続いて『スーパーマリオサンシャイン』を初プレイしたのですが……。
◆『スーパーマリオサンシャイン』の特徴
南の島が舞台であったり、カットシーン(ムービー)が多いなども『スーパーマリオサンシャイン』の特徴ですが、やはり一番大きな存在は「ポンプ」でしょう。これによってマリオのアクションの幅が大きく広がったのです。
水で汚れを落としたり攻撃したり、あるいは水をまいてから滑ることで高速で移動したり、ホバーモードで使えば3Dアクションで難しいジャンプ後の着地点もかなりわかりやすくなっています。このジャンル特有の問題にも、きちんと向き合っているのだなと思えますよね。
ゲームが進んでいくと高速で移動できるダッシュノズル、あるいは大ジャンプできるロケットノズルも登場。ゲッソーに乗ってレースしたり、ヨッシーに乗ってジュースを吐いたり、スピン放水でマンタと戦ったり……。いろいろなアクションが増えて、本当に新鮮でした。
◆一方で「なぜ?」と思ってしまう仕様
ここまではいいのですが、『スーパーマリオサンシャイン』はけっこう困るポイントがあります。ゲッソーに乗って赤コインをとるコースだとか、あるいはシャインの絵合わせなんかも面倒で困るのですが、一番どうかと思ったのがニセマリオがポンプを奪いまくることでした。
というのも、アスレチックステージでは必ずポンプが奪われてしまい、マリオだけで挑まなければならないのです。せっかくポンプでホバーが使えるおかげでアスレチックも遊びやすくなったのにそれを奪うなんて、「お前。
アスレチックステージでは落下すると残機が減り、HPの意味がほとんどありませんでした。1UPキノコも数が少なく、ゲームオーバーのなりやすさは『スーパーマリオ64』以上。ポンプをつけて優しくなったと思ったら、アスレチックステージでいきなり牙を向いてくるのです!
「せっかくポンプをつけて遊びやすくなったしいろんなアクションができるようになったのだから、それで遊ばせてくれていいじゃない!」と思ったのですが、この矛盾したかのように見える方向性がむしろ『スーパーマリオサンシャイン』の特徴なのでしょう。
◆3Dアクションと3Dプラットフォーマー
クリアしてようやく理解できたのですが、おそらく『スーパーマリオサンシャイン』は2つの要素をプレイヤーに遊ばせたいのでしょう。ひとつは、ポンプなどさまざまな仕掛けを利用した3Dアクション。もうひとつは、なるべく限られた操作でプラットフォーム(足場)を渡っていく3Dプラットフォーマーです(※)。
(※)海外ではアクションゲームをプラットフォーマーと呼ぶケースがあるそうです。この記事では、さまざまなアクションを楽しむ部分を3Dアクション、足場を渡っていくようなシンプルな部分を3Dプラットフォーマーと呼びます。
3Dアクションと3Dプラットフォーマーは、似てはいますが別物。ポンプは最初こそ扱いにくいものの、慣れると非常に便利です。素早く移動できますし、前述のようにホバーで着地点がわかりやすい。
一方、マリオの身体能力だけで足場を渡る3Dプラットフォーマーは、試行錯誤の世界です。マリオのアクションは限られており、コースの形から正解ルートを見抜き確実なアクションを決めていく必要があります。自由なアクションを楽しむというより「クリアするために行動をパターン化するかのような遊び」で、ポンプなしで難しさに挑んでほしいわけですね。
ゆえに、ポンプありの通常コースもあれば、いちいちニセマリオが出てきてポンプを奪うアスレチックステージもある。『スーパーマリオサンシャイン』のなかには、おおまかに分けるとこの2方向が内在しているわけです。
◆3D空間で何をプレイヤーに遊ばせるか
もともと『スーパーマリオ64』は3Dプラットフォーマーに近く、『スーパーマリオサンシャイン』はそれを進化させた作品でもあるため、ポンプなしで遊ぶ部分も必要だったのでしょう。一方で、シリーズ最新作『スーパーマリオ オデッセイ』になると逆に、3Dアクション要素のほうが強くなっています。
『スーパーマリオ オデッセイ』ではキャッピーが非常に扱いやすいうえ、不自然に奪われることもありません。また、キャプチャーで恐竜にもなれますし、あるいはバブルやキラーといった敵キャラになることも可能。変身は多彩で、足場渡りも存在しますがより多彩な3Dアクションを楽しめる内容といえます。
つまり、一口に3Dアクションゲームといっても方向性はさまざまなのです。
一口に3Dアクションゲームといえども、何を表現するかはさまざま。3Dマリオの歴史をいまになって俯瞰できる『スーパーマリオ 3Dコレクション』だからこそ、方向性の違いが大きく見えるわけですね。
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