暮らしのなかで静かに息づく美とは何か。その問いに応えるように、長野県軽井沢の邸宅にて「住まいと美のかたち」が開催される。

住空間と現代アートの調和、職人の手仕事が生み出す唯一無二の空気感。喧騒から一歩距離を置き、心の静寂を取り戻すきっかけとして、成熟した大人にふさわしい時間と空間が用意されている。

軽井沢の邸宅に展示される芸術「住まいと美のかたち」展。暮らし...の画像はこちら >>

日常に宿る、美の再定義

7月15日(火)から25日(金)まで、軽井沢の邸宅「ベルギー プライベートホーム」にて、ホワイトストーン社と大工アーティスト菱田昌平氏による展覧会「住まいと美のかたち」が開催される。この展示の舞台は、軽井沢の自然素材を活かして一棟ずつ丁寧に作られた共同所有型別荘。住まいとアートを同列に置く構成により、鑑賞者は単なる展示品ではない、暮らしの延長としての作品と向き合うことになる。

本展のコンセプトは、作品と空間の境界を問い直すこと。ギャラリーとは異なる、生活の痕跡が残る空間で出会うアートは、光や温度、見る人の動きによって表情を変えていく。家具や建具と呼吸を揃えるように佇むアートたちは、住まいに内包された時間を映し出し、観る者の美意識に静かに語りかける。

4人の作家が紡ぐ、素材と記憶の対話

参加作家は4名。画家・猪熊克芳氏はウルトラマリンブルーを基調に、繊細な削りやぼかしを活かした独自の絵画表現で知られる。40代で画業に本格的に取り組み、熟成された色調が国内外で高く評価されている。

軽井沢の邸宅に展示される芸術「住まいと美のかたち」展。暮らしのなかのアートを見つめる時間

坪田昌之氏は、木や石、天然顔料を使い、素材同士の融合をテーマに、柔らかさと緻密さを併せ持つ作品を制作。五感に訴えるその作品は、どこか懐かしく、それでいて現代的な感覚を呼び覚ます。

軽井沢の邸宅に展示される芸術「住まいと美のかたち」展。暮らしのなかのアートを見つめる時間

金属作家MADARA MANJI氏は、「杢目金(もくめがね)」の技法を用いた立体作品を制作。

異なる金属がぶつかり合いながらも一体となる様は、人間の精神性や社会の葛藤を象徴するかのようだ。繊細さの中に揺るぎない強さが宿る。

軽井沢の邸宅に展示される芸術「住まいと美のかたち」展。暮らしのなかのアートを見つめる時間

寺倉京古氏は、磁土によるキャスティング技法で赤ん坊の姿を象った彫刻を展開。無垢さの象徴である子どもの姿に、鑑賞者の記憶や祈りが重なる。素材の強さとモチーフの儚さが静かな対比を生んでいる。

手仕事が導く、心の余白

本展の会場である「ベルギー プライベートホーム」は、菱田昌平氏の手によるもの。軽井沢の自然素材を使い、時間と共に美しさを深める建築は、まさに作品たちの受け皿として機能する。大量生産とは無縁の空間だからこそ、アートとの共鳴が自然に生まれる。展示は完全予約制で、限られた人のみが足を運べる。喧騒を離れた静寂の中で、自らの感性と対話する時間は、単なる鑑賞体験を超えた価値を持つ。

そこには、成熟した美意識を持つ者だけが感じ取れる深みがある。生活と芸術の関係を考えてみたい人は訪れてみてほしい。

WHITESTONE x Shohei Hishida 『住まいと美のかたち』展
会期:7月15日(火)~ 7月25日(金)
会場:ベルギー プライベートホーム in 軽井沢
所在地:長野県北佐久郡軽井沢町大字発地
来場方法:完全予約制
予約サイト 『住まいと美のかたち』展
公式サイト:ベルギー プライベートホーム in 軽井沢

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000039.000078519.html

(Fumiya Maki)

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