ピュリツァー賞をはじめ、5つの文学賞を総なめにした話題作『ジェイムズ』が、6月27日(金)に河出書房新社より刊行される。

マーク・トウェインの小説『ハックルベリー・フィンの冒険』に登場する、黒人奴隷ジムの視点から描かれる本作は、アメリカ文学の“祖”とされる名作を根底から覆し、世界中で文学的事件として受け止められた。

スピルバーグ監督による映画化決定も重なり、2025年の翻訳文学界を揺るがす一冊となりそうだ。

世界を熱狂させた、現代文学の“事件”

『ジェイムズ』は2024年、アメリカでの刊行直後から絶賛を浴び、ピュリツァー賞・全米図書賞・英国図書賞など主要文学賞を次々と受賞。ニューヨーク・タイムズやガーディアンをはじめ、数多のメディアが年間ベストブックに選出した。

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『ジェイムズ』表紙 US版(上段)、UK版(下段)

その衝撃は映像界にも波及。映画化権を獲得したユニバーサル・ピクチャーズは、製作総指揮にスティーブン・スピルバーグ監督を迎える。文学と映画の両輪で注目を集める、稀有な存在となった同作品。2020年代の文化潮流を象徴する一冊といえるだろう。

“名作”を裏側から読む、黒人奴隷ジムの物語

『ジェイムズ』は、アメリカ文学の礎とも言われる『ハックルベリー・フィンの冒険』を、黒人奴隷ジムの視点から再構築したフィクションだ。

逃亡奴隷として描かれてきた彼の視点を通じて、自由と尊厳を求める苦闘とユーモアに満ちた逃避行が立ち上がる。圧倒的な筆致とブラックユーモアを武器に、物語は“白人中心”のアメリカ文学を問い直す。“読む者の視点を一変させる”と評されるのも頷ける、骨太な再解釈だ。

2025年、読むべき理由がここにある

日本語訳を手がけたのは、『JR』『オーバーストーリー』などの名訳で知られる木原善彦氏。また西加奈子氏、星野智幸氏、三宅香帆氏らも推薦文を寄せ、「物語に命を与える一冊」として日本でも注目を集めている。

文学賞5冠受賞の衝撃作『ジェイムズ』が日本上陸。世界が震えた“逆視点”小説

訳者 木原善彦氏

今、自分が“何者の視点”で物語を読んでいたのか──。

その問いと向き合うきっかけとして、そして世界が認めた文学の力を体感するために、本書を手に入れることをおすすめする。

『ジェイムズ』
著者:パーシヴァル・エヴェレット
訳者:木原善彦
仕様:四六判/上製/416ページ
発売日:6月27日(金)※電子書籍同時発売予定
定価:2,750円(税込)

商品ページ:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309209289/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000962.000012754.html

(山之内渉)

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