高橋留美子による最新作として『週刊少年サンデー』で連載中のタイムスリップミステリー×没入型ダークファンタジーの『MAO』が、2026年4月4日(土)より放送がスタートする。令和の現代を生きる女子中学生、黄葉菜花が、ある日"大正時代"へと迷い込み、900年生き続ける陰陽師、摩緒と出会ったことをきっかけに、時代をまたぐ呪いと因縁の謎へ踏み込んでいく物語だ。
主人公、摩緒を演じるのは梶裕貴。クールな佇まいの奥に、長い時間を生き抜いてきた心の影と、ふと滲む優しさを抱えた摩緒という人物を、繊細なトーンで立ち上げていく。放送開始を前に、原作との出会いからアニメ化への思い、摩緒役へのアプローチ、そして第1話の見どころまで、梶に話を聞いた。
――梶さんは高橋留美子先生の作品のファンだったそうですね。本作に出演が決まったときのお気持ちを教えてください
「以前から高橋留美子先生の作品が大好きだったので、まず『MAO』の連載がスタートしたこと自体、一ファンとして大歓喜でした。単行本第2巻発売のタイミングで『MAO』に関するインタビュー取材をしていただく機会があったのですが、その際に、摩緒のイラスト入りサイン色紙をいただいて。そこには『(梶の)出演作を拝見しています』という言葉も添えてくださっていて、手が震えるほどうれしかったのを覚えています。それから数年後、原作プロモーション用の『MAO』ダイジェストムービーで摩緒役にご指名いただき時は、喜びの気持ち以上に『そんな夢のような事態、本当に起こり得るのか?』と半信半疑になってしまうくらいでした(笑)。とはいえ、その時点ではテレビアニメ化が決まっていたわけではなかったので、あまり期待しすぎないように自分を律しつつ......でも、頭の片隅では常に切望していました。だからこそ、実際にシリーズ化が決まり、摩緒役を引き続きお任せいただけると知った瞬間は、夢が叶った喜びと同時に、高橋留美子先生作品に携わらせていただく重みを、あらためて強く感じました」
――高橋留美子先生の作品の中で、特に好きな作品はありますか?
「どれも好きなので選ぶのが難しいですけど......世代としては『犬夜叉』で、やはり中学生の頃にリアルタイムで観ていた作品の記憶は強いです。ただ、最初に認識したのは『らんま1/2』。再放送などで拝見していて、自分にとって初めて触れた留美子先生作品だったので、とても印象深いですね。
――改めて、本作『MAO』の魅力をどう感じていますか?
「小学生の頃に『犬夜叉』の連載が始まり、中学生のときにはアニメ放送を夢中で観ていた世代なので、"現代と過去を行き来しつつ、主人公とヒロインが宿命を背負い、ともに戦っていく"というドラマの骨格には、どこか通じるものを感じています。ただ『MAO』は、過去といっても主な舞台は大正時代。そこに平安時代から続く呪いの物語が重なっていくというストーリーです。緻密で奥深く、とてもワクワクする構成ですよね。摩緒を中心とした主要人物たちの因縁や謎が少しずつ解き明かされていくミステリー性も大きな魅力のひとつだと思います。真実が段階的に明らかになっていく仕掛けが、次を追わずにはいられない引力になっているんですよね。
さらに、令和の女子中学生である菜花のキャラクター性が興味深く、長い時間を生きてきた摩緒との価値観が交差する展開がたまりません。文化や習慣の違いはあれど、二人が交流し関係を築いていく中で、その隔たりが少しずつ埋まっていく感じが絶妙で。その過程に宿る、広い意味での"愛"の描き方こそ、『MAO』ならではの魅力だろうなと感じています」
――演じる中で、改めて「高橋留美子作品が好きだ」と実感したことはありましたか?
「『MAO』は、体感としては95%シリアスな作風だと思うんです。もちろん留美子先生はギャグの天才でもありますけど、ここまでシリアスに振った作品でも、全世代を夢中にさせる力がある。
――摩緒はクールな佇まいが印象的な一方で、ふとした瞬間に肩の力が抜けたような表情も見えるなど、いくつもの側面があるキャラクターだと感じていますが、摩緒というキャラクターを、梶さんはどんな人物だと捉えていますか?
「摩緒はもともと平安時代を生きていた陰陽師。根っこはすごくピュアで優しい人なんです。ただ、呪いにかけられて900年間生き続けてきて、細かい記憶が欠けている部分もある。一人で過ごしてきた時間が長いであろう中で、出会いと別れを繰り返し、時代の変遷も見届けてきたわけです。きっと普通なら狂ってしまうほどの辛さや重圧もあったでしょう。つまりは、そんな900年分の経験値が積み重なっているからこそ、今の摩緒がいるわけです。表向きには口数が少なく、淡々としていて、クールな印象の彼ですが、その奥にいるのは、平安時代から変わらずピュアで優しい摩緒なんですよね。なので、とにかくそんな"根っこ"の部分を大事にしたいなと考えていました。そんな彼が菜花と出会い、ともに過ごす中で、どのように心を開いていくのか。
――摩緒を演じるうえで、難しかったところはありましたか?
「その繊細な温度感をチューニングするのが、とにかく難しかったですね。スタジオ収録の現場自体はすごく和やかで、常にみんなでニコニコ会話しているような空間だったんです。でも当然ドラマの中の摩緒は、常に冷静沈着。そういった和気藹々としたムードに引っ張られてはいけないわけです。声もテンションも基本ロートーンな人物なので、レコーディングが始まる手前でちゃんと切り替えないと、うまく役に入れないんです。とはいえ、立ち位置的には座長的ポジションでもあるので、一人で孤立するのも違うなと思って。なので、休憩中と収録時の切り替え、自分とキャラクターの切り替えに関しては、かなり意識的に行っていました」
――本作には魅力的なキャラクターが多数登場しますが、梶さんが気になるキャラクターはいますか?
「今発表されている中で言うと、乙弥が好きですね。見た目はちびっ子のようで可愛いらしいんですけど、中身は摩緒の式神らしく、淡々としていて肝が据わっていて。そのギャップが魅力的ですし、それを演じる寺澤百花さんの声と表現もすごくマッチしていて」
――アニメ化を経て、人気がでそうなキャラクターですよね
「そう思います。現場でも乙弥のぬいぐるみ欲しいね、みたいな話をよくしていました(笑)」
――その中で梶さんが思う、摩緒のかっこよさはどんなところにありますか?
「経験値というか、それに裏付けされた大人っぽさですね。
――収録現場の雰囲気や、共演者の皆さんとの印象的なエピソードはありますか?
「菜花役の川井田夏海さん、乙弥役の寺澤さんは、いわゆる若手・新人声優さんだと思うのですが、お二人とも"よくぞ見いだしたな"と驚くくらいにぴったりで、本当にお上手で。彼女たちを筆頭に、キャストの皆さんがすごくハマっているなというのは現場で感じていました。今後は百火役の下野紘さん、華紋役の豊永利行くんも登場しますし、他にも強烈な存在感を放つキャラクターがたくさん出てきます。皆さん作品愛が本当に強くて、『このシーン、アニメだとどういう表現になるのかな?』と常にウキウキ話していた現場でした。それから佐藤照雄監督が、ものすごく気遣いをしてくださる方で、毎週のように差し入れをご用意してくださって。旬の果物が確定であるんですよ(笑)。冬から春にかけての時期に頂戴した、見たこともないくらいに輝きを放っていたいちごが強く印象に残っています。みんなそれを楽しみにスタジオに通っているところもありましたね(笑)。
音響監督の菊田浩巳さんは、僕がド新人の頃からお世話になっている大ベテランで、ほどよく現場の空気を締めてくださるお方。
――本作には「木・火・土・金・水」の設定もあります。気になる属性はありますか?
「僕は名字が"梶(かじ)"なので、字は違いますけど、こういう選択肢があるときには、どうしても"火"に意識が向きがちですね。あと、同じ理由で"木"も自然と気になっちゃいます。そんな前提がありつつ"金"は要注目かと。自然界にある要素とは少し違うイメージというか、一番想像しにくいと思うんです。その分、作中でも強力でインパクトのある形で出てくる属性なので、楽しみにしていただきたいですね。相性で戦況が大きく変わる世界観なので、バトルにおける駆け引きにご期待ください」
――摩緒は900年生き続ける、不老不死に近いキャラクターでもあります。梶さん自身は不老不死に興味はありますか?
「僕は全然ないですね(笑)。寿命を全うして、老衰で生涯を終えるのが理想かなと思います。日々生きている中で、もう少し時間がほしいなと感じることはありますけど、ずっと生き続けたいというのとは違うんですよね。それに、自分だけが長く生き続けて、周りの人との時間がどんどんズレていくのは、やっぱり寂しいと思うので。
――放送に向けて、第1話の見どころを教えてください
「色がついて音が入って、生き生きと動き回っている摩緒たちの姿を見て、シンプルに感動しました。アフレコの時から作品へのリスペクトや愛情を強く感じる現場でしたが、だからこそアニメーションとして立ち上がったときの説得力が本当にすごくて。原作のニュアンスを細部まで汲み取って形にしていただいていると思うので、原作ファンの方にもご満足いただけると思いますし、アニメ化を機に初めて『MAO』に触れる方も、毎週続きが気になる展開になっていると思います。何より、まずは第1話をお見逃しなく!」
原作/高橋留美子「MAO」(小学館「週刊少年サンデー」連載)
(C)高橋留美子/小学館/「MAO」製作委員会
取材・文=川崎龍也 撮影=MISUMI
放送情報
TVアニメ『MAO』
放送日時:2026年4月4日(土)より毎週土曜 23:45~
チャンネル:NHK総合テレビ

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