空間の奥行きと記憶に焦点を当ててきた写真家・石塚元太良氏の作品展『BAUをめぐる冒険』が、10月2日(木)からカッシーナ・イクスシー青山本店にて開幕する。
建築に宿る時間性と質感を、フィルム写真ならではのまなざしで掬い取る同展では、モダニズム建築と写真が交差する静謐な対話が展開される。
空間に耳を澄ます、石塚元太良氏のまなざし
写真というメディウムを通して、現代における空間の再解釈を試みてきた石塚元太良氏。
同展では、ル・コルビュジエやフランク・ロイド・ライト、ピーター・ズントーらの名建築を被写体に、光と影、構造のリズムを精緻にとらえた約10点の作品が並ぶ。
シリーズ『Ondulatoire』を軸に、建築に潜む“時間”や“音楽性”を掘り下げる視点が展開され、同時にアラスカの氷河など自然との対話を含む作品も展示。構造物でありながら静けさを帯びた写真群が、空間に新たな余白をもたらす。
家具と写真が交わる、モダニズムの現在地
会場では、カッシーナによるル・コルビュジエ、ピエール・ジャンヌレ、シャルロット・ぺリアンの復刻コレクション60周年を記念したリミテッドエディション家具も同時に展示。
2025年ミラノデザインウィークで発表されたこのコレクションでは、赤・青・緑の光沢フレームと洗練された素材構成で、建築的存在感をたたえた全4モデルが登場する。
象徴的な建築をとらえた写真と、その思想を継承する家具たち──“BAU”というテーマのもと、空間における表現同士の共鳴が生まれる場となる。
フィルムが記憶を結ぶ、アナログ時代の挑戦
SNSやデジタル画像が加速度的に消費される現代において、石塚氏の作品は“時間に耐える写真”として際立つ。フィルムカメラで撮影され、暗室でプリントされた作品には、物質の手触りと共に、空間に積層した時間そのものが刻み込まれている。
情報ではなく記憶へ。視覚ではなく質感へ。同展に並ぶ作品は、写真の物質性や空間との関係性をあらためて見つめ直すきっかけとなりそうだ。
石塚元太良 作品展「BAUをめぐる冒険」
会期:10月2日(木)~10月14日(火)
会場:カッシーナ・イクスシー青山本店
所在地:東京都港区南青山2丁目12-14 ユニマット青山ビル
展示内容:約10点(建築作品+氷河シリーズ)
同時展示:Cassina復刻60周年リミテッドエディション家具
公式サイト:https://www.cassina-ixc.jp/index.html
PR TIMES:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000073.000020741.html
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(山之内渉)