東京・白河のgallery stoop(ギャラリー・ストゥープ)で6月7日(土) ~7月7日(月)の期間に開催される「Between black & white」は、フジエテキスタイル社とグラフィックデザイナーの小林一毅氏による新作テキスタイルアートの展示会だ。

洗練された造形美と素材の温もりが融合した美しさは、上質な日常を求める成熟した感性に深く響くだろう。

コレクションの販売もあるので、見逃さないようにしたい。

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曖昧さの中にある美をかたちに。小林一毅氏の世界観

グラフィックデザイナー・小林一毅氏が描くのは、日常に潜む見過ごされがちな情景や記憶の断片だ。

子どもから「石」として手渡されたコンクリート片を通じた感覚、書きなぐるような文字、水面の揺らぎ。そんな曖昧で不確かなものを線と形で定着させる手法が、観る者の感性を揺さぶる視覚的体験をもたらす。

今回発表された「Between black & white」は、2019年から続く小林氏のライフワーク的シリーズの延長線上にあるが、黒と白の2色のみで構成された作品としては初めての試み。ペンで墨入れをするというアナログな手法で生まれた図案は、フジエテキスタイル社の技術によって平面および立体のテキスタイルアートへと昇華されている。

清澄白河|日常の断片を形にしたテキスタイルアートコレクション「Between black & white」開催

モノクロームの世界に潜む豊かなグラデーション。そこには、素材の奥行きを感じさせる知的な魅力がある。

アート×家具×テキスタイルで味わう上質な空間演出

会場となるgallery stoopは、2025年4月に拡張リニューアルを終えたばかりの注目ギャラリー。今回の展示では、小林氏のテキスタイルアートとともに、竹内優介氏による空間スタイリングが光る。

フランスやイタリア、オランダから集められたヴィンテージ家具やオブジェと、小林氏の作品の静かな力が絶妙に調和し、単なる展示会の域を超えた体験型のインテリアシーンが出現している。

清澄白河|日常の断片を形にしたテキスタイルアートコレクション「Between black & white」開催

展示されるのは、黒の箔プリントが印象的な平面作品22点、そして布の収縮によって立体化された「ふう」と題された立体作品2点。

いずれも細部に宿る美意識が際立ち、空間を引き締める力を持つ。

また、作品は展示だけでなく先行販売も行われ、7月8日(火)からは全国の取扱店でも発売予定。日常に質の高い美を取り入れたい人にとって、この展示は一見の価値があるだろう。

偶然を受け入れる感性――制御不能の美がもたらす心地よさ

今回の展覧会において見逃せないのは、ミスプリントや制作過程で生じた偶発的な表現をあえて意匠として取り込む姿勢だ。完璧さよりも、手作業によるズレや素材の持つ予測不能な表情を歓迎する柔らかい美意識は、生活における“余白”や“遊び”を肯定する提案とも受け取れる。

清澄白河|日常の断片を形にしたテキスタイルアートコレクション「Between black & white」開催

展示されたテキスタイル作品は、住空間に静かな緊張感と柔らかさを与える存在となり得る。展覧会「Between black & white」は、感性を刺激するインテリアとの出会いであり、日常に深みと洗練をもたらす時間そのものでもある。

「Between black & white」Kobayashi Ikki×fujie textile Exhibition
会期:6月7日(土) ~7月7日(月)
定休日:月曜日 ※最終日の7月7日(月)は開催
時間:11:00~19:00
会場:gallery stoop
所在地:東京都江東区白河2-5-10

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000114734.html

(Fumiya Maki)

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