9月13日(土)より、奈良県立美術館にて特別展「奈良ゆかりの現代作家展 安藤榮作 ー約束の船ー」が開催される。
被災と移住を経て奈良に根を下ろした彫刻家・安藤榮作氏の約15年の軌跡をたどる、奈良初の大規模個展。
安藤榮作 《うずくまる自由》 2023年 作家蔵 撮影:木奥惠三
震災以後の15年と対話する作品群
安藤榮作氏は1961年生まれ。2011年の東日本大震災で住居や作品をすべて喪失し、福島から奈良へ避難移住した経歴をもつ。以後、吉野の木々や廃材を素材に、手斧一本で叩き刻む彫刻を制作し続けている。
本展では、奈良での活動を本格化させた2011年以降の代表作《鳳凰》《福島原発爆発ドローイング》に加え、魂の航海を表現した新作インスタレーション《約束の船.2025》を公開。

島根県「宍道鼓動芸術祭・こども Artの森 PJ」にて 2023年 撮影桐山尚子
会場に響くのは、斧で木を打つ音の記憶と、刻まれた痕跡の連なり。それは単なる造形ではなく、自然と向き合い、生命と対話する「行為」そのものだ。
見るだけではない。つくる現場に触れられる展覧会
本展は作品をただ「鑑賞する」ことにとどまらず、作家の手がける制作過程そのものに立ち会える特別な機会を用意している。
会場には常設の“公開アトリエ”が設けられ、作家が実際に木を刻み、彫刻が日々変化していく様子を目の前で見守ることができる。完成へと向かう作品の姿を追いかけるうちに、彫刻が「静止した物体」ではなく「生成のプロセス」として立ち現れる感覚を共有できるだろう。制作中の作家が来館するスケジュールはSNSで随時発信されるため、訪れるたびに異なる場面に立ち会えるのも魅力のひとつだ。
また、ピアノと歌との即興セッションを交えた斧のパフォーマンスや、作品をめぐる対話のトークセッションなど、多角的に安藤作品の世界に入り込める機会も用意されている。

掲載元:奈良県公式サイト
作品を「見る」だけでなく、音・対話・制作現場などのレイヤーを通して“彫刻とともに在る時間”を体験できる展覧会だ。
奈良ゆかりの現代作家展 安藤榮作 ー約束の船ー
会期:9月13日(土)~11月16日(日)
会場:奈良県立美術館
所在地:奈良県奈良市登大路町10-6
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日:9月16日(火)、9月22日(月)、9月29日(月)、10月6日(月)、10月14日(火)、10月20日(月)
観覧料:一般1,200円
公式サイト:https://www.pref.nara.jp/69828.htm
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000298.000142065.html
(山之内渉)