シリアスとコメディが混ざり合った独自の世界観と、類を見ないユニークな戦闘システムで、多くのゲームファンを魅了した『END OF ETERNITY』(以下、『EoE』)。その名作が4K/フルHDに対応した『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』として、PS4とSteamのダウンロード専売にて、2018年10月18日に発売されます。
「最高にハマった」「何もかもが早すぎた」「リーンベル可愛い」などなど、多くのゲームファンを魅了した本作ですが、なぜこのタイミングでリマスター版の発売に至ったのか。インサイド編集部はその理由を探るべく、2人のキーマンにたっぷりとお話を伺ってきました。中々のボリュームになってしまいましたが、『EoE』ファンには堪らないものとなっているはず。ぜひ、お付き合いください。
なぜ今、『EoE』がリマスターされたのか
向峠慎吾氏(写真左)と勝呂隆之氏(写真右)
──まず始めに、自己紹介をお願いできますか。
向峠氏:向峠です。僕は『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』のプロデューサーをしています。
勝呂氏:勝呂です。原作のPS3/Xbox360版ディレクターをしていました。よろしくお願いします。
──今回の発表は驚きました。なぜ今、リマスター版を制作したのでしょうか?
向峠氏:きっかけは『スターオーシャン4 –THE LAST HOPE-』のリマスター版を2017年11月に発売したことでした。
──PS3/Xbox360版ではセガさんがパブリッシングに入っていましたが、今回は完全に自社だけですか?
向峠氏:そうですね、パブリッシングもトライエース。セガさんは監修という形で関わって頂いています。
──勝呂さんは『EoE』をリマスターしますと聞いたときはいかがでしたか?
勝呂氏:発売からずいぶん経ちましたが、続編を出してほしいという声もありましたし、改めて新しいユーザーに届ける機会が得られたのは嬉しいなと思います。
──今回はSteam版も発売されます。やはり、海外でのヒットも狙っていますか?
向峠氏:Steamも今はプラットフォームとして無視できないですよね。海外でも売れてほしいと思います。
勝呂氏:PCだとプラットフォームが移り変わって遊べなくなるという事が少ないので、作った側としてはコンシューマー機より嬉しいかなってところもあります。
──海外の評判はいかがですか?
向峠氏:海外も反響がでかくて驚いています。
──当時も海外ユーザーからの反響は結構あったんですか?
勝呂氏:そうですね、ハマる人とはまらない人、ボロクソ言う人とやっぱり極端。
向峠氏:今だったらアリだったんじゃないかなと思うんですけどね。リマスター作業の中で感じたのですが、2010年当時に発売されたタイトルとしてはクオリティ高いなあと。ムービーも、今見ても全然見劣りしない。4K化をしてるんですけど、ほとんどそのままアップコンバートしただけなのに、遜色無いんです。
──リマスター版は、どこらへんが大きく変わっているのでしょうか?
向峠氏:ゲーム自体は素直に原作重視です。内容で変えたところはないですね。特徴を挙げるとすれば、PS4版でもPC版のように、被写界深度やブラーなどを細かく設定できるようにしました。普通なら、ゲーム側で最適化された設定を一つ用意するだけですが、色々と画面設定もこだわりたいユーザー向けに、そういう仕様になっています。
──ユーザーとしてはありがたいですね。
向峠氏:4k化ってやっぱ負荷が高いんです。解像度で言うと描画が9倍になるわけです。
──基本的には、コンテンツの部分は当時のままですか?
向峠氏:当時のままで十分いいと思ってます。「ちょっと難しいから簡単にしよう」なんて下手に弄ると、原作の良さが無くなっちゃうので。
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◆銃を扱うがゆえに生まれた、“10円サッカー”のような戦闘システム
──当時、あの独特な戦闘システムが衝撃的でした。どういう経緯で出来上がったんですか?
向峠氏:ああ、それは僕も聞きたい。
勝呂氏:作っていったら、自然とそうなったっていうのが正しいのかも。結局、メイン武器が銃じゃないですか。従来のRPGでいう剣とは違って銃は遠距離攻撃になりますし、普通に撃つだけじゃ派手なアクションも無いというところから、あのような形になりました。
──システム自体は、凄く複雑ですよね。慣れてくればその複雑さが味になってくるのですが。
勝呂氏:作っているときは複雑っていう印象は無かったんですけどね。
向峠氏:複雑というか、わかりにくいんですよね。用語も難しめだし。「レゾナンスアタック」って言われてもなんだろう?と。その概念を説明するチュートリアルはあるんですが、そこを理解して乗り越えるというハードルが高いんですよね。もちろん、わかってからは面白くなるんですけど。言ってること自体は、そんなに難しくないんです。ただ走りながら撃たないと駄目とか、これまでのRPGにはない概念じゃないですか。
勝呂氏:そうですね、もともとのコンセプトが「戦闘の演出を派手にしましょう」というもので。ただ、作品のテーマである銃を止まって撃つと、剣とかと比べて地味ですし、だから走って攻撃しましょうと。そのあたりから普通のゲームとは違う操作性や、ゲームシステムが生まれたのかなって思います。
──凄く新鮮な体験ではありました。
勝呂氏:最初に決まっていたのは「走りながら攻撃する」、「演出を強化する」って所ぐらいで。キャラクター3人が三角形を描いてグルグル回るっていう要素は、開発終盤に入りました。おはじきみたいに、キャラクター2人の間を通って~というのは、結構初期の段階から入っていたんですけども、それを三角形で締めるっていうのはギリギリで思いつきました。
向峠氏:10円サッカーみたいな要素がレゾナンスアタックの概念にくっついたのは、本当に最後だったんですね。
勝呂氏:それを思いつくまでは、10円サッカーシステム自体入れるのやめようかなとも思っていました。
◆独創的なマップやカスタマイズシステムは、まったく悩まずに出来上がった
向峠氏:原作は、当時にしてはネットを上手く使ってプロモーションしてますね。YouTubeに動画を投稿しているし、Twitterも頑張ってた。今なら普通なんですけどね。『EoE』は、色々と先取りしすぎで、時代が追いついてきたっていうのがすごいです。
勝呂氏:当時は、セガさんもノリノリで「こんなんやったら面白いんじゃないか」とかいうのを積極的にやっていきましたからね。
──キャラクターやストーリー、あとワールドマップも独特でしたね。
向峠氏:あれはあれで、別ゲーでしたね。
勝呂氏:マップシステムやカスタマイズシステムは苦労せず、パッと思いついたんです。一日二日で仕上げて、「こんな感じで」みたいな。戦闘の三角形グルグルに比べたら、本当まったく悩んだ覚えがないですね。しかもそんなウリになるとは思ってなかった。
──武器のカスタマイズが凄かったですね。スコープにスコープを乗っけて、さらにスコープを…(笑)。
勝呂氏:銃って、マニアが見ても変なところがないようにモデルとかもきっちり作ってあるんですよ。なのにカスタマイズシステムがこんな形にしたらマズいかなと色々あったんですが…。まあ、ゲームだしと。
向峠氏:「まあゲームだし」って割り切ってますよね。銃の話もそうですけど、マップをヘキサで広げていくっていうのも、そもそもゲームの話だし。バトルだって、なんで真ん中通っていくと良いことになってんのっていう。
勝呂氏:設定はみんな後付ですしね。
向峠氏:そこを振り切っちゃってるのが良いんですよ。設定を重視しておきながら、遊びが縛られないっていうところがスゴい。それでいてシナリオもシリアスかと思いきや、コミカルもあるという。ほんと、独創的なんだよね。
勝呂氏:当時、セガさんとは「まず、コアユーザーが満足できるようなものを」という話をしていました。振り切ってもあまり文句は言われなかったというか、「こんなんライトユーザーは無理ですよ」みたいな話は一切無かったです。
向峠氏:当時のコンシューマーだからアリなのかなって思うんですよね。今、スマホとかで無料のF2Pでとりあえず触らせてって、つかみが良くないとユーザーがその時点で離れちゃうんですよ。まあそういうビジネスなんで、それはそうなんですけど。でもコンシューマーゲームって先に買うじゃないですか。買ってからやっぱ難しくて投げる方もいると思うんですけど、面白いかどうか少し頑張ってやってみるっていうところもあるんで。
勝呂氏:昔はそういうユーザー、今で言うPCゲームユーザーに近いのはありましたね。
向峠氏:原作は体験版で分かりにくいという声もあったけど、「あれ、実はこれ面白いんじゃないか」っていうユーザーも出てきて、じわじわと評価されていきましたよね。そういうところがコンシューマーにはあるのかなと。
勝呂氏:そこで言うと、チュートリアル的なプレイってよくあるじゃないですか。できることを絞って、だんだん広げていくという。実は最初、戦闘はそういう作りにしてたんですよ。けれど、「銃を撃ちまそう」「次は走ってみましょう」とか、まどろっこしいなって。コアユーザーがターゲットなら、最初から全部開放しておいて、自分らでやってくれるほうがいいやっていうことで、やめました。
向峠氏:段々やらせていくと、その面白さに到達するまでに少し時間かかるよね。『ラビリンスの彼方』(※2012年にトライエースが開発し、コナミより発売されたニンテンドー3DS専用タイトル。数字を絡めた独特の戦闘システムが特徴的)はそうじゃなかった?
勝呂氏:あれは逆に、チュートリアルが長過ぎた…。
向峠氏:反省を活かして、今度逆行きすぎちゃうパターンですね。
勝呂氏:違うんですよ。あれはバランス調整しきれなかったんです。ぶっちゃけ、もう半分くらいの長さでよかったですね。
向峠氏:『EoE』には闘技場にチュートリアルがありますけども、あれを頑張って乗り切らないといけないじゃないですか。ここ、もう少し何かできたんじゃないかなって。
勝呂氏:そうですね、時間の限り頑張ったんですけどね。なかなか制作時間の都合上、あれが限界でした。
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◆印象深い“ヴァシュロンダンス”など、今なお愛されるキャラクターたち
──基本ストーリー自体はシリアスなんですけど、要所要所でコミカルなシーンも入ってましたね。
勝呂氏:基本的にはイベントシーン・カットシーンは極力短く。一つのシーンで可能な限りオチはつけようっていう方針で作ってました。
──発売されるまで一切出てなかったんですよね。そういう要素が入ってるとかは。
勝呂氏:発売するまでは結構、スカしたというか。シリアスでカッコつけてる風なのを全面に推してましたね。
──あえて隠した、ということですか。
勝呂氏:そうですね、そこらへんは一切出さず、発売前はシリアスなシーンだけ出していこうと。
──改めてプレイしたんですが、キャラクターがやっぱり濃ゆいなと思ってました。あの…何だったんですかね、ヴァシュロンダンスとか。刺激が強すぎて、若干アレに塗りつぶされた感が。ビッグマグナムとか言ってたな…。
勝呂氏:あれは元々、ああいう演出じゃなかったんですよ。モーションキャプチャーを取るときにアクターさんが装置を付けて演じるじゃないですか。で、PCにその動きが表示されるんですけども、アクターさんに「なるべく複雑な動きをやってみてください」とお願いして、どこまで動きに追従できるのか試してたんです。その中にあのモーションが有って、後から「あ、ここに使えそうだな」と入れたんです。
向峠氏:それ用に録ったんじゃないんですね。
勝呂氏:それ用に録ったわけではないです。あのイベントシーン、コンテを切ったのは男性なんですけど、組み込んだのは女性だったんですよ。すげーイヤイヤ作ってた。
──今だったら人事とかに言われちゃう。
勝呂氏:それ言ったらリーンベルも普通の服の上から、水着を描いた服があったじゃないですか。水着を作ろうって話はあったんですけど、ちょっと時間がないし。モデルを用意する余裕もないんで。もういいや服の上から水着を描いちゃってってデザイナーに言ったら、「すっげーやりたくないんですけど」って。
向峠氏:やりたくないでしょ。だったら水着作るわって言いそう。
勝呂氏:ゼファーにはTバックもあったし、よく許されましたね。今だとヘタすると出せない。
向峠氏:でもね。ああいうのがあるから面白いんだと思うんですよ。今だったらセクハラだよねってことも、彼らは平気で言いますよね。ヴァシュロンやゼファーは。リーンベルの貧乳をいじるじゃないですか。その時点でもうだめでしょみたいな。
──たしかに、そうですね。
向峠氏:ところで前から聞いてみたかったんだけど、メインキャラクターの3人を決めた時に、男・男・女にしたのって理由があるんですか?
勝呂氏:男・女・女だとお話作りにくいじゃないですか。構成としては。
向峠氏:そうなの? いやね、男・女・女のハーレム状態もあるかなって。
勝呂氏:あー、男・女・女だと、なんか話が重くなりすぎちゃう感じがしません?
向峠氏:私の勝手な理屈かもしれませんが、男・男・女って少女漫画的なのかなと思ってます。例えば、男・女・女だと「マクロスF」で、男・男・女だと「ちはやふる」なんです。どっちかっていうと男性がプレイしそうな『EoE』で、なんで男・男・女にしたのかなって?
勝呂氏:ヴァシュロンは年上で、リーンベルとゼファーが近いってイメージでした。
向峠氏:ああ、兄貴と男女、って感じなんだ。なるほどね。実際そういう構成ですしね。
勝呂氏:まあ、キャラは濃かったですよね。ボイス収録とか、これだけのためにこの声優さんにお願いして良いのかなっていうのもありましたし。
──リーンベルはいまだに人気ですよね。ちょくちょくコラボ衣装とかでますし。
勝呂氏:このゲームの紅一点ではありますからね。
──当時、リーンベルのパンツを見ようとしてた人がいっぱいいました。
勝呂氏:その前に手掛けたタイトルで、同じように女性キャラのパンツが見えちゃう要素があって、全部手作業で潰したんですよね。今回もそういう作業が必要かなって思ったんですけど、セガさんが「まあいいよいいよ」みたいな感じで。
向峠氏:このゲーム性で見えないようにするのってけっこう大変ですよね。バトルとか特にね。
勝呂氏:見えないようにしてくれと言われる覚悟はしてたんですよ。けれど「そこに手間をかけるよりも」ということで。
──飛び回るゲームですもんね。
勝呂氏:もしやれって言われたら、けっこう大変だったなと。
──確か昔プレイしていた時、特定の衣装でリーンベルの胸が揺れるって話しがありました。
勝呂氏:あっ、あったかもしれないですね!
──作中では“枯れた土地”とか言われてたんですけど、あれって本当に揺れてるんですか?
勝呂氏:確か揺れたと思いますよ。
向峠氏:「この衣装だけ揺れる」とかしないですよね。
勝呂氏:いや、でも確か胸の揺れは入れたような気がしますね。揺らすべきなのか揺らさないべきなのかって話を、セガさんを含めて割と真面目に話した覚えがあります。
向峠氏:でもあの大きさなら普通揺らさないでしょ。
勝呂氏:そうですね、いやらしい感じにはしたくなくて。エロネタは入れてるけど、カラッとした、子供がボインて言ってるような方向で考えてました。
向峠氏:デザインもベタではないですよね。どっちかっていうと、ファッション雑誌とかに出てくるような感じで、デザインを狙ってないような気がするんです。
勝呂氏:確かに、露出も少なめ目ですしね。あんまりそういった方向は無かったです。
◆序盤を乗り越えて、戦闘の快楽を味わってほしい
──リマスター版をプレイしての感想なんですが、こんなに街の作りこみが凄かったんだなと驚きました。
向峠氏:オープンワールドだと、一箇所をあそこまで作り込むってなかなか大変ですよね。オープンワールドじゃない選択がいい方向に振れていると思います。
勝呂氏:逆にオープンワールドじゃない方向を突き詰めようと考えていました。意味なく歩いたりするのを排除するために、マップも歩かずに済むシステムにしたというか。街では、世界観を表現したかったんです。『EoE』の街は、ほぼ横スクロールでカメラもあまり回せません。今どき横スクロールとも思いましたが、「じゃあカメラを回せて楽しいか?」って考えた時に、特に何も無く。それでカメラを固定して絵を作りこんだほうが良いかとなりました。
──背景も「あんなに動いてたっけ?」ってくらい綺麗ですよね。4Kになって、改めて見入ってしまいました。
向峠氏:特に作り直してないんで、当時からそうだったってことですね。
勝呂氏:実はPS3、XBox360で得意不得意があったので、プラットホーム毎に、微調整しています。
──リマスター版で初めて本作に触れるプレイヤーもいると思います。独特なシステムで知られる戦闘について、アドバイスがあれば。
向峠氏:簡単に言うと「走って、撃て」なんですよね。最初なんか普通にエンカウントして、何やって良いか分からず死ぬこともあるので、まっさきにチュートリアルのある闘技場に行って頂ければ。まあ、闘技場に着く前にエンカウントする時もあるんですが…。まずはそこを乗り切ってほしいと思います。
勝呂氏:普通のイメージだとその場で撃つ通常攻撃があった上で、ゲージを使って走るのがより強い攻撃に見えるじゃないですか。でも、このゲームは通常攻撃がオマケみたいなもので、そこが勘違いしやすいのかなって。
──スクラッチダメージとダイレクトダメージも特徴的ですよね。
向峠氏:あ、そこも分かり難いポイントですね。
勝呂氏:全てのキャラクターが銃を使うので、なにか差別化する要素が無いとなあと思って取り入れました。グレネード系だけは、蛇足感あるんですけど。
──銃器のところでいうと、基本ゼファーがサブマシンガン、ヴァシュロンとリーンベルがハンドガンなんですよね。普通だったらもっとバラけさせるのかなって。ショットガンやアサルトライフル、スナイパーライフルとか無かったのは、なぜなのでしょう。
勝呂氏:そこは言っちゃいけないのかもですが、モーションを作るコストの都合ですね。新しい武器種を1つ追加すると複数のモーションをキャラクター全員分用意しなきゃいけなくて、そこが一番の理由です。戦闘は演出を繰り返し見るので、モーションが地味になるのは避けたくて。武器の数を削ってでも、一つの武器のモーション数を増やすようにしました。
向峠氏:続編やるんだったら武器の種類増やしてもいいですよね。
勝呂氏:そうですね。アサルトライフルなどのアイデアは開発からも出てたんですよ。ただ、先ほどのモーション作成コストもありますし、「この武器はスクラッチなの?ダイレクトなの?」なんて位置づけで蛇足感が出るので、見送りました。
──先ほどからちょくちょく続編という話がありますが、構想としてはあるのでしょうか?
勝呂氏:やれたらいいですねぇ。
向峠氏:やれたらいいですね。
勝呂氏:やっぱり一作目なんで手が届かないところもあったり、こういう部分をこうしたいなっていう部分もあります。そのへんも含めて、機会があれば。
向峠氏:今回のリマスター版で、リブートできれば良いなと思いますけどね。売れたら話を持っていきたいですね。
──続編をやるとしたら、セガさんに持っていくということになるんですか?
向峠氏:そうですね、まずはセガさんに話したいです。
──今回はPS4とSteam向けの発売となりますが、ニンテンドースイッチ版の可能性は?
向峠氏:可能性はなくはないと思うんですけどね。最近コンシューマーゲームが良くなってきてる感じしますよね。
勝呂氏:タッチパネル系の操作とか親和性良さそうな気がするんですけどね。
──最後に締めとして、これから遊ぶユーザーに一言お願いします。
勝呂氏:とっつきにくいと言われていますが、WebやYouTube等で情報を出してくれている方がいらっしゃるので、それを見て根気良く遊んでもらえると嬉しいかなと思います。
向峠氏:当時は早すぎると言われてましたけど、今見ると、全てのクオリティが現代と比較して遜色無いレベルなんだなと改めて思います。だからこそ、今あえてプレイしてほしいなと思います。PS4版とPC版、どちらもよろしくお願いします。
「最高にハマった」「何もかもが早すぎた」「リーンベル可愛い」などなど、多くのゲームファンを魅了した本作ですが、なぜこのタイミングでリマスター版の発売に至ったのか。インサイド編集部はその理由を探るべく、2人のキーマンにたっぷりとお話を伺ってきました。中々のボリュームになってしまいましたが、『EoE』ファンには堪らないものとなっているはず。ぜひ、お付き合いください。
なぜ今、『EoE』がリマスターされたのか
向峠慎吾氏(写真左)と勝呂隆之氏(写真右)
──まず始めに、自己紹介をお願いできますか。
向峠氏:向峠です。僕は『END OF ETERNITY 4K/HD EDITION』のプロデューサーをしています。
勝呂氏:勝呂です。原作のPS3/Xbox360版ディレクターをしていました。よろしくお願いします。
──今回の発表は驚きました。なぜ今、リマスター版を制作したのでしょうか?
向峠氏:きっかけは『スターオーシャン4 –THE LAST HOPE-』のリマスター版を2017年11月に発売したことでした。
このプロジェクトで元々あったタイトルをリマスターしてPS4とSteamに出すという経験をしたのですが、終わった後に「他に何かリマスターできるタイトルはないの?」という流れになりまして。そこで、『EoE』が良いんじゃないかということでセガさんにお話したところ、「トライエースさんがやるならどうぞ」となった次第です。本音を言うと、これで売れて、続編制作につながったらうれしいです。
──PS3/Xbox360版ではセガさんがパブリッシングに入っていましたが、今回は完全に自社だけですか?
向峠氏:そうですね、パブリッシングもトライエース。セガさんは監修という形で関わって頂いています。
──勝呂さんは『EoE』をリマスターしますと聞いたときはいかがでしたか?
勝呂氏:発売からずいぶん経ちましたが、続編を出してほしいという声もありましたし、改めて新しいユーザーに届ける機会が得られたのは嬉しいなと思います。
──今回はSteam版も発売されます。やはり、海外でのヒットも狙っていますか?
向峠氏:Steamも今はプラットフォームとして無視できないですよね。海外でも売れてほしいと思います。
勝呂氏:PCだとプラットフォームが移り変わって遊べなくなるという事が少ないので、作った側としてはコンシューマー機より嬉しいかなってところもあります。
──海外の評判はいかがですか?
向峠氏:海外も反響がでかくて驚いています。
──当時も海外ユーザーからの反響は結構あったんですか?
勝呂氏:そうですね、ハマる人とはまらない人、ボロクソ言う人とやっぱり極端。
別れがちな感じではありました。
向峠氏:今だったらアリだったんじゃないかなと思うんですけどね。リマスター作業の中で感じたのですが、2010年当時に発売されたタイトルとしてはクオリティ高いなあと。ムービーも、今見ても全然見劣りしない。4K化をしてるんですけど、ほとんどそのままアップコンバートしただけなのに、遜色無いんです。
──リマスター版は、どこらへんが大きく変わっているのでしょうか?
向峠氏:ゲーム自体は素直に原作重視です。内容で変えたところはないですね。特徴を挙げるとすれば、PS4版でもPC版のように、被写界深度やブラーなどを細かく設定できるようにしました。普通なら、ゲーム側で最適化された設定を一つ用意するだけですが、色々と画面設定もこだわりたいユーザー向けに、そういう仕様になっています。
──ユーザーとしてはありがたいですね。
向峠氏:4k化ってやっぱ負荷が高いんです。解像度で言うと描画が9倍になるわけです。
そうするとマシンスペックは相当必要で、PS4 Proでもフルフルでエフェクトをいれると結構しんどい。極限まで最適化はしましたので、最大限のパフォーマンスは出せてると思うんですけども、フレームレートを最優先にしたい方もいるでしょうし、そこに配慮した形です。
──基本的には、コンテンツの部分は当時のままですか?
向峠氏:当時のままで十分いいと思ってます。「ちょっと難しいから簡単にしよう」なんて下手に弄ると、原作の良さが無くなっちゃうので。
次のページ:唯一無二な戦闘システムが生まれた背景を振り返る
◆銃を扱うがゆえに生まれた、“10円サッカー”のような戦闘システム
──当時、あの独特な戦闘システムが衝撃的でした。どういう経緯で出来上がったんですか?
向峠氏:ああ、それは僕も聞きたい。
勝呂氏:作っていったら、自然とそうなったっていうのが正しいのかも。結局、メイン武器が銃じゃないですか。従来のRPGでいう剣とは違って銃は遠距離攻撃になりますし、普通に撃つだけじゃ派手なアクションも無いというところから、あのような形になりました。
──システム自体は、凄く複雑ですよね。慣れてくればその複雑さが味になってくるのですが。
勝呂氏:作っているときは複雑っていう印象は無かったんですけどね。
似ているゲームは無いなとは思いました。
向峠氏:複雑というか、わかりにくいんですよね。用語も難しめだし。「レゾナンスアタック」って言われてもなんだろう?と。その概念を説明するチュートリアルはあるんですが、そこを理解して乗り越えるというハードルが高いんですよね。もちろん、わかってからは面白くなるんですけど。言ってること自体は、そんなに難しくないんです。ただ走りながら撃たないと駄目とか、これまでのRPGにはない概念じゃないですか。
勝呂氏:そうですね、もともとのコンセプトが「戦闘の演出を派手にしましょう」というもので。ただ、作品のテーマである銃を止まって撃つと、剣とかと比べて地味ですし、だから走って攻撃しましょうと。そのあたりから普通のゲームとは違う操作性や、ゲームシステムが生まれたのかなって思います。
──凄く新鮮な体験ではありました。
勝呂氏:最初に決まっていたのは「走りながら攻撃する」、「演出を強化する」って所ぐらいで。キャラクター3人が三角形を描いてグルグル回るっていう要素は、開発終盤に入りました。おはじきみたいに、キャラクター2人の間を通って~というのは、結構初期の段階から入っていたんですけども、それを三角形で締めるっていうのはギリギリで思いつきました。
向峠氏:10円サッカーみたいな要素がレゾナンスアタックの概念にくっついたのは、本当に最後だったんですね。
勝呂氏:それを思いつくまでは、10円サッカーシステム自体入れるのやめようかなとも思っていました。
◆独創的なマップやカスタマイズシステムは、まったく悩まずに出来上がった
向峠氏:原作は、当時にしてはネットを上手く使ってプロモーションしてますね。YouTubeに動画を投稿しているし、Twitterも頑張ってた。今なら普通なんですけどね。『EoE』は、色々と先取りしすぎで、時代が追いついてきたっていうのがすごいです。
勝呂氏:当時は、セガさんもノリノリで「こんなんやったら面白いんじゃないか」とかいうのを積極的にやっていきましたからね。
──キャラクターやストーリー、あとワールドマップも独特でしたね。
向峠氏:あれはあれで、別ゲーでしたね。
RPGなのに、なんでマップをヘキサにして広げてくのかな?と。
勝呂氏:マップシステムやカスタマイズシステムは苦労せず、パッと思いついたんです。一日二日で仕上げて、「こんな感じで」みたいな。戦闘の三角形グルグルに比べたら、本当まったく悩んだ覚えがないですね。しかもそんなウリになるとは思ってなかった。
──武器のカスタマイズが凄かったですね。スコープにスコープを乗っけて、さらにスコープを…(笑)。
勝呂氏:銃って、マニアが見ても変なところがないようにモデルとかもきっちり作ってあるんですよ。なのにカスタマイズシステムがこんな形にしたらマズいかなと色々あったんですが…。まあ、ゲームだしと。
向峠氏:「まあゲームだし」って割り切ってますよね。銃の話もそうですけど、マップをヘキサで広げていくっていうのも、そもそもゲームの話だし。バトルだって、なんで真ん中通っていくと良いことになってんのっていう。
勝呂氏:設定はみんな後付ですしね。
向峠氏:そこを振り切っちゃってるのが良いんですよ。設定を重視しておきながら、遊びが縛られないっていうところがスゴい。それでいてシナリオもシリアスかと思いきや、コミカルもあるという。ほんと、独創的なんだよね。
勝呂氏:当時、セガさんとは「まず、コアユーザーが満足できるようなものを」という話をしていました。振り切ってもあまり文句は言われなかったというか、「こんなんライトユーザーは無理ですよ」みたいな話は一切無かったです。
向峠氏:当時のコンシューマーだからアリなのかなって思うんですよね。今、スマホとかで無料のF2Pでとりあえず触らせてって、つかみが良くないとユーザーがその時点で離れちゃうんですよ。まあそういうビジネスなんで、それはそうなんですけど。でもコンシューマーゲームって先に買うじゃないですか。買ってからやっぱ難しくて投げる方もいると思うんですけど、面白いかどうか少し頑張ってやってみるっていうところもあるんで。
勝呂氏:昔はそういうユーザー、今で言うPCゲームユーザーに近いのはありましたね。
向峠氏:原作は体験版で分かりにくいという声もあったけど、「あれ、実はこれ面白いんじゃないか」っていうユーザーも出てきて、じわじわと評価されていきましたよね。そういうところがコンシューマーにはあるのかなと。
勝呂氏:そこで言うと、チュートリアル的なプレイってよくあるじゃないですか。できることを絞って、だんだん広げていくという。実は最初、戦闘はそういう作りにしてたんですよ。けれど、「銃を撃ちまそう」「次は走ってみましょう」とか、まどろっこしいなって。コアユーザーがターゲットなら、最初から全部開放しておいて、自分らでやってくれるほうがいいやっていうことで、やめました。
向峠氏:段々やらせていくと、その面白さに到達するまでに少し時間かかるよね。『ラビリンスの彼方』(※2012年にトライエースが開発し、コナミより発売されたニンテンドー3DS専用タイトル。数字を絡めた独特の戦闘システムが特徴的)はそうじゃなかった?
勝呂氏:あれは逆に、チュートリアルが長過ぎた…。
向峠氏:反省を活かして、今度逆行きすぎちゃうパターンですね。
勝呂氏:違うんですよ。あれはバランス調整しきれなかったんです。ぶっちゃけ、もう半分くらいの長さでよかったですね。
向峠氏:『EoE』には闘技場にチュートリアルがありますけども、あれを頑張って乗り切らないといけないじゃないですか。ここ、もう少し何かできたんじゃないかなって。
勝呂氏:そうですね、時間の限り頑張ったんですけどね。なかなか制作時間の都合上、あれが限界でした。
次のページ:“ヴァシュロンダンス”に隠された裏話とは…
◆印象深い“ヴァシュロンダンス”など、今なお愛されるキャラクターたち
──基本ストーリー自体はシリアスなんですけど、要所要所でコミカルなシーンも入ってましたね。
勝呂氏:基本的にはイベントシーン・カットシーンは極力短く。一つのシーンで可能な限りオチはつけようっていう方針で作ってました。
──発売されるまで一切出てなかったんですよね。そういう要素が入ってるとかは。
勝呂氏:発売するまでは結構、スカしたというか。シリアスでカッコつけてる風なのを全面に推してましたね。
──あえて隠した、ということですか。
勝呂氏:そうですね、そこらへんは一切出さず、発売前はシリアスなシーンだけ出していこうと。
──改めてプレイしたんですが、キャラクターがやっぱり濃ゆいなと思ってました。あの…何だったんですかね、ヴァシュロンダンスとか。刺激が強すぎて、若干アレに塗りつぶされた感が。ビッグマグナムとか言ってたな…。
勝呂氏:あれは元々、ああいう演出じゃなかったんですよ。モーションキャプチャーを取るときにアクターさんが装置を付けて演じるじゃないですか。で、PCにその動きが表示されるんですけども、アクターさんに「なるべく複雑な動きをやってみてください」とお願いして、どこまで動きに追従できるのか試してたんです。その中にあのモーションが有って、後から「あ、ここに使えそうだな」と入れたんです。
向峠氏:それ用に録ったんじゃないんですね。
勝呂氏:それ用に録ったわけではないです。あのイベントシーン、コンテを切ったのは男性なんですけど、組み込んだのは女性だったんですよ。すげーイヤイヤ作ってた。
──今だったら人事とかに言われちゃう。
勝呂氏:それ言ったらリーンベルも普通の服の上から、水着を描いた服があったじゃないですか。水着を作ろうって話はあったんですけど、ちょっと時間がないし。モデルを用意する余裕もないんで。もういいや服の上から水着を描いちゃってってデザイナーに言ったら、「すっげーやりたくないんですけど」って。
向峠氏:やりたくないでしょ。だったら水着作るわって言いそう。
勝呂氏:ゼファーにはTバックもあったし、よく許されましたね。今だとヘタすると出せない。
向峠氏:でもね。ああいうのがあるから面白いんだと思うんですよ。今だったらセクハラだよねってことも、彼らは平気で言いますよね。ヴァシュロンやゼファーは。リーンベルの貧乳をいじるじゃないですか。その時点でもうだめでしょみたいな。
──たしかに、そうですね。
向峠氏:ところで前から聞いてみたかったんだけど、メインキャラクターの3人を決めた時に、男・男・女にしたのって理由があるんですか?
勝呂氏:男・女・女だとお話作りにくいじゃないですか。構成としては。
向峠氏:そうなの? いやね、男・女・女のハーレム状態もあるかなって。
勝呂氏:あー、男・女・女だと、なんか話が重くなりすぎちゃう感じがしません?
向峠氏:私の勝手な理屈かもしれませんが、男・男・女って少女漫画的なのかなと思ってます。例えば、男・女・女だと「マクロスF」で、男・男・女だと「ちはやふる」なんです。どっちかっていうと男性がプレイしそうな『EoE』で、なんで男・男・女にしたのかなって?
勝呂氏:ヴァシュロンは年上で、リーンベルとゼファーが近いってイメージでした。
向峠氏:ああ、兄貴と男女、って感じなんだ。なるほどね。実際そういう構成ですしね。
勝呂氏:まあ、キャラは濃かったですよね。ボイス収録とか、これだけのためにこの声優さんにお願いして良いのかなっていうのもありましたし。
──リーンベルはいまだに人気ですよね。ちょくちょくコラボ衣装とかでますし。
勝呂氏:このゲームの紅一点ではありますからね。
──当時、リーンベルのパンツを見ようとしてた人がいっぱいいました。
勝呂氏:その前に手掛けたタイトルで、同じように女性キャラのパンツが見えちゃう要素があって、全部手作業で潰したんですよね。今回もそういう作業が必要かなって思ったんですけど、セガさんが「まあいいよいいよ」みたいな感じで。
向峠氏:このゲーム性で見えないようにするのってけっこう大変ですよね。バトルとか特にね。
勝呂氏:見えないようにしてくれと言われる覚悟はしてたんですよ。けれど「そこに手間をかけるよりも」ということで。
──飛び回るゲームですもんね。
勝呂氏:もしやれって言われたら、けっこう大変だったなと。
──確か昔プレイしていた時、特定の衣装でリーンベルの胸が揺れるって話しがありました。
勝呂氏:あっ、あったかもしれないですね!
──作中では“枯れた土地”とか言われてたんですけど、あれって本当に揺れてるんですか?
勝呂氏:確か揺れたと思いますよ。
向峠氏:「この衣装だけ揺れる」とかしないですよね。
勝呂氏:いや、でも確か胸の揺れは入れたような気がしますね。揺らすべきなのか揺らさないべきなのかって話を、セガさんを含めて割と真面目に話した覚えがあります。
向峠氏:でもあの大きさなら普通揺らさないでしょ。
勝呂氏:そうですね、いやらしい感じにはしたくなくて。エロネタは入れてるけど、カラッとした、子供がボインて言ってるような方向で考えてました。
向峠氏:デザインもベタではないですよね。どっちかっていうと、ファッション雑誌とかに出てくるような感じで、デザインを狙ってないような気がするんです。
勝呂氏:確かに、露出も少なめ目ですしね。あんまりそういった方向は無かったです。
◆序盤を乗り越えて、戦闘の快楽を味わってほしい
──リマスター版をプレイしての感想なんですが、こんなに街の作りこみが凄かったんだなと驚きました。
向峠氏:オープンワールドだと、一箇所をあそこまで作り込むってなかなか大変ですよね。オープンワールドじゃない選択がいい方向に振れていると思います。
勝呂氏:逆にオープンワールドじゃない方向を突き詰めようと考えていました。意味なく歩いたりするのを排除するために、マップも歩かずに済むシステムにしたというか。街では、世界観を表現したかったんです。『EoE』の街は、ほぼ横スクロールでカメラもあまり回せません。今どき横スクロールとも思いましたが、「じゃあカメラを回せて楽しいか?」って考えた時に、特に何も無く。それでカメラを固定して絵を作りこんだほうが良いかとなりました。
──背景も「あんなに動いてたっけ?」ってくらい綺麗ですよね。4Kになって、改めて見入ってしまいました。
向峠氏:特に作り直してないんで、当時からそうだったってことですね。
勝呂氏:実はPS3、XBox360で得意不得意があったので、プラットホーム毎に、微調整しています。
──リマスター版で初めて本作に触れるプレイヤーもいると思います。独特なシステムで知られる戦闘について、アドバイスがあれば。
向峠氏:簡単に言うと「走って、撃て」なんですよね。最初なんか普通にエンカウントして、何やって良いか分からず死ぬこともあるので、まっさきにチュートリアルのある闘技場に行って頂ければ。まあ、闘技場に着く前にエンカウントする時もあるんですが…。まずはそこを乗り切ってほしいと思います。
勝呂氏:普通のイメージだとその場で撃つ通常攻撃があった上で、ゲージを使って走るのがより強い攻撃に見えるじゃないですか。でも、このゲームは通常攻撃がオマケみたいなもので、そこが勘違いしやすいのかなって。
──スクラッチダメージとダイレクトダメージも特徴的ですよね。
向峠氏:あ、そこも分かり難いポイントですね。
勝呂氏:全てのキャラクターが銃を使うので、なにか差別化する要素が無いとなあと思って取り入れました。グレネード系だけは、蛇足感あるんですけど。
──銃器のところでいうと、基本ゼファーがサブマシンガン、ヴァシュロンとリーンベルがハンドガンなんですよね。普通だったらもっとバラけさせるのかなって。ショットガンやアサルトライフル、スナイパーライフルとか無かったのは、なぜなのでしょう。
勝呂氏:そこは言っちゃいけないのかもですが、モーションを作るコストの都合ですね。新しい武器種を1つ追加すると複数のモーションをキャラクター全員分用意しなきゃいけなくて、そこが一番の理由です。戦闘は演出を繰り返し見るので、モーションが地味になるのは避けたくて。武器の数を削ってでも、一つの武器のモーション数を増やすようにしました。
向峠氏:続編やるんだったら武器の種類増やしてもいいですよね。
勝呂氏:そうですね。アサルトライフルなどのアイデアは開発からも出てたんですよ。ただ、先ほどのモーション作成コストもありますし、「この武器はスクラッチなの?ダイレクトなの?」なんて位置づけで蛇足感が出るので、見送りました。
──先ほどからちょくちょく続編という話がありますが、構想としてはあるのでしょうか?
勝呂氏:やれたらいいですねぇ。
向峠氏:やれたらいいですね。
勝呂氏:やっぱり一作目なんで手が届かないところもあったり、こういう部分をこうしたいなっていう部分もあります。そのへんも含めて、機会があれば。
向峠氏:今回のリマスター版で、リブートできれば良いなと思いますけどね。売れたら話を持っていきたいですね。
──続編をやるとしたら、セガさんに持っていくということになるんですか?
向峠氏:そうですね、まずはセガさんに話したいです。
──今回はPS4とSteam向けの発売となりますが、ニンテンドースイッチ版の可能性は?
向峠氏:可能性はなくはないと思うんですけどね。最近コンシューマーゲームが良くなってきてる感じしますよね。
勝呂氏:タッチパネル系の操作とか親和性良さそうな気がするんですけどね。
──最後に締めとして、これから遊ぶユーザーに一言お願いします。
勝呂氏:とっつきにくいと言われていますが、WebやYouTube等で情報を出してくれている方がいらっしゃるので、それを見て根気良く遊んでもらえると嬉しいかなと思います。
向峠氏:当時は早すぎると言われてましたけど、今見ると、全てのクオリティが現代と比較して遜色無いレベルなんだなと改めて思います。だからこそ、今あえてプレイしてほしいなと思います。PS4版とPC版、どちらもよろしくお願いします。
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