「生きている家」。そんな言葉を現実のものとした住まいが、東京・杉並に誕生した。
技術と感性を融合させたこの住居は、住む人の行動や時間に呼応する。これまでとは違う住宅の形について詳しく紹介しよう。
感性に呼応する、新たな住まいのかたち
東京都杉並区にオープンするivi houseは、KiQ社と長谷工コーポレーション、そしてロボット工学の第一人者である石黒浩氏との共創によって実現した、まったく新しい住宅体験の象徴だ。「ivi project(アイヴィプロジェクト)」と名付けられたこの構想の核にあるのは、家そのものが自律的に変化し、まるで生きているかのように住む人の五感や行動に呼応する。
具体的には、照明、音、香り、空気といった空間の要素が、センサーによって繊細に制御され、居住者の時間の流れや動きに応じて自動で調和をとる。スイッチを押す必要がない。つまり、家がこちらを“感じ取り”、その日の自分にふさわしい環境へと変化していく。

設計の根底には、利便性だけを追い求めるのではなく、人間の感性や創造性を引き出し、より豊かな暮らしを支えるという思想がある。時代が求める“快適さ”とは、単なる効率性ではなく、心と体が自然に調和する体験なのだと、この住まいは教えてくれる。
五感で味わう、住宅の進化
「ivi house」の最大の特徴は、視覚・嗅覚・聴覚・触覚という人の感覚すべてに働きかける空間づくりにある。
外観は日本家屋の生垣を彷彿とさせながらも、コンピュテーショナルデザインによる有機的な曲線を採用。内部は角を排したしなやかなラインが連続し、空間全体に呼吸するような流動感を与えている。見るだけでなく、包み込まれるような感覚が得られるデザインだ。

時間帯によって香りが変わるシステムが壁内に組み込まれており、朝と夜、階ごとに異なる香りが漂う。これにより、森にいるかのような没入感を日常に取り入れることができる。
また音響面では、独自のサウンドデザインとマルチチャンネルシステムによって、空間全体を包むような音の演出を実現。自然の息づかいを感じさせるような設計が、日々の疲れをそっと和らげるだろう。
さらに注目すべきは、触覚への配慮だ。室内には柔らかな曲線を多用し、素材も人工的な質感を避けた手触りの良いものを選定。触れるたび、足を床に乗せるたび、温もりと親しみを感じさせる。

所作と空間が響き合う、新しい共生の未来
この家は、住む人の所作に美が見出されるように設計されている。動線の取り方、空間の曲がり方、自然な振る舞いが引き出されるデザインには、所作に宿る美学への深い洞察が感じられる。
家そのものが、まるで共に暮らしているパートナーのような存在になるというコンセプトがこのプロジェクトの核心である。ivi houseは、6月1日(日)から一般公開が予定されている。

技術と芸術、そして人間の感性が交差するこの空間は、未来の住まいのかたちを垣間見せる貴重な機会となるだろう。
「ivi house」一般公開
公開期間:6月1日(日)~10月中旬(予定)
公開日:平日・土日祝 ※お盆期間を除く
定休日:水曜日
ivi house公式サイト(予約受付):https://www.haseko.co.jp/ivi/ivi-house/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000107116.html
(Fumiya Maki)
※記載の情報は変更となる場合あり