発売決定の第一報や収録タイトルの公表など、情報公開のたびに大きな話題となった「メガドライブ ミニ」。かつて多くのゲームファンを魅了したゲーム機「メガドライブ」の魅力を詰め込んだ本商品は、2019年9月19日に発売されました。


早くも1周年を迎える形となった「メガドライブ ミニ」には、名作やプレミア価格のレアソフト、ユニークな個性作など42タイトルを収録。この中には、当時発売されなかった『ダライアス』と『テトリス』も含まれており、こだわりと熱意の結晶と言えるでしょう。

「メガドライブ ミニ」で遊べるゲームは素晴らしいものばかりです。しかし、メガドライブを支えたタイトルは、もちろんそれだけではありません。そこで今回は、「メガドライブ ミニ」には収録されなかった作品に光を当て、紹介させていただきます。

──ですが、メガドライブソフトは国内だけでも600タイトルを超えており、その中から魅力溢れる作品だけを厳選したとしても、とてもピックアップしきれません。

そのため、例えば『アドバンスド大戦略 ドイツ電撃作戦』のような、多くの方に認知されている名作たちは見送り、埋もれてしまいがちなマイナー系の中から、当時の筆者が実際に良く遊んだ6作品を紹介したいと思います。

こちらで取り上げる懐かしのタイトルたちを眺めながら、「メガドライブ ミニ」の生誕1年を祝ってみてはいかがでしょうか。そして、「メガドライブ ミニ」未収録のタイトルを集めた「メガドライブ ミニ2」の発売を、共に願いましょう。メガドラソフトのラインナップ的に、まだまだいけるはず!

支援機の存在がロボ心をくすぐる『エクスランザー』

メガドライブでロボゲーと言えば、『重装機兵レイノス』の名がよく挙がります。この『レイノス』もいいゲームですが、『エクスランザー』もメガドラ史に残るロボゲーとして推したいところです。

まず『エクスランザー』の凄い点は、一目で分かるグラフィック。
メガドライブの同時発色数は64色ですが、その限界を超えた128色を実現しています。もちろん色の多さだけでなく、多重スクロールなども盛り込んだ演出性の高さを合わせ持ち、美しい描画と豊かなゲーム演出の相乗効果が圧倒的でした。

本作は横スクロールタイプのアクションSTGですが、ステージ1では奥側に向かって飛び交う砲撃という演出を眺めつつ戦います。戦火の激しさが伝わる、良演出です。

またステージ開始前には、状況やターゲットをワイヤーフレームで表示。徹底してビジュアルで伝える姿勢にこだわりを感じます。

そしてロボゲーとしての魅力は、なんといってもサポートメカの存在。プレイヤーが操作する機体に追従し、さらには合体も可能と、至れり尽くせり。ロボゲーは数あれど、いつでも任意で合体・分離ができるアクションゲームはなかなかありません。

難点を挙げるならば、『レイノス』とは違う方向ながら、こちらも手強いバランスになっているところでしょう。いつまでも飛んでいられる浮遊感はクセになりますし、動きも軽快なのですが、その分制御するのが難しく、それでいて慎重な操作が求められるので、ゲーム面では惜しい部分もあります。

慣性のある動きやサポートメカの使い方に慣れるまでがちょっと大変ですが、ビジュアル表現などの演出力の高さはかなりのものなので、埋もれるには惜しい1作です。


爽快STGと印象的なデモに惹かれた『エレメンタルマスター』

ファンタジー世界を舞台に様々な魔法を駆使して戦う、縦スクロールSTG『エレメンタルマスター』。当時、1日1回『エレメンタルマスター』をクリアするルーティンをしばらく続けていました。それだけ遊びやすく、また繰り返しプレイしたい魅力を秘めたSTGだと思います。

最初の4ステージは任意で選択でき、攻略順を選べます。というのも、最初から使える魔法は「光」のみで、あとは各ステージをクリアすることで、ステージに対応した魔法(地・水・火・風)がひとつずつ使えるようになります。いわゆる『ロックマン』方式ですね。

最終的には、5つの魔法を任意で切り替えながら戦います。場面によって効果的な魔法が異なるので、使い分けは非常に重要。この戦略性が、長く遊ぶ上でもいいスパイスになりました。

敵は下からも現れますし、突進するボスがいるので、魔法は上方向だけでなく下方向にも撃てます。敵の出現方向もメリハリのひとつとなって、ほどよい緊張感を楽しませてくれます。ステージもそれぞれで特色があるので、初見の際は驚きの連続でした。


あと、当時気に入っていた点のひとつが、オープニングやステージの合間などにあるデモシーン。まずゲーム開始直後の時点で、主人公「ラディン」は、ボスである「骸羅王」と対面します。この急展開ぶりに痺れますし、「骸羅王」というネーミングセンスも推したいところ。

そしてこの骸羅王、実はラディンの兄でした。RPGなら終盤にありそうな展開です。最初からストーリー展開がハイスピード過ぎる。

兄の所業に対して「狂ってる・・・」と呟いたラディンに、「狂っていた方が、楽しいことは多いぞ」と骸羅王。この台詞、当時の自分は妙に納得しました。そう言われたら反論の余地もない!

デモシーンの紹介に熱が入ってしまいましたが、全体的に操作感もよく、難易度もノーマルならクリアしやすかったので、サクサク遊べる良作STGとして長年楽しませていただきました。しかし、本作に限ったことではないんですが、周囲の友人は誰も『エレメンタルマスター』を遊んでおらず、話題に出来ないのが残念でした・・・。

<cms-pagelink data-text="アーケード原作のゲームも、メガドライブを彩りました" data-page="2" data-class="center"></cms-pagelink>

敵地に潜入、爆発でフィニッシュ!な『クラックダウン』

敵の基地に侵入し、ミッションを達成する。映画のようなそのシチュエーションを堪能させてくれるゲームといえば、『メタルギア』シリーズなどが有名ですが、筆者としては『クラックダウン』も外せません。


この『クラックダウン』は、迷路のようなステージが舞台で、「×」印に爆弾をセットして脱出する面クリア型のアクションゲーム。真上からの見下ろす視点なので、周囲の状況は把握しやすく、またマップも表示されているので、「どこから攻めていくか」を考えながら挑む楽しさがあります。

潜入して目的を果たすタイプですが、基本的には銃などをガンガン撃って問題なし。ただし、撃たれると1発でやられるので、銃を乱射してキャッホーとは真逆の方向性です。むしろ弾を1発撃っては隠れ、隙を見てもう1発撃つ。そんな、ちょっと地味目なゲーム進行となります。

キャラクターの移動速度はそれほど速くないので、弾を見てから機敏に回避・・・というのは難しいところ。ですが、「壁に張り付く」というアクションがあり、張り付いている間は敵の弾を避けることができます。

また、目的は爆弾の設置なので、敵を倒す主な理由は“危険性の排除”。スルーできそうな敵と無理に戦う必要がないのも、本作らしい駆け引きのひとつです。一般的なアクションとは異なるプレイ感も好印象でした。

ちなみに、画面右下が敵の情報で埋まっているのは、2人同時プレイが可能なため。
2人で遊ぶ際は、2P側の画面が右下に現れます。2人同時プレイ前提の割り切った画面構成が、いっそ清々しい。

スクロールの向こうに敵がいないかビクビクしながら進み、張り付きが遅れたら一発でダウン。残機制とはいえやられる時はあっけなく、そして敵を全滅させる必要のなさが攻略の幅を拡げてくれます。

難点を言うなれば、非常に“地味”なところでしょうか。ですが、ちまちまと動かすアクションが好きな人なら、かなり相性がいいと思います。元々アーケードゲームなので、自分の腕前磨きが楽しいタイプの作品ですね。

ちなみに『クラックダウン』は、STEAM版が配信中です。日本語がサポートされていないのは残念ですが、元々日本語のテキストが重要なゲームではないので、今から遊びたい人はSTEAM版がお勧めです。価格も98円と、お手頃にもほどがある!

戦略性の高さが楽しいアクションゲーム『ゲイングランド』

ちまちま動かす系アクションと言えば、『ゲイングランド』もメガドラ史に刻まれるべき存在です。こちらも見下ろし型のアクションゲームで、2人同時プレイも可能と、『クラックダウン』といくつか共通点があります。

ただし、こちらのフィールドは固定型で、スクロールはなし。
更に高低差があり、敵の攻撃もかなり激しいと、遊びの方向性は大きく異なります。

キャラクターの移動速度が遅めですが、これはゲームバランスと関係しており、敵の放つ攻撃は目視で避けることも可能。ただし、間合いやタイミングによっては逃げ切れないことも多いので、移動速度をしっかりと把握し、いかに適切な距離を保ちながら攻撃するかが非常に重要なのです。

ちなみに操作キャラは残機制ですが、1キャラが1機に当たり、それぞれ性能も異なります。各キャラが、高い位置に攻撃可能、射程が長い、連射が効くといった長所を持っており、その能力を活かした攻略が勝利の鍵に。アクションでありながら、シミュレーション的な側面も合わせ持わせています。

各キャラは1度攻撃を食らうだけでやられますが、まだ助けられる手段はあります。倒れた仲間はその場に留まっているので、別の仲間で回収し、連れたまま出口に辿り着けば、次のステージから無事復帰。しかし回収せずにクリアしたり、回収中に別のキャラが倒れると、救出は失敗となり、もう戻ってきません。

この「1度目の失敗はリカバリー可能だが、2度連続の失敗はアウト」というバランスが絶妙で、ミスを取り戻す好プレイや、取り返せなかった失望が、プレイ体験を思い出に変えてくれます。

最初にいる仲間は3人ですが、ステージを進めると救出待ちの仲間が何人も出てくるので、無事に助けられれば戦力はどんどん増えていきます──が、敵の攻撃も本当に容赦ないので、難易度的には結構な歯応えがあります。

特徴の異なる仲間を集め、先々のステージで誰をどこに投入するか想定しながら、現戦力でやりくりする。その計算と、想定を実現するテクニックが問われる『ゲイングランド』は、地味目ながら歯応え満点の良作です。

ちなみに本作も、手軽に遊べる手段があります。『クラックダウン』と同じくSTEAM(こちらも98円)で配信されているほか、アーケード版がニンテンドースイッチのDLソフトになっています。メガドライブ版とアーケード版はプレイ感もやや異なるので、両方遊んで比べてみるのも一興ですよ。

<cms-pagelink data-text="当時、誰かと分かち合いたかった最後の2作品はこれだ!" data-page="3" data-class="center"></cms-pagelink>

対戦アクションとしての完成度が高い『ボールジャックス』

今回、名作や知名度の高い作品以外から選んでいますが、グラフィックに定評のある『エクスランザー』、手堅い完成度の『エレメンタルマスター』、アーケード版から始まった『クラックダウン』に『ゲイングランド』と、いずれも一定の支持を集める作品ばかりでした。

ですが、ここで紹介する『ボールジャックス』は、今回選んだ6本の中でも最も知名度が低いことと思います。試しに「“ボールジャックス”」でGoogleで検索したところ、中古販売やオークションサイトばかり。もちろん、本作を紹介しているブログなどもありましたが、検索件数は約3,020件。他の5本と比べても、1桁少ない結果でした。

そんな『ボールジャックス』ですが、ユニークかつ珍しいゲーム性を持っており、完成度もかなり高いと感じています。ジャンルは、画面固定型の対戦アクション・・・ですが、相手を直接攻撃するのではなく、スポーツに近い競技型のゲームです。

自分も相手も、カニ型の機体を操作し、爪を射出して相手の陣地にあるボールを奪います。ボールは合わせて4つあり、その全てを奪って一定時間継続すると勝利。奪われた後も、制限時間内にボールを奪い返せば試合が続くので、最後まで油断できません。

射出する爪は視線で追える程度の速さなので、到達位置とボールの移動速度を予測して撃つ必要があります。この見極めが絶妙で、気持ちが焦ると早すぎたり遅かったりで掴めません。また、爪は両手にあるので、時間差でひとつのボールを狙うもよし、同時に2つのボールを奪うのもまたよしです。

そして、直接攻撃できないものの、間接的な攻撃手段が存在します。爪が掴んだボールは、引き寄せつつの上下移動が可能で、このボールを敵にぶつけるとダメージ発生。ダメージが累積すると爆発し、機体を修復しなければなりません。

修理中は無防備になるので、こちらはボールを奪い放題。ボールが全て揃っていれば、勝利にグッと近づきます。もちろん、自分の機体も攻撃を受ければダメージを負うので注意が必要です。ボールの奪取や攻撃に気を取られて連続ダメージ、といった展開も少なくありません。

形勢が不利でも覆しやすく、移動中のボールを奪い返すなどの小技もあり、独自ながら完成度の高いゲームルールを備えた『ボールジャックス』。対戦アクションとしていい出来なのは間違いありません──が、やることに代わり映えがないので、CPU相手にずっと戦っていると飽きが来るのも事実です。

対戦相手の友人がいれば、かなり盛り上がるタイプのゲームなだけに、知名度の低さは残念なところです。筆者の周囲にも、『ボールジャックス』を遊んでいる人がいて欲しかった・・・。

決して“美少女だけ”のSTGじゃない! 技術力の高さと絶妙なゲーム性が魅力の『グレイランサー』

今回紹介する最後のタイトルは、横スクロールSTG『グレイランサー』です。『エレメンタルマスター』も含め、当時はかなりの数のSTGがリリースされましたが、その中でも指折りに入るほど個人的に気に入っている作品です。

決して、主人公の「ルーシア」が美少女だから、という理由ではありません! 確かに可愛いけども!

当時は、美少女を全面に押し出してアピールする作品が少なからずあり、その中には“美少女推しでゲーム性は今ひとつ”といった作品も残念ながら存在しました。そうした影響から、美少女色が強いゲームを敬遠するユーザーもいたほどです。

しかし、『グレイランサー』はそもそもゲームとして素晴らしい、と声を大にして言いたい! 遊べばすぐに分かりますが、ステージ1から多重スクロールによる演出でプレイヤーを圧倒。舞台となる宇宙の壮大さを、プレイ直後から感じさせてくれます。流れる背景の雄大さが、画像では伝わらなくてもどかしいばかりです。

多重スクロールで流れる小惑星帯に目を奪われつつ先に進むと、更に惑星も徐々にフレームイン。一体いくつスクロールさせれば気が済むんだと、当時痺れたものです。

ステージ4では、仕切られた回廊の中を突き進む高速スクロール。また、画面内に収まらない戦艦とのバトルや惑星内を飛ぶステージもあるほか、下方向や上方向、時には後方へのスクロールもあり、ステージ構成のメリハリもたまりません。

機体性能としては、追従する2機のオプションが攻略上の鍵となります。このオプション(ガンナー)の操作方法もユニークで、レバー入力方向に放つ「ノーマル」や、入力と逆方向に放つ「リバース」、自動的に敵を狙う「サーチ」など7種類あります。オプションの操作をここまで選べるSTGはかなり珍しく、自分好みの操作を見つけやすいのも嬉しい点です。

ゲーム性で言うと、いわゆるパワーアップがないのも特徴でしょう。アイテムを取ることでオプションを付けられますが、一般的なSTGによくある、アイテムを重ねて取ることで“ショットが強力になる(与えるダメージが増える)”といった要素はありません。

一見するとプレイヤー側が不利のようですが、ショットのパワーが一定という前提でレベリングされているので、“一度やられた後の初期状態でも、立て直しがさほど難しくない”という利点に繋がります。

このバランス取りも相まって、ノーマルでクリアする分には難易度はあまり高くありません。しかし、決してヌルいわけでもなく、「先手先手を取ればサクサク進み、油断するとあっという間にやられる。でも、立て直しはしやすい」といったゲーム性を実現しており、緊張感と巻き返しの両立が本当に絶妙な作品なのです。

よくある美少女ゲーという誤解も招きがちな、しかし技術力の高い演出と絶妙なゲーム性に支えられた、見るべき価値のあるSTG『グレイランサー』。こちらも、時間の流れに埋もれて欲しくないタイトルのひとつです。

ちなみに、STGとして面白いのは確かですが、美少女要素もかなりしっかりしているので、その意味での完成度も高め。ルーシアの健気さも魅力的ですが、見た目は可愛らしいのに意外と血気盛んな「ティム」も見逃せませんね。・・・いや、STGとしての完成度が高いのも本当ですからね?

現在、『グレイランサー』を気軽に遊べる手段は残念ながらありません。実は、MD/MD互換機で遊べる『グレイランサー』が昨年リリースされたのですが、こちらは既に完売しており、Amazonでの中古価格は定価の2倍以上(記事執筆時点)。お勧めしかねる状況なのが残念です。

このMD/MD互換機版『グレイランサー』のPVが公開されているので、せめてそちらの映像で、本作の魅力に垣間見てください。多重スクロールをはじめ、今回紹介した様々な特徴を映像でご覧あれ!

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