コーヒーの美味しさを競う世界大会「World Brewers Cup」で、アジア人初の世界制覇を成し遂げたバリスタ・粕谷哲氏。トークバラエティ番組『マツコの知らない世界』で取り上げられたほか、さまざまなメディアからも取り上げられ、注目される日本のトップバリスタの一人だ。
そんな同氏が手がけるカフェ「PHILOCOFFEA(フィロコフィア)」が、表参道にオープンした。千葉発のコーヒーカンパニーが、なぜ東京・表参道を選んだのか? その魅力と、ここでしか味わえないスペシャルなコーヒー体験に迫る。
世界チャンピオンの哲学が息づくPHILOCOFFEA
まずは、PHILOCOFFEAのヒストリーから紐解いていこう。
2016年ワールド・ブリュワーズ・カップでアジア人として初めて世界チャンピオンに輝いた粕谷哲氏が代表を務めるPHILOCOFFEA。 “PHILOSOPHY(哲学)”と”COFFEA(コーヒーノキ)”を組み合わせた造語には、コーヒー産業全体をより深く考え、その可能性を追求したいという想いが込められているという。千葉県を中心に店舗を展開し、その実力は多くのコーヒーファンを魅了してきた。
そして2025年3月21日(金)、ついに東京・表参道に都内1号店をオープン。表参道駅から徒歩2分、GREEN TERRACE 表参道の地下1階に店を構える。地下へと続く階段を降りると、そこには黒と白、そして温かみのある木目が調和した、都会的でありながらも落ち着いた空間が広がる。

PHILOCOFFEA全店舗を管轄するのは、エリアマネージャーの大极(おおなぎ)さん。
学生時代からコーヒー好きで、国内大手コーヒーチェーン店のアルバイトを経て、オーストラリアへ“バリスタ修行”へ。その後地元の千葉に戻り、粕谷氏の存在を知ってPHILOCOFFEAに入社した。
店内には大きなカウンターが一つ、抽出の様子を間近で見られるスタンディングスタイルだ。

PHILOCOFFEAのコーヒーは焙煎度合いによって味の幅が異なる。浅煎りならフルーティーな酸味が際立ち、深煎りならコク深く、甘さと切れ味の良いスッキリとした苦みを味わえる。粕谷氏の固定概念にとらわれない焙煎アプローチで、コーヒー豆それぞれの良さを最大限に引き出している。

メニューは、『011 TOKYO BLEND』が1杯800円から。ほかにもラテや、シングルオリジンはホンジュラスやコスタリカ、エクアドルなどの産地から7~8種類ほどを用意しており、中には1杯5000円の非常に希少なパナマ ゲイシャ種も提供している。
注文は、紙か陶器のカップを選び、一杯ずつ目の前で淹れてくれる。香りが次第に広がり、抽出を待つ間のワクワク感が楽しい。
豆の種類も豊富で、10種類ほどの厳選されたコーヒー豆から、好みに合ったものを選ぶことができる。バリスタと相談しながら、自宅でもPHILOCOFFEAの一杯が楽しめるのはうれしい。
大极エリアマネージャーが語る、PHILOCOFFEAの魅力
大极さんは、PHILOSCOFFEAへの想い、そして表参道店にかける意気込みをこう語る。

PHILOCOFFEAエリアマネージャーの大极さん
「粕谷の『コーヒーの世界を幸せと感動で満たす』という思い、そして従業員の人生に何を与えられるかを真剣に考えている姿勢に感銘を受けたんです。私も同じ時間を過ごすなら、お客様にとっても、一緒に働くスタッフにとっても、より良い時間にしたいと思っています。
そんな熱い想いを持つ大极さんに、表参道店についてさらに詳しく聞いてみた。
— これまで3店舗(シャポー船橋店、プラッツ習志野店、201)の店長を経験されていますが、各店舗にどのような特色がありますか?
大极:プラッツ習志野店は、市の施設に併設されているため地元の方に根付いており、週末は特に賑わいます。船橋店は駅に近い店舗で、売上が多く、認知度も高いです。201は焙煎所の近くにあるため、海外の方や洗練された空間を好むこだわりがあるお客様が多い印象です。SNSで情報を得て来店される若い方も多いですね。

— では、表参道店で提供されているコーヒーの特徴は?
大极:味作りは、粕谷とヘッドロースターの橋本が本当においしいと思った豆を厳選することから始まります。クリーンで、酸味と甘みが長続きするコーヒー。豆の情報が明確に開示されている透明性の高いスペシャルティコーヒーのみを選んでいます。
— コーヒー豆の販売もしていますが、その豆を家庭で気軽に美味しく淹れるコツはありますか?
大极:まずはPHILOCOFFEAが推奨する「4:6メソッド」で、ご自身でコーヒーを淹れて楽しむことをおすすめします。 難しく考えずに、自由に抽出することを大切にしてほしいですね。
— お客様からの印象的な反応や、心に残るエピソードはありますか?
大极:グランドオープンの日に、開店前から並んでくださった初めてのお客様が、今では全店舗を巡ったり、週3~4日ほど来店されたりとPHILOCOFFEAのファンになってくださいました。PHILOCOFFEAのコーヒーが、その方にとって非日常から日常になったんだなと思うと、本当に誇らしいですね。
— 最後にコーヒー業界のトレンドや、PHILOCOFFEAが今後目指す方向性について教えてください。
大极:体験ベースでコーヒーを提供するお店が増えていると感じます。東京では特に、コーヒーとフードのペアリングを楽しんだり、コーヒーを使った創作ドリンクを楽しんだりする傾向がありますね。当店では、粉の状態でお客様に香りを嗅いでいただいたり、シームレスなカウンター越しにお客様の目の前で抽出したり、時にはコーヒーに関するお悩みを聞いたりして、コーヒーを通じた「体験」として楽しんでいただいています。
粕谷哲氏が描く、PHILOCOFFEAの未来
PHILOCOFFEAのさらなる魅力、そしてこれからのビジョンについて、オーナーの粕谷哲氏に伺った。
粕谷:コンセプトは『目を醒ませ、TOKYO』です。これまでのコーヒー体験を覆すような、人生を変える一杯をお届けしたいと考えていて、一杯のコーヒーに情熱とクオリティを込め、訪れるすべての人に感動を与えたい。そして、ふと思い出した風景や記憶の中に、確かにPHILOCOFFEAが存在するようにしたいんです。

オーナーの粕谷哲氏
— 「ただ豆を売るのではない、スペシャルなコーヒー体験を提供する」というミッションには、どんな想いや背景があるのでしょうか?
粕谷:豆の品質はもちろんですが、焙煎、抽出、そしてお客様とのコミュニケーション、空間、時間、すべてを含めてデザインしています。焙煎チームもバリスタチームも、お客様に特別な体験をお届けするために日々トレーニングを重ねています。例えば、表参道店限定の「011 TOKYO BLEND」は、東京という街のめまぐるしい変化を表現した、ここでしか味わえない一杯です。
— 世界チャンピオンとして、常に新しい抽出方法に挑戦されていますが、今後の展望は?
粕谷:コーヒーの世界にとどまらず、飲料全体の特別な体験をプロデュースしていきたいと思っています。もちろん海外進出も視野に入れていますし、より多くのお客様にコーヒー体験を届けられるよう、通販により力を入れたいですし、新しい手法にも挑戦していきたいと考えています。

「PHILOCOFFEA」で、忘れられないコーヒー体験を
表参道にオープンした「PHILOCOFFEA」は、世界チャンピオンの技術と哲学が詰まった、まさに「スペシャルなコーヒー体験」ができる場所。粕谷氏の言葉からは、一杯のコーヒーにかける情熱だけでなく、コーヒーを通してお客様の人生を豊かにしたいという強い想いが伝わってくる。

011 TOKYO BLEND
ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてほしい。
PHILOCOFFEA グリーンテラス表参道
所在地:東京都港区北青山3-8-15 グリーンテラス 表参道 地下1階
営業時間:10:00~19:00※変更の可能性あり
定休日:不定休(臨時休業等はSNSにて告知予定)
公式サイト:https://philocoffea.com/
公式インスタグラム:https://www.instagram.com/philocoffea/
(akihiro takeji)