福島県の「岩瀬牧場」が、国内でわずか0.1%台しかいない希少なブラウンスイス牛のミルクを活用し、ヨーグルトやチーズ開発に挑戦する。
同牧場は震災や飼料高騰など逆境の続く福島の酪農に、循環型の持続可能なモデルを築くべく、クラウドファンディングを開始。
福島から目指す「循環型酪農」の未来
東日本大震災以降、福島の酪農家は激減。加えて、近年の飼料価格の高騰や後継者不足が、小規模牧場に追い打ちをかけ、深刻な状況が続いている。こうした逆境の中で、同牧場は「牛も人も自然も豊かになる酪農」を掲げ、新しいモデルを築こうとしている。
同牧場が目指すのは、単に乳量を追求するのではなく、牛一頭一頭の健康を第一に考える持続可能な循環型酪農だ。その基盤となるのが、付加価値の高い乳製品の開発。そこで、クラウドファンディングを通じて資金を集め、持続可能な事業モデルを確立し、福島の酪農に未来を切り拓こうとしている。

希少なブラウンスイス牛と熟練職人の技
今回のプロジェクトの核となるのは、国内での飼養頭数が0.1%台にとどまる希少なブラウンスイス牛である。同牛のミルクは乳量は少ないものの、乳脂肪分と乳たんぱく質が豊富で、チーズにした際に格別なコクと深みを生む。その特性を最大限に引き出すため、チーズ世界大会での受賞歴を持つ職人・水野氏が開発を担う。
支援金は、チーズ開発や製造に必要な設備投資、研究費に充てられる予定。幻のミルクと熟練職人の技が融合することで、世界市場でも評価されるプレミアムチーズの誕生が期待されている。

「牛一頭ヨーグルト」と特別なリターン
一般的にヨーグルトは牧場全体の牛乳を混ぜて作られる。しかし同プロジェクトでは、一頭ごとの牛乳を試飲し、最適な乳酸菌を選定してヨーグルトを製造。
さらに、廃棄されがちなホエイを煮詰めて作る「ブラウンチーズ」や、子牛への授乳体験といった牧場ならではの体験型リターンも用意されている。製品と体験を通じて、牛と人との共生を実感できる内容に注目したい。

同プロジェクトは、福島における小規模酪農の持続可能な未来を切り拓く挑戦といえる。希少なブラウンスイス牛の恵みと熟練職人の技術を融合し、世界に通じる乳製品を生み出そうという試みだ。
プロジェクトは11月末までの実施予定。支援は福島の酪農を支える力となり、牛と人の未来をともに育む一歩となるだろう。
プロジェクトページ:https://for-good.net/project/1002544
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000169461.html
(kyoko.)