80年代の音楽や雑誌文化を彩ったイラストレーター・鈴木英人氏。そのデビュー45周年を記念した過去最大規模の個展「風と光のアート 鈴木英人の世界展」が、豊橋市美術博物館で開催される。
山下達郎のLPジャケットやラジオ雑誌『FM STATION』の表紙など、誰もが一度は目にした作品に加え、新作や未公開作品を含む約300点が展示される。
『PORSCHE 356B ROADSTER』1988年
青春の風景を呼び起こすアート
鮮やかな空、白く輝く建物、きらめく海、そしてクラシックカー。鈴木英人氏の作品は、80年代の都会とリゾートの空気をそのまま閉じ込めたような魅力を持っている。山下達郎のアルバム『FOR YOU』に描かれた街角の一瞬は、当時の若者たちにとって理想の夏の象徴だった。
『FM STATION』の表紙もまた、毎号新しいイラストを楽しみにする習慣を生み、音楽やライフスタイルと密接に結びついた。
そうした記憶を持つ世代にとって、今回の個展は自分自身の青春の再確認ともいえる。あの時代を形づくった視覚的な記憶を、改めて今の目で体験する機会になるだろう。

多彩な技法と未公開作品が一堂に
鈴木氏のキャリアを象徴する約300点が並ぶ同展。
スミ線とオーバーレイフィルムを駆使したパントン原画は、繊細で透明感のあるトーンが特徴で、今では再現不可能な貴重なものだ。続くリトグラフやシルクスクリーンの作品群は、40色以上の版を重ねて刷り師と二人三脚で仕上げた緻密な仕事の結晶。
さらに2000年代以降はデジタル技術を取り入れ、自らの工房で「EMグラフ」と呼ばれる新たな版画表現を確立した。
一人のアーティストが時代の変化とともに技法を進化させ、作品世界を広げてきた軌跡を一度に見渡せるこの機会。同展のために描かれた豊橋を題材にした新作『双炎の碧き城』『終わりなき日々』が初公開される点にも注目だ。
手筒花火や路面電車といった日常の風景を題材にしながらも、鮮烈な色彩と鋭い線が加わることで、見慣れた情景がどこか異国のリゾートのように変貌する。

『双炎の碧き城』
鈴木英人氏のサイン会やトークショーも
会期中には鈴木英人氏自身が会場に姿を現す予定もあり、サイン会やトークショーが開催される。ファンにとっては、長年作品を通じて親しんできた作家の言葉を直接聞けるたまらないチャンスとなるだろう。
図録のほかここでしか購入できないグッズの販売も行われるため、逃さず手に入れたい。

展示室を後にした後も、色彩と光をまとった鈴木英人氏のイラストレーションの余韻は長く心にとどまることだろう。
風と光のアート 鈴木英人の世界展
会期:11月1日(土)~11月30日(日)
会場:豊橋市美術博物館 1階展示室 1~4
所在地:愛知県豊橋市今橋町3-1
観覧料:1,200円
鈴木英人氏サイン会・トークショー
サイン会開催日時:11月1日(土)13:00~14:00・15:00~16:00/11月16日(日)13:00~14:00
トークショー開催日時:11月16日(日)11:00~12:00
※サイン会への参加は図録購入者に限る
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000795.000025583.html
(Fumiya Maki)