっています。
近年は、着物をレンタルするのが一般的になりましたが、中には家族の誰かが幼い頃に着た1着を受け継いで使う家庭もあるでしょう。
義祖母から譲り受けた『七五三の着物』
2025年12月8日、umi(@0eee23)さんがXに投稿した『七五三の写真』が反響を呼んでいます。
3歳になる次女の七五三のお祝いに、義祖母から譲り受けた着物を着せたという、umiさん。
その着物は100年近く前のもので、義祖母が7歳の時に東京都の写真館で撮影したモノクロ写真も残っていました。
100%の絹糸から作られた、貴重な正絹(しょうけん)で作られた着物をまとった義祖母。髪型や装いから当時の雰囲気が伝わりますよね。
義祖母はこの写真を撮影後、戦争のため地方に疎開したそうです。着物は戦火を乗り越えて、現在まで大事に保管されてきました。
次女の晴れ着姿に『9万いいね!』
umiさんは譲り受けた着物を、実家の近くにある和裁の得意な近所の人に頼んで、次女に合うように調整してもらったといいます。
そして七五三のお祝いの日に、親戚や家族の前で次女はかわいらしい晴れ着姿を披露しました。その時の写真が、こちらです。
なんて素敵…!
着物は、鮮やかな赤色と黄色の布地に、縁起物の手鞠(てまり)の柄が描かれていて、とても華やかで愛らしいデザインです。
100年近い年月が経っているとは思えない、きれいな状態で、持ち主がいかに大切に保管してきたかが分かります。
義祖母は「古いものを押しつけてしまったみたいでごめんなさいね」と恐縮していたそうですが、ひ孫娘の晴れ姿には感慨深いものがあったことでしょう。
後ほど、umiさんにお礼のメッセージとともに「激動の時代を大きな病気もなくこの歳まで生きられたので、あやかってもらえたら幸いです」と想いをつづってくれたといいます。
義祖母と次女の『七五三の写真』は、人々の心に響いたようです。投稿には9万件以上もの『いいね』がつき、多数のコメントが集まりました。
・めちゃくちゃ素敵。状態よく保存されていて、かなり貴重だわ。
・娘さんの写真を見た瞬間、「あーかわいい!」って声が出ました。
・戦争を生き延びた晴れ着…胸が熱くなる話に泣きそうです。
・新しい着物もいいけど、受け継がれたものは物語があって素敵です。
・着物を継いでいくエピソードに感動。いいものを見られました。最高!
grapeは投稿したumiさんに取材。着物を譲り受けた経緯や、着物を着た娘さんと義祖母の反応について詳しく話をうかがいました。
着物を譲り受けた経緯、家族の反応
投稿者「次の世代につないでいきたい」
――着物を譲り受けた経緯について詳しく教えてください。
私の実家には数十年前に私と妹が七五三で着た『産着兼・3歳の着物』が残っており、2015年には長女の産着としても使用しています。
本来であれば、長女の3歳の七五三でもその産着を三つ身に仕立て直して着せたかったのですが、当時は両親が海外在住で着物の受け渡しや準備の都合が合わず、その際はレンタルで対応しました。
約1年前のお正月に義実家で七五三の話題になり、「仕立て直しのお店を探そうと思っているが、ネットで見ていてもなかなか見つからない」と話しました。
すると、義母が「よかったら、うちにある着物も使う?」と声をかけてくださり、ありがたく義実家の着物を数点譲り受けました。
その後、実母が仕立て直しをお願いできる方を見つけてくれたこともあり、最終的には実家と義実家、両方の着物を着せられることになりました。
――着物を着た時の娘さんは、どのような反応をしていましたか。
次女は着物を着るのが初めてだったので、最初は戸惑いが大きかったようで顔も動きも固かったように思います。
嫌がる様子はありませんでしたが緊張しており、撮影中に慣れない草履でつまずいて大泣きしてしまいました。
ただ、その涙で緊張がほぐれたのか、その後はカメラマンさんやスタイリストさんに遊んでもらいながら落ち着いて撮影を続けることができましたよ。
慣れない着物に少し緊張をしてしまっていたという次女。途中転んでしまうというハプニングがあったものの、そんな様子も微笑ましいですね。
また、umiさんはお祝いの席に参加した義祖母をはじめ家族の様子についても、教えてくれました。
撮影当日、義祖母はいつも通り穏やかで静かに温かく見守ってくださいました。次女の着付け中に両家が待っている間に義祖母がご自身の七五三の写真を家族に見せてくださったそうです。
後から母を通して、その写真は東京の写真館で撮影されたこと、義祖母が戦時中に疎開で地方へ移られたことなどを知りました。
とてもかわいらしく、華やかな着物だったので、撮影の場にいた家族みんなが「きれいだね」と口々に褒めていましたよ。
次女にはこの着物の黄色が驚くほどよく似合っていて、私自身も思わず何度も「かわいい!」と声が出てしまうほど感動しました。
最後に「これからも丁寧に手入れをしながら、次の世代へとつないでいきたい」とつづっていた、umiさん。
家族の誰かが着た1着を受け継ぐという選択は、目には見えない絆をつないでいくことなのかもしれませんね。
七五三の晴れ着が紡いだ家族のつながりは、手鞠の柄のようにくるりと円を描きながら、そっと続いていくことでしょう。
※本記事は投稿者様の許諾を得た上で掲載しております。
[文・構成・取材/grape編集部]

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