ファミコン時代から続く本シリーズは、長くても2~3年おきにシリーズ作が登場するなど、その展開も非常に意欲的です。
今回は、そんな人気シリーズの全体を通して見られる「あるある」をピックアップしてご紹介。プレイしていると自然と出くわすものから、こだわりプレイには欠かせないものまで、様々な「あるある」をチョイスしてみました。今回選んだものの中には、来年リリースされる最新作で味わえるものもあるかもしれません。想像の翼を広げつつ、ご覧ください。
身ぐるみを剥いで2軍送り
冒頭からかなり鬼畜な「あるある」ですが、実際に行ったユーザーも多いことでしょう。
本シリーズには、いずれも多彩なキャラクターたちが登場し、主人公の仲間となって共に戦場を駆け巡ります。が、そこはゲーム上の枷もあり、1MAPに出陣できるユニットの数には限度があります。戦略に応じて出陣メンバーを入れ替えることもありますが、育成の幅を考えると、登場ユニット全員をきっちり育て上げるのは至難の技です。
そのため、どうしても2軍扱いのメンバーも出てきますし、仲間が増えるに連れて2軍落ちは数を増します。そんな出番のないメンバーに、武器やアイテムは無用の長物。
一部の武器や作品を除き、武器や魔法は消耗品なので、予備はいくらあっても困りません。軍の台所事情を少しでも楽にするため、控えの戦士たちが素手になるのもやむを得ないことでしょう。
またこのケースとは逆に、預かり所の圧迫を防ぐため、倉庫代わりに武器やアイテムを目一杯持たされる2軍メンバー、というケースもあります。状況は真逆ですが、日の当たらない役回りという意味では同様です。申し訳ない…!
鋼の武器より鉄の武器
一般的なRPGなどでは、鉄の武器よりも鋼の武器の方が強いもの。しかし本シリーズに関しては、一概にそうとは言い切れません。与えるダメージだけで見れば、確かに鋼の武器の方が高いのですが、命中のしやすさや武器自体の重さといった項目もあり、その点で鉄の武器の方が優れている場合があります。
武器の重さは「再攻撃」の可否に影響する要素。鉄の武器なら2回攻撃できたのに、鋼だと1回だけしかできない=総ダメージに劣る、というケースもしばしば見受けられます。また、どちらの武器を使っても相手を倒せるならば、過剰なダメージに意味はないので、コストパフォーマンスの良さで鉄の武器の方が使いやすい時も多々。
ダメージの大きさだけが全ての要素ではない、というのも戦略の奥深さに繋がる要素。
次のページでは“成長に関するあるある”を紹介!
好きなユニットの成長がヘタれる
経験を積んだユニットはLVが上がり、ステータスが上昇。このステータスですが、単純に言えば力が1つ上がればダメージが1増え、守備力が1上がれば受けるダメージが1下がります。戦闘に与える影響はダイレクトで、それだけに成長は非常に重要なポイントです。
しかもユニットの成長はランダムで、どれだけ伸びるかはまさに運次第。キャラクターそれぞれに成長しやすい傾向があるものの、あくまで確率の話なので、運が悪いと平均値を下回るキャラに育ってしまう場合も。
基本的に各ユニットが成長できるLVには上限があるため、レベルアップできる回数は有限です。その限られた回数の中で、どれだけ成長するかが本作の醍醐味……でもありますが、思ったように成長しない場合もやはりあります。そしてこの悲劇は、自分のお気に入りキャラに訪れることもあり得るのです。
特に力を入れていないキャラが一度に多数のステータスが上がる一方で、お気に入りキャラがレベルアップすると、なぜか「HP +1」のみ。戦力としての不安はもちろんのこと、お気に入りが「強くなれない現実」は切なさすら伴います。この切なさがあるからこそ、更なる愛着に繋がるのですが、それが分かっていてもやはり辛い…!
より良い成長を求めてリセット
成長が思わしくなかった場合の対応は、主に2通り。
序盤ならば、やり直したとしてもさほど時間はかかりません。しかしこだわる人は、攻略の中盤や終盤でも、成長が芳しくなかった場合はリセットし、粛々とやり直します。そこまで遊んだ数十分、時には1時間を超えるプレイであっても。それだけ、ユニットの成長はプレイヤーにとって一大事なのです。
ちなみに、出来るだけ少ない手間でやり直すべく、「LVアップ直前で前のマップをクリアする」というユーザーもいます。こうしておけば、次のマップで1度攻撃しただけでLVが上がるので、やり直しの時間が最小限で済みます。こちらも、「より良い成長を求めてリセット」に関連する“あるある”のひとつです。
次のページでは“戦場で訪れる悲劇”のあるあるが登場!
思わぬ増援出現による悲劇
本シリーズの特徴的な点のひとつとして、「一度やられたユニットは、以降の戦闘に参加できない」というシステムがあります。近作では、次のマップからまた普通に戦えるようになる「カジュアルモード」が搭載されていますが、歯応えを求めるユーザーは、この“一度倒れたら終わり”というシステムに対して果敢に挑んでいます。
ユニットのステータスから戦闘結果を弾き出しやすいため、職業相性や移動距離、自軍の布陣などに充分注意しておけば、誰一人倒れることなくクリアするのも、そう難しいことではありません。
主に砦から、時にはマップ端に突如現れ、予想外の角度から自陣に迫ってくる「敵の増援」。目に見える敵は一掃し、危険はなくなったと安心して進軍している時にヤツらはやってきます。この存在に手を焼かされたプレイヤーも多いのではないでしょうか。
回復役の僧侶やシスターは攻撃手段を持たないことが多く、またHPや防御力も低め。普段は後衛に配置し厳重に守っているものの、進軍している最中は移動距離の関係から陣形はバラけてしまい、隊列は乱れがち。そんなときに限って、誰もいなかったはずの砦からソシアルナイトが現れ、陣形の隙を突いて悲劇の一撃を繰り出してくるのです。
回復は、長期化する戦闘には欠かせない要素。「きずぐすり」などで代用することもできますが、僧侶やシスターの利便性には敵いません。また、ちょっとした油断で仲間を失ったという現実に抗いたいのも人の性。増援を恨みつつ、リセットボタンに指を伸ばす。これも、すっかりお馴染みの光景です。
勝ちすぎてピンチ
戦場では、勝つことで活路が開け、戦局が有利になるものです。しかし、勝てば勝つほどピンチになる。そんな状況も、本シリーズではたびたびあります。
本シリーズのマップは、四角のマスで区切られており、1ユニットが1マスを占めます。直接攻撃する場合は隣接する上下左右のマスに近づいてから攻撃。間接攻撃の場合は、1マス離れた上下左右、もしくは斜め方向から攻撃を与えます。
そのため、隣接する4方向、最大4人からの攻撃を耐えきれば、同一ターンでそれ以上直接攻撃を食らうことはありません。間接攻撃が可能な敵もいますが、一箇所に集中するケースは割りと珍しいので、更に1~2回の攻撃が加わる程度と考えて概ね問題ないでしょう。
しかしそれは、「敵を倒さなかった場合」という前提の話です。敵を倒すと、該当ユニットが占めていたマスが空くため、そのマスに新たなユニットを配置することが可能に。新たに配置したユニットをまた倒してしまった場合は、更なるユニットがそのマスに移動可能です。これを繰り返してしまうと、敵のユニットが続々と押し寄せてくる羽目になることも。
勝ちすぎて戦闘を繰り返し、ダメージが蓄積して最終的にはやられてしまう。強いことで命運が尽きてしまうこともあるので、慢心こそが最大の敵と言えるでしょう。ちなみにもしこの難局を乗り越えたとしても、基本的に有限である経験値がひとりに集中してしまい、他のキャラの育成に影響が出てしまうのも、別の意味でピンチを招く展開です。この点も注意したいところです。
次のページでは“信用”と“こだわり”のあるあるが!
0%と100%しか信じない
本シリーズは、戦闘の結果を算出しやすいゲームシステムを備えていますが、不確定要素も存在しており、主に「命中率」と「必殺の一撃」がそれに当たります。攻撃が当たるかどうかは、戦闘において最も基本的であり重要なポイント。また「必殺の一撃」は、これが発動すると一太刀で沈みかねないダメージが出るため、与ダメージだけでなく、被ダメージの観点からも注意すべき要素です。
ステータスや装備武器、作品によっては支援効果などが加わり、0%~100%まで上下します。攻撃する時に命中率が100%なら、確定のダメージとして予め計算できるので、戦略を練る上で非常に有用。敵の必殺率が0%の時も同様で、全て想定内の戦闘を行うことができます。
しかし、時には命中率が100に届かなかったり、相手の必殺率が数%あるといったケースも皆無ではありません。そんな時、「命中率95%なら当たるだろう」「敵の必殺は2%か。なら大丈夫かな」と思って戦闘に突入してしまうこともしばしば。この思い込みは、概ねの場合で予想通りの結果を迎えますが、思い込みは思い込みに過ぎなかったと思い知らされることもあります。
こちらの攻撃は外れ、たった1%の必殺を食らって味方ユニットが倒れる。シリーズ作を多くプレイしているほど、ほんのわずかな可能性が悲劇を現実のものとする瞬間に立ち会わせてしまいます。この痛恨を味わうたびに、プレイヤーは心に刻むのです。「0と100しか信じない」と…!
MAPクリア直前まできてリセット
誰一人欠けることなく戦線を維持し、敵のほとんどを壊滅させ、成長度合いも上々。そんな好調なプレイを続けていたはずなのに、MAP終盤の敵やボスに予想以上の猛攻を受け、台無しになってしまう。そんな体験も、『ファイアーエムブレム』シリーズならではです。
そのMAPで最も強い敵=ボスというケースも多いため、最終盤が最大の関門とも言えますが、それだけにプレイヤーも充分な警戒心を持って当たります。戦力を集中し、戦闘結果を推察しながら、ダメージを受けた後のケアも準備する。そこまで手を尽くしても、手痛い一撃を刻まれることも少なくありません。
この悲劇の象徴とも言えるのが、「ブラックナイツ・カミュ」です。グルニア王国の黒騎士団を率いるカミュは、物語に大きく関わる重要人物であると共に、プレイヤーの前に立ちはだかる強大な壁でもあります。ステータスの高さに加え、三種の神器のひとつ「グラディウス」を装備しているため、その一撃は強烈そのもの。しかもグラディウスは間接攻撃も可能なので、弓や魔法にも反撃できます。
範囲外からチクチク削ることもできず、必殺の一撃が出たらまず間違いなく仲間が倒れる強烈な火力。半ば運試しのような気持ちでカミュに挑み、敢えなく散って泣く泣くリセット…そんな苦い仕打ちは、筆者もしっかりと経験しました。
次のページでは、どちらも“ついやってしまうこと”を紹介!
希少武器を使えないままゲームクリア
有用な効果を持つ武器や、伝説として語り継がれる武器なども多数登場し、どのように使いこなすかで戦況に大きな影響を与えます。1度で2回分攻撃できる「勇者」シリーズや、前述のグラディウスも含む三種の神器など、敵が持てば恐ろしく、入手できれば頼もしい武器も本シリーズの魅力のひとつ。
しかし一部の例外を除いて、伝説級の武器も消耗していくのが『ファイアーエムブレム』です。使えば強力だけども、使うとなくなる。限られているからこそ、その運用にもプレイヤーの個性が現れます。その結果、もったいなくて倉庫にしまったままエンディングを迎えてしまった方も少なくありません。
クリア直前に自軍の備蓄を確認すると、メリクルやグラディウス、パルティアといった三種の神器、ドラゴンキラーにデビルソードなど、豪華な武器の数々が並ぶことも。そして各キャラが持っているのは、鉄や鋼の武器ばかり。
ゲームをクリアした後に使う機会なんてないのに、それでも希少な武器やアイテムを取っておいてしまう性。来年リリースされる完全新作でも、同じことを繰り返してしまう予感を覚えます。
『ファイヤーエンブレム』じゃないから! タイトルの誤表記が見過ごせない
本シリーズにおける正式名称は『ファイアーエムブレム』。ですが、『ファイ“ヤ”ーエ“ン”ブレム』と間違って表記されてしまうケースも多々あります。ただの誤字、もしくは勘違いなのでスルーすればいいだけ…と分かっていても、つい「『ファイアーエムブレム』だから」と一言添えてしまいたくなるのも、シリーズファンの性でしょう。
ちなみに、25週年を記念して出版された書籍「メイキング オブ ファイアーエムブレム」にて、なぜ『ファイヤーエンブレム』ではないのかが解説されています。『ファイアーエムブレム』シリーズを作り続けてきたインテリジェントシステムズの代表取締役会長・北西亮一氏曰く、「“ファイアー”に関しては、任天堂が商標で持っていたのが大きいです。“エンブレム”に関しては、とある釣り具屋さんに使われていて使えなかったんです」とのこと。また、タイトルを大きく変えたくなかったため、“ン”を“ム”に変えることで、今のタイトル名に落ち着いたと明かしています。
事情が異なっていれば、本シリーズは『ファイヤーエンブレム』になっていたかもしれませんが、それはあくまでifの話。今後も、『ファイアーエムブレム』を楽しみ、遊び続けていきたいものです。
今回選んだ「あるある」の中でも、個々人にとって思い入れの度合いは大きく異なることと思います。そこで、今回の記事の締めくくりとして、「あるある」アンケートも実施させていただきます。あなたにとって一押しの「あるある」に投票してみてください。この結果は、後日報告いたしますのでお楽しみに!