1954年にフランスで誕生したルレ・エ・シャトーは、世界的権威を誇るホテルとレストランの会員組織。
現在、日本では15軒が加盟している。
長野自動車道松本インターチェンジから車で40分、雄大な自然の中にある「扉温泉 明神館」。
こちらの宿でまず紹介したいのは立ち湯の「雪月花」。額に入った美しい絵画を見るような景色の中での入浴だ。
ガラス窓はなく、渓谷からの風を直接感じられる。自然のままの姿で自然に溶け込む、こんな心が洗われるような贅沢を感じる時間は稀にしかやってこない。

大浴場「白龍」もよい。大きな窓から木々の梢がサワサワとそよぐのが見える。露天風呂に出てみれば渓流のせせらぎも聞こえる。
就寝前や朝食前のただのんびりと湯船に身を任せたいときには寝湯「空山」がいい。うっかりウトウトとしてしまいそうになる。

部屋は和室タイプ、ベッドルームタイプ、半露天風呂や露天風呂の付いた部屋など数タイプ用意されている。

筆者は温泉露天風呂付きの部屋を予約していたのでチェックインからチェックアウトまで温泉三昧を楽しめた。小さな子どもの宿泊できない部屋や部屋風呂に温泉が引かれていないタイプもあるので、希望があれば予約時に確認するとよいだろう。

食事においても贅沢を極めている。夕食は懐石、モダン和食、フレンチからの選択制。
料理は自家農園で栽培した高原野菜をふんだんに使用し地元で採れる山菜や川魚などとともに、この土地ならではの味をご堪能できる。特にフレンチには定評があり、フランス人のパートナーを持つご婦人の舌をも魅了したという。



そして最後はホスピタリティの良さだ。温泉宿にして、高級ホテルにいるかのような接遇。
完璧なサービスとその土地の魅力を掌握した料理が奏でるハーモニーによる最良のおもてなしで、ゲストの感性を心地よく揺さぶり、時空間の演出を創造するというコンセプトを掲げるルレ・エ・シャトーに加盟が許されているのも納得できる。
「いつでも優しく扉を開き、貴方の再訪をお待ちしています」、そんなホッとする台詞が似合いの宿である。
住所:長野県松本市入山辺8967
電話: 0263-31-2301
サイト:渓谷のスパ&リゾート・癒しの旅館 扉温泉 – 明神館
(小椚 萌香)