⒞囲碁・将棋チャンネル

1月22日に「ひふみん」こと加藤一二三九段が86歳で亡くなった。テレビでは愛されるキャラクターで有名だったが、棋士としては数々の実績、記録を持つ超一流だ。

今回は加藤九段の持つ記録と、最近破られた記録を見ていきたい。

まずは史上最年長棋士(77歳5ヶ月)の棋録だろう。棋士は順位戦で負けが混むと順位戦から降級し、強制引退となる。60歳までの降級であればフリークラスから、規定の成績をあげて順位戦復帰を狙えるものの、60歳以降でC級2組から落ちると、即引退が決まる。加藤は60歳を過ぎても最上位クラスであるA級に在籍していたため、この年齢まで戦い続けることができた。

これに合わせて60年以上に渡った現役生活は圧倒的な1位で、引退の少し前にあげた77歳での白星は史上最年長勝利となっている。

対局数2505局、そして敗戦数1180敗は歴代1位だ。将棋界は基本的に順位戦以外はトーナメントであり、1敗したら終わりだ。そして先述したように順位戦で負けが混むと引退が近付く。その制度の中で積み重ねた負け数は一流の証明でもある。長く現役を続けたのはもちろん、1つの棋戦で複数負けるためにはリーグ入りしたり、タイトル戦の七番勝負や五番勝負にたどり着く必要があるためだ。歴代2位は有吉道夫九段の1002敗で、いかに加藤が抜きんでた記録かが分かる。

歴代1位の対局数と敗戦数。加藤一二三九段が将棋界に刻んだ金字塔
対局数、敗戦数が歴代1位の加藤一二三
対局数、敗戦数が歴代1位の加藤一二三

現役棋士では4月で64歳になる谷川浩司十七世名人が2374局指し、963敗となっている。また、羽生善治九段は2343局まで対局数を伸ばしている(いずれも2月1日現在)。対局数はいずれ更新される可能性が高いが、敗戦数に関しては簡単ではないだろう。

藤井聡太竜王・名人が破るまで、多くの最年少記録も持っていた。史上初の中学生棋士で、14歳7ヶ月での四段昇段は歴代でも2位の記録だ。制度が現代とは異なるので単純な比較は難しいが、藤井が破るまで62年もの間守られていた。棋戦優勝や昇段記録などは破られていたが、順位戦のシステムや競争率の違いもあり、A級到達の記録は今も破られていない。なお、加藤と藤井は62歳と6ヶ月の年齢差があり、藤井のデビュー戦は将棋界における最も年齢差のあった対局となった。史上最年少棋士と、史上最年長棋士の対局で、この記録が今後破られる可能性は低いだろう。

加藤の持つ珍記録としては、史上最年少でのA級降級がある。これも最多敗戦同様、実力や実績があるからこそなしえる記録だ。

このように数々の記録を持っていた加藤。

次回はエピソードを中心に振り返っていきたい。

文=渡部壮大

放送情報

(将棋)「棒銀とともに熱闘60年」加藤一二三
放送日時:2026年2月27日(金)22:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル (スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります。

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