『犬神家の一族』である。
『悪魔が来りて笛を吹く』(2018)、『八つ墓村』(2019)に続き
吉岡秀隆(1970年8月12日生れ)が金田一耕助を演じる第3弾である。
吉岡秀隆は、TVドラマ『北の国から』の黒板純で、子役から大人になるまで演じ、『Dr.コトー診療所』では離島の医師を、映画『男はつらいよ』では、主人公・車寅次郎の甥っ子満男を演じた。
ちなみに、車寅次郎を演じた渥美清(1928~1996)は、1977年の映画『八つ墓村』で金田一耕助を演じている。
(吉岡秀隆演じる金田一耕助 イラストby龍女)
今回は、演出が『鎌倉殿の13人』のメイン演出を務めた吉田照幸(1969年12月13日生れ)
脚本が特撮ヒーローモノやアニメでお馴染みの小林靖子(1965年4月7日生れ)である。
映画・ドラマで何度も映像化された横溝正史(1902~1981)の推理小説である。
次の頁では、今回のドラマのキャストの一部をイラスト化して、簡単に犬神家の一族のあらすじを紹介する。
戦後間もなくの日本。
信州財閥の大物犬神佐兵衛が亡くなった。
相続の対象となる遺族は、7人。
その内、子は娘が3人いる。
佐兵衛は正妻を持たず、3人の愛人の間に
松子(大竹しのぶ)

(大竹しのぶ扮する犬神松子 イラストby龍女)
竹子(南果歩)

(南果歩扮する犬神竹子 イラストby龍女)
梅子(堀内敬子)がいる。

(堀内敬子扮する犬神梅子 イラストby龍女)
それぞれが婿を迎えた。

(金子大地扮する犬神佐清 イラストby龍女)
松子には一人息子の佐清(すけきよ)(金子大地)
竹子は佐武(すけたけ)と小夜子、梅子は佐智(すけとも)と言う子供達がいる。

(古川琴音扮する野々宮珠世 イラストby龍女)
更に遺言状を発表する家族会議の場には、佐兵衛の恩人・野々宮大弐の孫野々宮珠世(古川琴音)が同席していた。
弁護士の古館恭三(皆川猿時)が読み上げた遺言状には
「全相続権を示す犬神家の家宝“斧(よき)・琴(こと)・菊(きく)”の三つを、野々宮珠世(佐兵衛の終世の恩人たる野々宮大弐の唯一の血縁、大弐の孫娘)が佐清、佐武、佐智の佐兵衛の3人の孫息子の中から配偶者を選ぶことを条件に、珠世に与えるものとする」
と言う奇妙な内容の遺言であった。
遺族一同は驚く。
血縁関係の無い野々宮珠世が何故犬神家の財産を相続するのか分からない。
そして、ここから野々宮珠世をめぐって犬神家の遺産を争う惨劇が始まる。
今回のドラマのロケが行われたのは岡山である。
岡山は横溝正史ゆかりの土地で、戦時中は岡山で疎開をしていた。
さて、この『犬神家の一族』はこれまでも何度も映像化されたと記述したが、その中でも決定版の作品が1976年の映画版である。
次の頁では、それを紹介しながら、今回のドラマ化にどう影響を与えたかみていこう。
昭和20年代に金田一耕助シリーズは、時代劇スターの片岡千恵蔵(1903~1983)が初めて金田一耕助を演じているが、この時はスーツ姿であった。
1976年の『犬神家の一族』の監督は市川崑(1915~2008)だ。

(市川崑監督 イラストby龍女)
初めて金田一耕助の風貌が原作通りに絣の単衣と袴姿で登場した。
演じたのは石坂浩二(1941年6月20日生れ)である。

(石坂浩二扮する金田一耕助 イラストby龍女)
犬神松子を演じたのは、高峰三枝子(1918~1990)。

(高峰三枝子扮する犬神松子 イラストby龍女)
佐清はあおい輝彦(1948年1月10日生れ)。
佐清は戦争から帰ってきて顔を怪我している為に覆面をしているのもインパクトが強い。
佐清マスクは後の作品で何度もパロディの対象になったりしている。

(あおい輝彦扮する犬神佐清 イラストby龍女)
ヒロインの野々宮珠世は島田陽子(1953~2022)が演じた。

(島田陽子扮する野々宮珠世 イラストby龍女)
石坂浩二の金田一耕助は、天使のように市川崑は演出した。
吉岡秀隆の金田一耕助は目の前の事件を困った表情をしながら解決していく。
天使よりは人間味のある雰囲気である。
松子を演じた高峰三枝子はブルーリボン助演女優賞を受賞しており、金田一耕助と松子のやりとりが『犬神家の一族』の俳優の見せ場の1つである。
今回は松子を大竹しのぶが演じているので、吉岡秀隆とやりとりが注目である。
高峰三枝子は、昭和の激動の荒波を越えてきた女性の貫禄があったが、大竹しのぶはどう演じるのか?
詳しくは言えないが、ラストの方に事件が解決した時に、大竹しのぶがどんな表情を浮かべるのか?
そこに注目している。
今からゾクゾクしていて、非常に楽しみである。
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