三重県伊賀市に、“泊まれる文化複合施設”として旧市庁舎を再生したホテル「泊船(はくせん)」が誕生した。

モダニズム建築の巨匠・坂倉準三(さかくら じゅんぞう)が手がけた旧上野市庁舎を舞台に、図書館やアートを融合させた新たな滞在空間だ。

建築の記憶と感性に寄り添う、静かな時間が流れ始める。

坂倉準三の名建築に、新たな光と人の流れを

1964年に建てられた旧上野市庁舎は、「建築は人のためにある」という坂倉準三の哲学を体現する建物。水平線を強調した外観や、大きな開口部から光と風を取り込む設計が特徴だ。

市民による保存運動を経て文化財に指定されたこの建物は、船谷ホールディングスの手により再生され、ホテル「泊船」として生まれ変わった。

来春には公共図書館も同施設内に開業予定。伊賀の風土と記憶を継ぎながら、新たな文化の流れを生み出す場となる。

光と質感が導く、静かで深い時間

設計はMARU. architectureが担当。開かれた外から静かな内へと空間が連続する構成や、コンクリートとタモ材の素材対比など、坂倉建築の思想に寄り添いながら現代的な快適性を融合している。

客室のインテリアはNOTA&designが手がけ、天童木工の家具やアート作品が静かな対話を生む空間に。

エントランスには陶芸家・安永正臣のモザイク壁画が配され、館内全体が建築・工芸・感性を包み込むように設えられている。

本とアートに囲まれて、“滞在する思索”を

ホテル名の「泊船」とは、来春開業する図書館を「言葉の湖(うみ)」に見立て、そこに静かに浮かぶ船のように過ごす滞在体験を象徴するもの。

館内には書籍セレクトや地域文化を伝えるジャーナルも用意され、滞在者の思索を支える。

朝食は地元の人気店・食堂おおもりが監修。伊賀焼や組紐、松尾芭蕉ゆかりの史跡など、地域の文化資源とも有機的に結びつき、伊賀を深く知る旅が始まる。

ホテル「泊船(はくせん)」
所在地:三重県伊賀市上野丸之内116
開業日:7月21日(月・祝)
客室数:19室(ユニバーサルルーム含む)
※公共図書館は、2026年春開業予定

公式サイト:https://hakusen-iga.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/hakusen_iga/

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000003.000149959.html

(山之内渉)

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