ウイスキーに深い造詣を持つ大人の男ならば、その背景にある哲学や技術にも注目したい。東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2025(TWSC2025)にて、木内酒造 八郷蒸溜所が特別賞を受賞。
伝統と革新のバランスが光るその取り組みを紐解いていく。
伝統に根ざした革新、八郷蒸溜所の挑戦が「SDGs賞」に輝く
茨城県の自然に囲まれた八郷蒸溜所は、2020年から本格稼働したウイスキー製造拠点だ。ここではポットスチルとコラムスチルを併用し、モルトに加えて大麦、小麦、米といった国産素材を自在に操ることで、ジャパニーズウイスキーに独自の解釈を加えている。
特筆すべきは、2023年に立ち上げた製麦所「石岡の蔵」の存在だ。麦の選定から製麦まで一貫管理し、ブレンドに最適な麦芽を自社供給する体制を確立。素材の質を細部にまで追求する姿勢が、味わいの奥行きに表れている。

さらに注目したいのは、蒸溜後の麦芽の搾りかすを飼料に再利用して豚を飼育し、それを加工したハムやソーセージを「常陸野ハム工房 BARREL SMOKE」で提供している点。自然との調和を意識した循環型のものづくりは、ただの酒造では終わらない深さを持つ。

世界が認めた日の丸ウイスキー、受賞に見る実力
TWSC2025では、日の丸ウイスキーと日の丸ジンの計6商品が金賞から銅賞までを獲得。なかでも「Signature 1823」は金賞に輝いた1本で、原料は国産モルト、アルコール度数は48%。完成度の高いスタンダードモデルだ。

日の丸ウイスキー Signature 1823
銀賞を受賞した「常陸野 シェリーカスクフィニッシュ」は、桐箱入りで提供される数量限定品。シェリー樽由来の芳醇な香りが余韻に残る、熟成された1本に仕上がっている。
銅賞には、「2025 Edition」「Sakura Ra」「KOME」といった多彩なバリエーションが並び、いずれもウイスキーへの深い理解と遊び心が感じられるものだ。加えて、緑茶や赤紫蘇などの国産ボタニカルを用いた芳香豊かなスピリッツが特徴のクラフトジン「蔵風土」も銅賞に選出。こちらは食中酒としても楽しめる。

飲むだけではない、五感で味わう体験
八郷蒸溜所にはビジターセンターが併設されており、限定ボトルの購入や試飲、さらにはBARREL SMOKEの生ハム・ソーセージなども手に取ることができる。蒸溜所の設計や展示ブースを通して、酒造りの背景にある歴史と哲学を感じられるのも魅力のひとつだ。

ウイスキーという世界的ジャンルに対し、日本らしい素材と思想を織り込んで挑戦し続けるその姿勢こそ、今の時代にふさわしい価値と言えるだろう。
八郷蒸溜所
所在地:茨城県石岡市須釜1300
公式サイト:https://hinomaruwhisky.com/pages/distillery
木内酒造
所在地:茨城県那珂市南酒出808
公式サイト:https://www.kodawari.cc/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000136.000103079.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000130.000103079.html
(Fumiya Maki)