「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督が人気韓国ドラマの「元カレは天才詐欺師~38師機動隊~」を原作に送り出した映画が6月1日(日)に日本映画専門チャンネルでTV初放送される「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」(2024年公開)だ。
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主演は放送中のドラマ「PJ~航空救難団~」(テレビ朝日系)での教官役が評判の内野聖陽が務め、真面目で気弱な税務署職員の熊沢二郎を演じる。
中野北税務署に務める真面目な公務員・熊沢二郎(内野聖陽)は、天才詐欺師・氷室マコト(岡田将生)の巧妙な詐欺で、自動車の購入資金をだまし取られる。親友の刑事・八木晋平(皆川猿時)の協力で氷室に迫った熊沢だったが、氷室から「あなたが追っている権力者が脱税した10億円を徴収するから見逃してくれ」と持ちかけられる。詐欺の片棒は担げないと葛藤する熊沢だったが、"ある復讐"を果たすために氷室と手を組む。こうして2人は、元役者や偽造のプロなど曲者ぞろいの詐欺師集団《アングリースクワッド》を結成。地面師詐欺を計画し、綿密な作戦によって橘を罠にかけようとする。だが、そのバトルの先には「裏」を読み合う壮絶な騙し合いが待ち受けていた...。

見どころは多々あるが、まずは堅物で小心者の熊沢が、詐欺師集団による"教育"で大胆さを身につけていく過程。内野の演技は完璧で、セリフ回しの強弱や微妙な表情の変化など、場面に応じて細やかな芝居を披露。乱暴な運転をする氷室にビビり、「法定速度を守れ」と叫んだり、強面男を前に逃げ出そうとするなど、小心者ぶりがピカイチだ。
熊沢の部下・望月さくら(川栄李奈)も重要な登場人物。川栄は現在放送中の日本テレビ系ドラマ「ダメマネ! -ダメなタレント、マネジメントします―」で主演を務めており、その振り切った演技でも評判だが、本作ではやや抑えた演技で画面を引き締めている。場の空気にふさわしい大人の演技という印象で、女優としての成長を感じさせた。橘を演じる小澤も嫌みたっぷりな悪役を好演。

物語は単純な騙し合いでは終わらず、ラストシーンまで怒涛の展開となる。共同脚本の岩下悠子は、「相棒」や「科捜研の女」シリーズで名を馳せた腕利きのストーリーテラーだけに、後半に畳みかける波乱の展開はお手の物。最後の最後に思わぬ「仕掛け」も待っているので、エンドロールまで気を抜かずに。撮影中はコロナ禍に見舞われスケジュール変更を余儀なくされ、上田監督自身も感染してリモートでの演出を強いられるなど、現場の苦労も多かったらしいが、2024年秋に公開に至った。そんな映画「アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師」は、内野を中心に芸達者な俳優陣が揃い、上質な演技合戦が楽しめる秀作。最後の仕掛けを見抜けるかどうか、その点にも注目して楽しんでほしい。
文=渡辺敏樹
放送情報【スカパー!】
アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師
放送日時:2025年6月1日(日)21:00~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります