打楽器奏者であり作曲家としても活躍する會田瑞樹(あいた みずき)氏が、10月3日(金)、東京・台東区の東京文化会館で「パーカッションリサイタル2025」を開催する。

没後40年を迎える作曲家・八村義夫に捧げる特別な一夜には、日本の現代音楽の巨匠たちの作品や世界初演の新作が集まり、国内外の演奏家と共に織りなされる多彩な音が響く。

特別な音楽の時間へ訪れてみたい。

東京文化会館|打楽器奏者・作曲家の會田瑞樹氏による「パーカッ...の画像はこちら >>

會田瑞樹 ©️Shoichi Yabuta

世界を舞台に歩み続ける會田瑞樹

會田瑞樹は、これまでに300を超える新作初演を担い「初演魔」と呼ばれてきた打楽器奏者。演奏家としての活動は国内外に広がり、サントリーサマーフェスティバルへの出演や、リトアニア国営放送での中継など、その存在感は国際的に認められている。

作曲家としても管弦楽から歌曲に至るまで幅広い作品を手掛け、その数は100を超える。昨年リトアニア・聖クリストファー室内合奏団に委嘱された《Stardust》は、ヴィブラフォンと弦楽オーケストラのために書かれ、大きな成功を収めた。

八村義夫没後40年に寄せる深いオマージュ

今回の公演の核をなすのは、没後40年を迎える作曲家・八村義夫へのオマージュ。八村は、数理的な構築を主流とする時代にあって、「情念」や「私音楽」を提唱し、聴き手の心に直接響く音楽を生み出した異才であった。16作品という少数ながら、彼が残した楽曲は今も現代音楽史に強い影響を及ぼしている。

代表作《星辰譜》は1969年に東京文化会館で初演され、その力強い音楽性は当時の聴衆を圧倒した。本公演で再び同じ舞台に響くことは、音楽史的にも大きな意味を持つだろう。さらに會田氏は、この《星辰譜》に応答する形で《酔郷譚》を新たに作曲し、世界初演を迎える。小説家・倉橋由美子氏の同名作品に由来するタイトルを掲げたこの曲は、現世と彼岸を往還する幻想的な世界を音で描き出し、八村の精神と響き合う試みとなっている。

巨匠たちの響きが交錯するプログラム

八村義夫への敬意に加え、プログラムには日本現代音楽を代表する二人の巨匠、湯浅譲二氏と間宮芳生氏の作品が並ぶ。どちらも會田の委嘱によって誕生した作品であり、作風の異なる二人の響きが同じ舞台に立ち現れることは極めて稀な機会だ。

さらに、ピヤワット・ロウイラープラセルト氏やジャン・パトリック・ブサングラン氏といった国際的に活躍する若手作曲家の新作が加わり、鮮烈な初演が披露される。藤枝守氏の《植物文様》に基づく新作も予定されており、唯一無二の音響世界を体感できる場となる。世代を超えた作曲家たちが會田氏のために書いた作品群は、単なるコンサートを超え、音楽史の一場面として記憶されるだろう。

本公演にはピアニストの中川俊郎氏、ヴァイオリニスト河村絢音氏、打楽器奏者の岩見玲奈氏といった実力派の音楽家も加わり、アンサンブルとしての力も大いに期待できる。

東京文化会館|打楽器奏者・作曲家の會田瑞樹氏による「パーカッションリサイタル2025」開催

東京文化会館の小ホールに響く音の数々は、作曲家と演奏家、そして聴衆の間に立ち現れる豊かな対話の結晶となるはずだ。今だからこそ味わえる成熟した感性で音楽を受け止める時間となるだろう。

會田瑞樹パーカッションリサイタル2025
日時:10月3日(金)19:00開演
会場:東京文化会館小ホール
所在地:東京都台東区上野公園5-45
チケット情報ページ:https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventCd=2517137

PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000080311.html

(Fumiya Maki)

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