家具とアートの融合によって空間の価値を再定義する展覧会「イスとアート展」が、表参道のtHE GALLERY OMOTESANDOで開催される。
著名デザイナーの椅子と現代アーティストの作品が織りなす新たな対話を、実際に“座って”体験できるインタラクティブな展示は、感性に訴える特別な時間を提供してくれるだろう。
椅子とアートが生む、感性の共鳴体験
家具とアート、その2つが融合すると、空間は単なる生活の場から、感性を育む特別な場所へと昇華する。6月20日(金)から29日(日)まで開催される「イスとアート展」は、まさにそんな体験を表参道で提供する企画だ。プロデュースは、ソーシャルインテリアの町野健氏とtHE GALLERY OMOTESANDOの久々野智小哲津氏。空間の本質に立ち返り、椅子とアートという異なる分野の融合によって「美しさ」と「心地よさ」の本質を問い直す内容となっている。
本展の特徴は、来場者が実際に椅子に座ることができる体験型の展示構成だ。家具を単なるプロダクトではなく、アートと共鳴する存在として捉え直す試みであり、椅子そのものが作品であると同時に、アートを鑑賞する視点を支える装置ともなっている。
倉俣史朗の名作が復刻、アートとしての椅子
展示される椅子の中でも注目すべきは、20世紀の日本を代表するデザイナー・倉俣史朗の3作品だ。中でも「How High the Moon」は建設用素材であるエキスパンド・メタルを使い、軽やかで儚い美しさを表現。高い職人技術によって再現されたこの一脚は、単なる復刻ではなく、当時の思想を現代に蘇らせた貴重な存在だ。

また「Sing Sing Sing」は、背もたれから座面へと続くS字の曲線が印象的で、前脚のみという独自の構造を持つ。金属製ながらも、実際に座ると柔らかさを感じるという設計は、倉俣の革新性を体現している。加えて「Apple Honey」は実用性を重視しながらも、感性に寄り添うフォルムが特徴。どの椅子もアートと融合することで新たな文脈を与えられ、訪れる人の感性を刺激する。

自分の感性に問いかける空間へ
本展では、椅子と並んでアート作品も展示される。
プロデューサーの久々野智氏は、「今は嗜好品の時代」と語る。物質的な満足を超えた先にある、自分にとって何が心地よいか、何を美しいと感じるかという問いに応える空間づくりこそが、現代人の豊かさの尺度になっている。本展は、その問いを静かに、しかし深く投げかけてくる。

自分自身の内面と向き合い、空間を通じて新たな価値を見つける。そんな時間を過ごしたい人にとって、この展覧会は格別の選択肢になるだろう。
イスとアート展
開催期間:6月20日(金)~ 6月29日(日)
会場:tHE GALLERY OMOTESANDO
所在地:東京都渋谷区神宮前5-16-13 SIX HARAJUKU TERRACE
休廊日:月・火曜日
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000204.000036168.html
(Fumiya Maki)