2019年6月11日(現地時間)から3日間に渡って開催された「E3 2019」。今年もさまざまな新情報が公開されましたが、なかでも『あつまれ どうぶつの森』(任天堂)の2020年3月20日発売の決定は、大きなトピックのひとつだったと言えるでしょう。
今作は無人島が舞台になるということで、期待しているファンも多いのではないでしょうか。

今回はこの『どうぶつの森』シリーズ最大のヒット作『おいでよ どうぶつの森』(任天堂)が発売された2005年のゲームを振り返っていきます。この年は前年に発売された任天堂の携帯用ゲーム機・ニンテンドーDSが大躍進。ハード、ソフトともに驚異的な販売数を記録し、ちょっとした社会現象になりました。

2005年のおもなニュースも見ておきましょう。この年は小泉純一郎首相(当時)が郵政民営化を争点に衆議院を解散。総選挙で圧倒的な勝利をおさめ、「小泉劇場」が流行語になりました。そのほか、JR福知山線の脱線事故、首都圏マンションの耐震偽装発覚、ライブドアによるニッポン放送株の大量取得などのニュースが世間を騒がせました。

スポーツではこの年に東北楽天ゴールデンイーグルスがプロ野球に新規参入。セ・リーグとパ・リーグの交流戦もこの年から始まっています。また、ディープインパクトの無敗での牡馬三冠制覇達成も大きなニュースとなりました。

映画のヒット作は宮崎駿監督作『ハウルの動く城』(公開は2004年11月から)、ネットの書き込みから生まれた物語が一大ブームとなった『電車男』、『ハリー・ポッター』シリーズ第4作『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』など。
音楽では修二と彰の『青春アミーゴ』、ケツメイシの『さくら』などがヒットしました。

マンガでは久米田康治の『さよなら絶望先生』、椎名軽穂の『君に届け』などが連載開始。アニメでは『交響詩篇エウレカセブン』、『灼眼のシャナ』などが人気を博しました。また、この年にアニメ『ドラえもん』の主要声優が一斉交代となっています。

おいでよ どうぶつの森
発売日:2005年11月23日
機種:ニンテンドーDS
販売元:任天堂

どうぶつたちが暮らす村で自分だけのスローライフを楽しめる、人気シリーズ第4弾にして初めての携帯ゲーム機向けの作品です。このシリーズの一番の魅力は、とにかく自由なことでしょう。自宅のインテリアに凝るのもよし、どうぶつたちとのおしゃべりを楽しむのもよし。村に好きな木や花を植えたり、虫や魚を採ったり、化石を集めたりと、できることはさまざまで、明確な目的もないので自分なりの楽しみ方ができます。村のどうぶつたちもユニークで可愛らしく、女性にも人気になったのはご存知のとおりです。

こうした要素で着実に支持を集めてきた『どうぶつの森』シリーズですが、その人気をさらに押し広げたのが本作の通信機能を使った他のプレイヤーとの交流です。ニンテンドーDS本体を持ち寄って最大4人で同時に遊ぶことが可能で、手軽に誰かの村に集まって遊んだり、アイテムを交換したりできるのですが、これが非常に楽しく、多くのプレイヤーが時間を忘れてハマったものです。

Wi-Fiによるオンラインサービスにも対応しており、見知らぬ人との交流も楽しめることから人気はさらに拡大。
本作はロングセラーとなり、国内累計出荷本数535万本、全世界で1,173万本(※1)というとてつもない記録を打ち立てました。ちなみに、当時はまだ一般家庭での無線LAN環境が普及していなかったことからUSB接続型の無線LANアダプタ、ニンテンドーWi-Fi USBコネクタもヒット商品になっています。

※1:数字はすべて一般社団法人コンピュータエンタテインメント協会発行の『2018CESAゲーム白書』より

先述したように、2005年はニンテンドーDSソフトが市場を席巻した1年でした。特に大きな話題となったのは、さまざまなトレーニングゲームで脳を活性化する『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太郎教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』(任天堂)で国内累計出荷本数396万本を記録。第2弾となる『もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング』(任天堂)は500万本超えを達成するなど『脳トレ』ブームを巻き起こしました。

さらに、ニンテンドーDSの通信機能を使ってオンライン対戦を楽しめる人気レースゲーム『マリオカートDS』(任天堂)が累計出荷本数200万本超えを記録。かわいい子犬や子猫を育てていく『nintendogs』(任天堂)や、頭を柔らかくするさまざまなクイズに挑戦できる『やわらかあたま塾』(任天堂)もミリオンを達成するなど、超ヒット作が続出する一大ブームとなりました。

龍が如く
発売日:2005年12月8日
機種:プレイステーション2
販売元:セガ(現セガゲームス)

神室町という架空の街を舞台に、「堂島の龍」の異名を持つ伝説の極道・桐生一馬の活躍を描いたアクションアドベンチャーのシリーズ第1作です。親友の身代わりとなって服役した桐生と消えた100億円の鍵を握る少女・遥を軸に、漢たちの熱きドラマが展開されていくというもので、ヤクザ組織などの裏社会を描いたことから大きな話題となりました。

最大の見どころはやはり神室町という街の存在でしょう。新宿歌舞伎町をモデルにした箱庭世界で、当時の街の雰囲気をリアルに再現。人々が行き交うネオン街を自由に歩き回って、ショーパブ、バクチ場、バッティングセンター、ゲームセンターなどのプレイスポットも自由に利用できるようになっていました。
ユニークかつ多彩なサブストーリーも多数用意されており、本編そっちのけでハマったという人も多いことでしょう。

もちろん、メインのストーリーも非常にドラマチックで見応えたっぷりです。現在、プレイステーション4向けにグラフィックやシステムが一新された『龍が如く極』が発売中ですので、これからプレイするという人にはコチラがおすすめです。

また、2019年6月20日に『龍が如く5 夢、叶えし者』のリマスター版がプレイステーション4で発売。1作目の前日譚となる『龍が如く0 誓いの場所』から桐生の物語が完結する『龍が如く6 命の詩。』までの本編シリーズ7作が、すべてプレイステーション4で楽しめるようになりました。さらに、本シリーズと世界観を同じくする『JUDGE EYES:死神の遺言』の新価格版も2019年7月18日に発売されますので、この機会に体験してみてはいかがでしょうか。

モンスターハンターポータブル
発売日:2005年12月1日
機種:プレイステーションポータブル
販売元:カプコン

ハンターとなって強大なモンスターたちに挑んでいく、おなじみの『モンスターハンター』シリーズ。本作はプレイステーション2向けに発売された第2作目『モンスターハンターG』をプレイステーション・ポータブル(以下「PSP」)に移植したもので、シリーズ初の携帯機向け作品です。

他のプレイヤーたちとの協力プレイが『モンハン』シリーズの醍醐味ですが、当時プレイステーション2の『モンハン』は通信を利用する際、特定のサービスを利用するなどの必要があり、一般層にはややハードルが高く感じられたものです。しかし、本作はPSP本体を持ち寄って、友だち同士で気軽に通信プレイを楽しめることから、協力プレイの面白さがじわじわと浸透。じょじょに人気が拡大していき、2006年度の日本ゲーム大賞特別賞を受賞するスマッシュヒットとなりました。


本作の成功を機に『モンハン』シリーズは携帯機向けに次々と新作をリリース。2008年発売の『モンスターハンター ポータブル 2nd G』(カプコン)が爆発的ヒットとなるなど、日本のゲームを代表する超人気シリーズのひとつに成長していくことになります。

ワンダと巨像
発売日:2005年10月27日
機種:プレイステーション2
販売元:SCE(現SIE)

『ICO』(SCE)、『人喰いの大鷲トリコ』(SIE)などを手がけたことで知られる上田文人氏の監督作品です。主人公の青年ワンダとなって愛馬のアグロとともに謎の巨像を倒していくというもので、幻想的な世界観と巨像たちとのスペクタクルな戦いが話題となりました。

見上げるような巨像たちはいずれも圧倒的スケールで、大空を舞う鳥のような姿のものや地中を進む竜のようなものなど造形やタイプもさまざま。そうした巨像たちにしがみつき、よじ登り、弱点に刃を突き立てて倒していくのですが、攻略法がそれぞれ異なっており、いかにして弱点にたどり着くか探し出していくのも大きな魅力となっていました。

このように巨像たちとの戦いは迫力満点でやり応えたっぷりなのですが、トドメを刺したときに巨像が崩れ落ちるさまはどこか悲しげで、少し罪悪感を抱かせるものでした。本作のキャッチコピーは「最後の一撃は、せつない」というものだったのですが、これが作品世界にピッタリで、実際に多くのプレイヤーが切なさを覚えたものです。広大かつ美麗な世界をアグロとともに駆け巡るのも楽しく、プレイステーション2を代表する名作として、今なお多くの支持を集めています。

そのほかのヒット作も紹介しておきます。プレイステーション2ではサッカーゲームの定番『ワールドサッカーウイニングイレブン9』(コナミ)、三国志の英傑たちを操作して群がる敵をなぎ倒していくシリーズ第4弾『真・三國無双4』(コーエー:現コーエーテクモゲームス)、ディズニーとの人気コラボタイトル第2弾『キングダム ハーツII』(スクウェア・エニックス)がミリオンヒットを記録。戦国武将をスタイリッシュに描いたシリーズ第1作目『戦国BASARA』(カプコン)、人気RPG『テイルズ』シリーズの第8作目となる『テイルズ オブ ジ アビス』(ナムコ:現バンダイナムコエンターテインメント)なども話題となりました。


西部開拓時代のアメリカを舞台にしたロックスター・ゲームスの『レッド・デッド・リボルバー』(カプコン)の日本版もこの年の発売です。日本では知る人ぞ知るタイトルですが、欧米では絶大な支持を集めスマッシュヒット。傑作オープンワールドゲーム『レッド・デッド・リデンプション』シリーズに繋がっていくことになります。

ニンテンドーゲームキューブ向けでは主人公をカメラが背後から追う、いわゆるTPSタイプへと変貌を遂げた『バイオハザード4』(カプコン)が人気に。本作はプレイステーション2版なども発売されています。アーケードではプロデューサーとなって女の子たちを人気アイドルへと育て上げていく『THE IDOLM@STER(アイドルマスター)』(ナムコ)が稼働開始。現在まで続くシリーズ人気の火付け役となりました。

2005年は業界再編が加速した年でもありました。8月にスクウェア・エニックスがタイトーを子会社化。バンダイとナムコの経営統合やトミーとタカラの合併なども相次いで発表されました。ゲームの重厚長大化による開発費の高騰など産業構造の変化に対応すべく、各メーカーが生き残り策を模索する激動期だったと言えるでしょう。

次世代ハードの覇権争いが本格化したのもこの年で、マイクロソフトのXbox360が日本で12月10日に発売。
価格は39,795円(税込)で、『リッジレーサー6』(ナムコ)、『パーフェクトダーク ゼロ』(マイクロソフト)などが本体と同時発売されました。日本国内での売れ行きは今ひとつでしたが、海外での人気は高く、全世界で総出荷台数約8,000万台を記録。翌年に発売された任天堂のWiiやソニーのプレイステーション3と互角の戦いを演じました。
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