ダンサー・田中泯氏と彫刻家・名和晃平氏。異なる表現領域で「身体」と「物質」に向き合ってきた二人が共創した舞台作品『彼岸より』が、書籍とアナログレコードとしてよみがえる。
2024年に2日間限定で上演された舞台が、観客の記憶を超えて、触れることのできるかたちで再構成される。身体性が希薄になりつつある今、その根源を見つめ直す手がかりとなる作品だ。
書籍でよみがえる、舞台『彼岸より』
田中泯氏と名和晃平氏がコラボレーションした舞台『彼岸より』が、アートブックとして刊行される。
2024年に2日間限定で上演されたこの作品は、「身体」と「物質」という根源的なテーマを軸に、観客の五感に訴える空間を創出した。
書籍『彼岸より』では、当日の舞台を写真とテキストで再構成しながら、身体と世界の関係性を見つめ直す試みがなされている。
哲学者ロジェ・カイヨワの言葉を起点にした著述家・小崎哲哉氏の寄稿、音楽家・原摩利彦氏と名和晃平氏のインタビューも収録され、作品を多面的に掘り下げる内容だ。
音がつくる“もうひとつの舞台”
同日リリースされるアナログレコード『From the Edge Original Soundtrack』は、原摩利彦氏が『彼岸より』のために制作したサウンドトラックを収録。
田中氏の踊りにただ音を合わせるのではなく、名和氏の舞台美術とともに“場”そのものを創出する意識で作られたという。
録音は、フィールドレコーディングや即興演奏、尺八奏者との共演など、複数のアプローチを融合。空間に溶け込むような音の粒が、聴き手を「どこでもない場所」へと誘う。
書籍とレコードで、舞台の“気配”を手繰り寄せる
今回の書籍とレコードは、単なる記録や記念品ではない。
わずか2日間の上演で消えた“出来事”を、言葉と音で呼び起こし、再び身体に宿すためのメディアとして構成されている。
ページをめくるたび、あるいは音に身を委ねるたびに、私たちは再び『彼岸より』という舞台のあわいへと足を踏み出すことになる──それは、カラダをとおして世界とつながる感覚を取り戻すための旅でもある。
【書籍】『彼岸より』
著者:田中泯/名和晃平
仕様:B4変形、174ページ、スリーブケース付
価格:11,000円(税込)
発売日:7月11日(金)
発行:Sandwich Inc.
商品ページ:https://store.tsite.jp/item-detail/art/48307.html
【レコード】『From the Edge Original Soundtrack』
アーティスト:原摩利彦
フォーマット:アナログレコード
価格:5,500円(税込)
発売日:7月11日(金)
レーベル:Sandwich Inc.
商品ページ:https://store.tsite.jp/item-detail/art/48308.html
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000010.000135274.html
(山之内渉)