木工の聖地と呼ばれてきた飛騨高山に、新たな文化発信の場が誕生する。「遊朴館 HIDA GALLERY(ユウホオカン ヒダギャラリー)」は、長く親しまれてきた旧施設を改修し、ギャラリー・ショップ・カフェを備えた空間として蘇る。

木の温もりと手仕事の精神を受け継ぎながら、現代の感性に触れられるこの場所は、工芸文化を担う拠点として注目されるだろう。

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掲載元:遊朴館 HIDA GALLERY公式サイト

飛騨高山が育んできた木工文化の背景

古来より「飛騨の匠」と称えられてきた職人たちは、東大寺や平城京といった歴史的建造物の建立にも関わり、その高度な木工技術を日本文化の礎として伝えてきた。

四半世紀にわたり地域の芸術と工芸を紹介してきた遊朴館は、その伝統を現代に伝える拠点であったが、コロナ禍を機に長らく閉鎖されていた。今回の全館リニューアルは、単なる再開にとどまらず、飛騨の木工文化を未来に引き継ぐための新しい挑戦として位置づけられている。

飛騨高山|木工を楽しむ場「遊朴館 HIDA GALLERY」がグランドオープン!企画展「3 materials」も開催

左:ギャラリー内観 Photo Masayuki Hayashi, 中右: Photo Kazuhiro Shiraishi(中:「3 materials」出品作品 三谷龍二 金森正起 小澄正雄 /右:三谷龍二デザイン HIDA新作椅子)

工芸を体感できる複合施設としての魅力

「遊朴館 HIDA GALLERY」は、ギャラリーを中心に、ショップとカフェを組み合わせた複合施設として生まれ変わる。ショップでは、飛騨産業が培ってきた家具や、森の香りを閉じ込めたアロマ、地元作家による工芸品が並び、日常に取り入れることで木のある暮らしの豊かさを実感できる。

さらに、匠の道具棚では高品質な鑿や鉋といった木工具を扱い、購入だけでなく実演や相談を通じて道具と出会える稀有な場だ。

飛騨高山|木工を楽しむ場「遊朴館 HIDA GALLERY」がグランドオープン!企画展「3 materials」も開催

匠の道具棚 Photo Masayuki Hayashi

カフェでは、地元の旬の素材を用いた料理や甘味を、作家が手がけた器とともに楽しめる。椅子には新作家具が採用され、座り心地を確かめながら味わう時間そのものが工芸の体験となるのがいい。

オープニングを飾る「3 materials」展

グランドオープンを記念して開催される企画展「3 materials」は、木の三谷龍二氏、鉄の金森正起氏、硝子の小澄正雄氏という三人の工芸家が、素材を超えて協働する実験的な試みだ。

異なる分野に身を置きながら、互いの技術と感性を信頼し合うことで生まれた作品は、未来のものづくりへの静かな提言となっている。オープニング当日にはトークセッションが予定されている。

飛騨高山|木工を楽しむ場「遊朴館 HIDA GALLERY」がグランドオープン!企画展「3 materials」も開催

飛騨高山の中心に再び息を吹き込まれた「遊朴館 HIDA GALLERY」は、木工文化を未来へと橋渡しする場であり、同時に訪れる人が五感で工芸を体感するための舞台でもある。

歴史と現代をつなぎ、手仕事の価値を伝えるこの場所を訪れることは、旅の記憶にとどまらず、自らの暮らしを見直す契機となるだろう。

遊朴館 HIDA GALLERY
所在地:岐阜県高山市上一之町26
営業時間:10時~18時
休館日:水曜・第3木曜休館
全館開業日:10月4日(土)
公式サイト:https://hidasangyo.com/shop/yuhokan 

グランドオープン記念企画展「3 materials」
会期:10月4日(土)~11月16日(日)
詳細:https://hidasangyo.com/exhibition/3materials

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000106091.html

(Fumiya Maki)

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