エースホテル京都では、9月1日(月)から10月31日(金)まで、日本を代表する染色家・柚木沙弥郎氏の原画展「旅の歓び、旅の色彩」が開催される。
2024年に享年101歳で逝去した柚木氏が、ヨーロッパ、インド、日本各地を旅して出会った人や風景、文化をもとに生み出した作品群を展示し、記憶と色彩が交差する創造の軌跡を辿る。
©️Norio Kidera
世界各地への旅が生んだ豊かな表現世界
柚木氏の創作の源泉となったのが、世界各地への旅。1967年に約2か月をかけてヨーロッパ各国を巡った初の海外旅行を皮切りに、イギリス、インド、モロッコ、ポルトガル、ケニア、エチオピア、アメリカ、メキシコ、ドイツ、スイスや日本各地を旅した。
これらの旅の記憶は日記やスケッチ、手製のアルバムに残され、後の創作活動の重要な素材となった。今回の原画展では、こうした旅先で得たインスピレーションから生まれた作品群を通じて、柚木氏の豊かな創造性を体感できる。

柚木沙弥郎『旅の歓び、旅の色彩』原画展
「民藝」との出会いから始まった創作人生
柚木氏は1922年東京田端生まれ。1946年に柳宗悦の「民藝」と芹沢銈介のカレンダーと出会ったことをきっかけに染色の道に進んだ。戦後間もない時期から創作活動を続け、鮮やかな色彩と大胆な構図で独自の表現世界を築き上げた。
国内外の美術館に作品が収蔵され、2014年にはフランス国立ギメ東洋美術館に作品80点が収蔵されるなど、国際的にも高く評価されている。2022年には「毎日デザイン賞」を受賞し、101歳まで精力的に創作活動を続けた稀有なアーティストだった。

©️Norio Kidera
エースホテル京都との深いつながり
エースホテル京都にとって柚木氏は特別な存在だった。ホテルロゴや客室アート、ロビー、コーヒーショップの暖簾など、ブランドを象徴する数々のビジュアルを手掛け、開業以来ゲストの記憶に残る空間を形作ってきた。
館内各所に点在する型染作品や遊び心あふれるアメニティは、ホテルの芸術に対する深い敬意と文化交流の象徴となっている。本展では、こうしたホテルとの深い結びつきにも触れながら、日常と旅のあわいに息づく芸術の力を体験できる。

「民藝誕生100年」展との連携企画
今年は「民藝」という言葉が誕生して100年の節目にあたり、同時期に京都市京セラ美術館で開催される特別展「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」との連携企画も展開される。
柚木氏の芸術の源流ともいえる「民藝」と結びつく両展示の連携は、柚木氏の奥深い創作世界を多角的に掘り下げる特別な機会となる。
原画展は1階ロビーギャラリーで開催。ホテルという開かれた空間で五感を通して芸術を体験できる。9月5日(金)には原画展開催記念レセプションパーティーも開催予定で、柚木氏の世界観をより深く感じられる機会が提供される。
101年の生涯をかけて築き上げた柚木沙弥郎の色彩豊かな世界に、京都の歴史ある街並みの中で出会える貴重な機会となる。
柚木沙弥郎「旅の歓び、旅の色彩」原画展
会期:9月1日(月)~10月31日(金)
会場:エースホテル京都 ギャラリースペース1階
所在地:京都府京都市中京区車屋町245-2 新風館内
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000088.000053487.html
(春緒)