平安時代の刀匠「五條国永」が手がけた可能性が極めて高い貴重な刀剣が、大阪市平野区にある杭全神社の蔵で発見された。
この刀剣を含む計3振の刀剣の修復・保全などを行うプロジェクトが、クラウドファンディングサービス「READYFOR」にて6月27日(金)より公開。
刀匠「五條国永」の作とされる刀剣が杭全神社で発見
杭全神社の境内にある築300年の土蔵を整理した際に、登録証のない刀剣類が発見された。東京藝術大学名誉教授である原田一敏氏によると、そのうちの1振が平安時代の刀匠、五条国永のものである可能性が高いと指摘された。
国永は平安時代に現在の京都府にあたる山城国で、三条宗近を祖とする三条派として存在した刀匠だ。現在、国永の作とされる刀剣は、宮内庁が管理している御物「鶴丸」をはじめ、伊勢神宮の御宝物となる太刀(重要文化財)、剣(重要文化財)、2つの太刀(重要美術品)の5振。今回、杭全神社にて発見された刀剣が本物であれば、6振目ということになる。
修復・保全を目指すプロジェクトを開始
そして今回、国永の作と考えられる1振に加え、文化財としての価値が高いとされる2振をあわせ、修復・研磨を進めることが決定した。しかし、研磨だけでも数百万円の費用がかかるうえ、適切な環境での保存も必要となるため、修復および保全環境整備の費用の一部をクラウドファンディングにて募ることとなった。
修復対象は平安時代の刀剣26.4cm(銘「国永」)。



天明5(1785)年奉納
鎌倉時代の太刀74.6cm(無銘)。


そして、元禄11年2月に奉納されたとされる大太刀135.6cm(銘「常陸守嘉重」)の3振だ。



元禄11年2月吉日

常陸守嘉重
江戸時代に栄えた平野郷にある「杭全神社」
貞観4(862)年に創建された杭全神社の本殿は、大阪市で最古の木造建造物と言われ重要文化財にも指定されている。さらに、連歌所は国内唯一の現存例とされるなど、同神社は平野郷の歴史を伝える貴重な存在だ。
そして、杭全神社がある平野郷エリアは、江戸時代には1万人を超える人々が暮らしていたとされ、大阪でも有数の都市として経済や文化が繁栄した土地だ。
今回発見された刀剣は主に江戸時代に杭全神社に所蔵されたと考えられ、修復・保全プロジェクトにより当時の歴史や文化を多くの人に伝える役割も期待されている。

「国永」の銘
発見された刀剣は研磨により、200年以上の時を超えて国永の刃文が初めて明らかになるという。歴史的にみても貴重な機会となる今回のプロジェクトに賛同してみてはいかがだろう。
プロジェクトページ:https://readyfor.jp/projects/kumata-kuninaga/
※8月20日(水)まで
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000164908.html
(hachi)