PS3ソフトとして2013年にリリースされた『The Last of Us』は、発生したパンデミックにより、それまでの秩序が崩壊。混乱と危険が蔓延する世界を舞台に、主人公ジョエルと少女エリーの奇妙な2人旅を、サバイバルアクションとして描きました。


音によって相手の位置を特定し、慎重かつ大胆な決断で難敵に立ち向かうステルス性の高いゲーム面と、“感染者”がもたらした混迷の時代を生きる人々の濃厚な人間ドラマが好評を博し、国内外で大ヒットを記録。PS3を代表するソフトの1本として、本作の名前を挙げる方も少なくありません。

そんな人気作の正式名続編であり、成長したエリーを主人公に据えた『The Last of Us Part II』が、6月19日に発売されました。前作はパンデミック発生の20年後が舞台でしたが、『The Last of Us Part II』はそこから更に5年が経過。エリーも19歳となり、本作開始時点では町の中で暮らしています。

ゲームの展開も気になりますが、パンデミックから25年が経った本作の世界は、どのような生活水準になっているのか。この世界の復興具合も気になるところです。状況が状況なので、土地や環境によって生活水準は大きく異なるかと思いますが、今回は主人公・エリーの自室を通して、『The Last of Us Part II』の生活環境をチェックしたいと思います。

衣・食・住は足りているのか? ライフラインの状況は? 19歳女性のリアルな生活に迫る

部屋全体はあまり飾り気がなく、必要に応じたものが並んでいるという印象をまず受けます。とはいえ、パンデミック後という事情を踏まえると、現代ほど余裕がないのは当然の話なので、むしろ物資がしっかり揃っている点が意外なほどでした。

まず注目したいのが、電気スタンド。煌々とした灯りで部屋を明るく照らしており、電気が問題なく使えることが分かります。
ケーブルも見えるので、電池式や充電式ではなく、この家に電力が供給されているものと思われます。

前作では、水力発電所を修復する一幕がありました。おそらくあの水力発電所が、今も現役で活動し、電力を生み出しているのでしょう。苦労も多いと思いますが、この世界の中では、かなり恵まれた状況なのかもしれません。

生活環境の話からは逸れますが、スタンドの隣りにあるナイフからは、この世界がまだ過酷である状況が見て取れます。むき出しで置かれているのは、引き出しなどにしまう必要がないくらい、頻繁に使われているためでしょうか。

エリーのナイフ捌きは前作でもお目にかかれましたが、本作でも引き続きナイフを愛用しています。前作を経験した人の中には、このナイフを見て、かつての旅路に想いを馳せた方もいるのでは。

電気があるとはいえ、暖房に関しては薪ストーブに頼っている模様。既に薪も置かれているので、寒い時期は常用しているのでしょう。エリーの家がある町は雪深い場所にあるので、よほどの暖房器具がない限り、薪ストーブの方が暖を取れそうです。

生活に欠かせない要素といえば、「水」も外せません。
食事にトイレ、お風呂など、果たして自室で済ませることができるのか。

浴槽や水洗の便器を確認。汚れていないところを見ると、手入れも行き届いている模様。つまり、日常的に使っているものと思われます。

そして、繋がっているパイプを辿ってみると、天井付近にドラム缶を発見。どうやら水は貯水式で、ここからトイレに水を送ったり、シャワーを浴びることができるようです。

洗面台にもパイプが繋がっていました。石鹸らしきものが見えるほか、「SORP」という手書きラベルが貼られたビンも。

台所に目を向けると、こちらにもドラム缶とパイプが。ここで食事を作ることも十分できそうです。

見える範囲の調理器具は少なめですが、食料関係は結構豊富に揃っています。瓶詰めも多く見られ、食生活については安定している様子。


起きたばかりなので乱れていますが、シーツや枕などに汚れはなく清潔そう。睡眠環境も、まずまずと言って良さそうです。

壁には写真やイラストが飾られています。左上の写真は、エリーの近況でしょうか。誰かに撮ってもらったのかもしれませんが、写真撮影や現像が可能な生活環境が、エリーの周辺にあるようです。

屋根のある住まい、電気や水などのライフライン、食料の備蓄とくれば、次は衣類。現代のようにファッションを自由に楽しめる時代ではないでしょうが、衣装棚にはそれなりの衣類が揃っているように見えます。

雪深い土地柄ですし、山などに赴く機会も多そうなので、靴はしっかりとしたブーツや運動靴、長靴など。環境に合わせたチョイスです。

この時期に羽織ることが多い上着でしょうか。この3着とは別に、厚手のものがデスクの椅子にも1着かかっていました。

ハンガーにかかってるシャツ類も、ざっと20着以上。
また視線を下げると、サマーシーズンの衣類をしまった衣装ケースもあります。見た限りでは、衣服も困ってなさそうです。

こちらは部屋の外ですが、ビニール栽培が行われていたり、街中にしっかりと電線が張られていたりと、しっかりとした生活基盤が築かれている様子が窺えます。

パンデミックから25年。コミュニティによっては、これだけ衣食住が安定した場所もあるようです。ここならエリーも安心して暮らせるでしょうし、ジョエルが腰を落ち着けたのも納得です。

生活が安定しているなら、娯楽についてはどうでしょうか。続いて、エリーの部屋から見える娯楽環境にも迫ってみたいと思います。

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娯楽は、アナログからデジタルまで! そして、忘れられない過去の片鱗も

街中では、雪合戦などに興じる子供たちの姿がありました。状況が状況なので、屋外(ただし街中)での遊びも活発なようです。

ですが、インドアの娯楽がないかと言えば、そんなことはありません。エリーの部屋を見れば、それは一目瞭然。
まずローテーブルには、様々なアメコミが置かれていました。

小規模でも印刷技術が残っているのか、パンデミック前に出版されたものを回収したのか。背景までは分かりませんが、少なくとも一個人が自室でコミックを楽しめる環境はあるようです。テーブルの隅には、カードゲームのカードも。作中では、エリーがカード集めにハマっている様子も描写されています。

テーブルの下にもズラリ。積み上げられた箱の方は、おそらくボードゲームでしょう。

ソファ脇の棚にも、ボードゲームらしき箱などが鎮座。書籍もあり、自室での娯楽もそれなりにありそうです。

しかも、娯楽はアナログに限りません。TVにDVDデッキと、娯楽方面の家電製品も並んでいました。もちろん映像ソフトもあるので、映画やドラマを楽しんでいるのでしょう。


ですが、娯楽向けの家電製品はまだあります。TVの前に、何やら黒い箱が。

近寄ると、本体に刻まれたロゴがはっきり確認できます。その正体はなんと、「PlayStation 3」でした。ソニーのロゴなどもはっきり分かります。

隣りには、『Jak & Daxter Collection』や『Uncharted』などが。アクション系が好きなのか、それともゲームソフトまではなかなか見つからないのか。エリーの性格的に、アクションが好きそうなイメージはあります。

コントローラが2個置かれているところを見ると、友達を招いて一緒に遊んだりしているのでしょうか。娯楽に使える電力や時間的なゆとりがあるあたり、エリーたちの生活は余裕があるように感じます。

冒頭でジョエルからもらったギターも立てかけてあります。アナログとデジタル、その両方が彼女の生活を豊かにしているのでしょう。

デスク回りには、カセットデッキや書籍、ポスターなどが。品揃えこそ少なめですが、彼女の日常がぎゅっと詰め込まれています。

衣食住が安定しているとはいえ、やはりまだ銃は身近な存在。感染者の脅威は依然続いていますし、豊かな町ならば襲撃者の標的にもされかねません。平和を守るために戦う。それもまた、当然の話です。

日記代わりのノートの脇には、ウォークマンらしきものも。サイズ的に、カセットタイプのものでしょう。充電式なのか、それとも電池の蓄えが豊富なのか。音楽が楽しめるのも、生活水準の高さの証です。

棚には、様々な書籍と電子ゲームらしきものが。こちらも稼働するのか、もしくはインテリアとして置かれているのか。

そして棚の上には、前作経験者ならば見逃せないものが置かれています。

ロボットの玩具。アメコミやアクションゲームを楽しむエリーの日々を想像すると、こうしたものがあってもおかしくはありません。ですが、この玩具の形状は、前作に登場したものに似ています。そう、サムに渡した玩具に。

あの時の玩具を、エリーはずっと持っていたのでしょうか。それとも同じものを見つけて、飾ったのでしょうか。エリーとサムは、ある意味で近い境遇ながら、その一方で遠い結末を辿りました。それだけに、今も忘れられない存在なのかもしれません。

エリーが過ごす部屋には、電気や水があり、食料や衣類も十分。本にボードゲームと、日々の余暇を豊かにするお供にも事欠きません。PS3まであったのは、本当に驚きました。

そして、ジョエルからもらったギターに、忘れられない出来事の象徴ともいえる玩具。ここには、豊かな今と、過去との繋がりがあります。

パンデミック後に生まれた彼女は、それ以前の物に溢れた世界を知りません。ですが、彼女の日常と歩みが詰まったこの部屋を、いつかの時代と比べ、悲観しなければならない理由は微塵もありません。そんな力強さと幸せの片鱗が、彼女の部屋から感じられました。

ですが、本編の幕開けはこれから。エリーはまた、厳しい旅路につかねばなりません。この部屋に無事戻ってくることを、切に願うばかりです。
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