秋田市文化創造館が2025年秋に実施する地域とクリエイターを繋ぐ「クリエイター・イン・レジデンス」では、インドネシアのアーティスト、ラクミ・フィトリアニ氏が滞在し、市民と共に風景の記憶を紡ぐ新たな作品づくりに挑む。
交流会やワークショップを通じて、人と人、風景と記憶が交差する体験が広がり、芸術が日常に静かな変化をもたらす。
市民と共に育むレジデンスプログラム
秋田市文化創造館は、市民の新しい活動や表現を応援し育む施設として、完成品や結果だけでなく、制作の「過程」や「変化」を重視している。その理念を象徴する取り組みが「クリエイター・イン・レジデンス」だ。毎年、多様な分野のクリエイターを招き、滞在中に市民と共に創造力を刺激し合いながら、ここでしか生まれない表現を試みている。
過去には、地元の職人や学生、子育て中の人などが交流を通じて刺激を受け、これまでの試みを発表した、新しい試みに向き合ったという例もある。外部から来たクリエイターが試行錯誤しながら活動する姿は、市民に新たな挑戦を促し、自らの可能性を広げる原動力となっている。

「風景のタペストリー」が描く新たな物語
2025年は、世界各地から306件の応募の中から選ばれたラクミ・フィトリアニ氏が参加する。ランドスケープアーキテクト兼テキスタイルアーティストである彼女は、布と糸を使った手仕事によって、人と自然との関係を見つめ直す作品を制作してきた。旅で触れた多様な文化や風景の記憶を表現に取り込み、繊細な質感と色彩を特徴とする作品で知られている。

今回のテーマ「風景のタペストリー」は、人々が心に抱く風景の思い出を語り合い、それを素材として作品を紡ぎ出す試みだ。記憶を分かち合うことで、見知らぬ人同士が互いの背景を理解し、共有の物語を築いていく。9月から10月にかけての滞在中には、リサーチや交流会、市民参加型のワークショップを行い、最終的にはインスタレーション作品として展示される予定だ。

ラクミ・フィトリアニ “Kuningan Ricefield”
体験を通じてより深まる文化の価値
9月前半は地域調査や交流会でスタートし、後半には記憶収集や公開制作、ワークショップが続く。10月には集められた記憶や衣料、写真、拾得物を取り入れた成果展示が行われ、滞在活動の全貌が明らかになる。

ラクミ・フィトリアニ “Sumedang Ricefield”
このプロジェクトの魅力は、完成した作品だけでなく、過程そのものにある。
クリエイター・イン・レジデンス2025
展示期間:10月19日(日)~10月30日(木)9:00~21:00
会場:秋田市文化創造館 3F スタジオA3 ほか
所在地:秋田県秋田市千秋明徳町3-16
秋田市文化創造館公式:https://akitacc.jp/
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000035812.html
(Fumiya Maki)