2020年も残すところあとわずかとなりました。年末ということで皆さんもいろいろなゲームを買って楽しんでいることでしょう。
ソニーのプレイステーション3は2006年11月11日に発売されました。かなりのハイスペックマシンでブルーレイドライブ、内臓ハードディスク、HDMI出力などを搭載。プレイステーション2のディスクソフトが遊べる下位互換性も備えており(初期型のみ)、新聞やテレビなどでも大きく取り上げられました。
日本での初回出荷台数が10万台と少なく、ゲーム機としては高価格(20GBモデルが49,980円、60GBモデルが59,980円)だったこともあって、出足は今ひとつでした。しかし、PS2ソフトの互換性を外すなど機能を一部制限したバージョンや本体をコンパクト化した低価格の新モデルを次々に投入。販売台数を着実に伸ばしていき、最終的に世界累計出荷台数8,740万台を記録しました(※1)。
※1:数字はいずれも一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会発行の『2020 CESAゲーム白書』より
任天堂のWiiは12月2日に発売。最大の特徴となったのが「Wiiリモコン」です。リモコンをテニスラケットやゴルフクラブなどに見立てて振る、レースゲームではハンドルとして使用するなど、本機は身体を直接動かす体感的な操作が可能になっていました。この新しいインターフェイスへの期待は大きく、発売日には多数の人が量販店などに殺到。日本での初回出荷分約40万台が即日完売となりました。
さらに『はじめてのWii』(本体と同時発売)、2007年発売の『Wii Fit』、2008年発売の『マリオカートWii』(いずれも任天堂)などのソフトもビッグヒットを記録。2013年に世界累計出荷台数1億台突破を達成しました。残念ながらWiiのインターフェイスを活かしたゲームがあまり登場しなかったこともあり、2008年をピークに勢いを落としていきましたが、本機の思想はNintendo SwitchのJoy-Conなどにしっかり受け継がれています。
【そのほかのニュース・出来事】
◆ライブドア堀江貴文社長らが逮捕
ライブドアの堀江貴文社長(当時)らが、関連会社の株価をつり上げるために会社の決算を粉飾したとして東京地検特捜部に逮捕されました。ニッポン放送の買収や衆議院選挙への出馬などで世間からの注目を集め、時代の寵児となった堀江氏の逮捕は、この年一番のニュースとなりました。
◆トリノオリンピックで荒川静香が金メダルを獲得
イタリアのトリノで冬季オリンピックが開催。荒川静香がフィギュアスケート女子シングルスの金メダルを獲得しました。日本フィギュア界初の金メダルにして、本大会の日本選手団唯一のメダルで、荒川の得意技「イナバウアー」は流行語になりました。
◆第1回ワールド・ベースボール・クラシックで日本が初代王者に
野球の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催され、王監督率いる日本代表が決勝でキューバを破って優勝。見事、初代チャンピオンとなり、3試合に先発して3勝を挙げた松坂大輔が最優秀選手に選ばれました。
◆主な流行
ヒット曲:『粉雪』(レミオロメン)※2、『青春アミーゴ』(修二と彰)※3、『純恋歌』(湘南乃風)
映画:『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』、『ダ・ヴィンチ・コード』、『時をかける少女』、『ゲド戦記』
テレビアニメ:『涼宮ハルヒの憂鬱』、『コードギアス 反逆のルルーシュ』、『銀魂』、『DEATH NOTE』、『ひぐらしのなく頃に』、『ゼロの使い魔』
マンガ:『キングダム』(原泰久)、『ダイヤのA』(寺嶋裕二)、『黒執事』(枢やな)、『嘘喰い』(迫稔雄)、『ハチワンダイバー』(柴田ヨクサル)
※2,3:どちらもリリースは2005年11月です。
2006年はこのような年でした。
Wii Sports
発売日:2006年12月2日
機種:Wii
発売元:任天堂
Wii本体と同時発売されたスポーツゲームでテニス、ボウリング、ベースボール、ボクシング、ゴルフという5種類のスポーツを楽しめます。Wiiリモコンをラケットやバットのように振ってボールを打つ、ボウリングの動きをしてボールを投げるなど、実際の競技に近い感覚でプレイできることからWiiを象徴するソフトとして話題になりました。
それぞれのスポーツの再現性はかなり高く、シンプルでありながら操作感は抜群。全身を動かしてプレイするのも楽しく、けっこう運動をした気分になれたものです。特にボクシングはハードで、運動不足解消やダイエット目的でプレイしていたという人もかなりいたのではないかと思います。「体力年齢」を判定・記録する機能なども搭載しており、高齢者や女性などにも大受け。最大4人でのプレイも可能で、ファミリーゲームとしても楽しまれました。
かくして本作は国内外で超絶ヒット。特に欧米での人気はとんでもないものがあり、世界累計出荷本数8249万本(日本では379万本)という空前絶後の記録を残しています(※4)。
※4:欧米ではWii本体に無料同梱されての発売でした。
ポケットモンスター ダイヤモンド・パール
発売日:2006年9月28日
機種:ニンテンドーDS
発売元:ポケモン
プレイステーション3とWiiの登場に沸いた2006年ですが、トータルで見ると任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」が席捲した1年でした。
その中でも屈指のヒットとなったのが本作です。ニンテンドーDSで発売された初めての『ポケモン』で国内累計585万本を出荷。世界での人気も絶大で累計出荷本数1,763万本という圧倒的記録を打ち立てました。
一番の特徴はやはりニンテンドーDSの機能を活かした新要素の数々で、特にうれしかったのが「ダブルスロット」機能を利用した過去作との連動です。ゲームボーイアドバンスで発売された『ルビー・サファイア・エメラルド』、『ファイアレッド・リーフグリーン』のポケモンを連れてくることができるというもので、ユーザーたちに大いに歓迎されました。
もちろんWi-Fi通信を介したポケモンの交換やバトル、下画面のパネルをタッチしての操作なども盛り込まれており、こちらも注目を集めました。さらに、世界中のトレーナーと手軽にポケモンを交換できる「グローバルトレードステーション(GTS)」も話題になるなど、ポケモン人気健在を印象付けました。
ちなみに、2006年はほかにも以下のDSソフトが国内累計出荷本数100万本超えを達成しています。DSフィーバーがいかにすごいものだったか、実感できるでしょう。
◆ミリオンヒットを達成した2006年発売のニンテンドーDSソフト
『New スーパーマリオブラザーズ』(任天堂):649万本
『英語が苦手な大人のDSトレーニング えいご漬け』(任天堂):236万本
『いまさら人には聞けない 大人の常識力トレーニングDS』(任天堂):168万本
『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』(スクウェア・エニックス):160万本
『テトリスDS』(任天堂):138万本
『オシャレ魔女 ラブandベリー~DSコレクション~』(セガ):111万本
『ファイナルファンタジーIII』(スクウェア・エニックス):110万本
『しゃべる!DSお料理ナビ』(任天堂):101万本
目立ったのが実用系や知育系ソフトの人気です。
特に注目したいのが『しゃべる!DSお料理ナビ』(任天堂)のヒットです。いわゆる料理レシピ集なのですが、音声ガイドや調理用タイマーなどの機能が受け、出荷本数100万本超えを達成しました。言わずもがなですが、現在ではスマホやタブレットでレシピを検索したり、動画を参考に料理をしたりするのは、よくある光景になっています。本作が人気になったのは、そうしたモバイルの利用が日常になっていく、過渡期ならではの現象だったと言えるのかもしれません。
一方、この頃から転売屋の横行が目立ち始めます。ニンテンドーDS Liteはあまりの人気に入手困難な状態が続いたのですが、同時にネットオークションなどへの高額での出品が多数見られるようになりました。ご存知のように、この問題は年々悪化の一途をたどっていくことになります。
大神
発売日:2006年4月20日
機種:プレイステーション2
発売元:カプコン
プレイステーション2を代表する傑作として名高いアクションアドベンチャーです。日本画を思わせる映像世界を舞台に、白いオオカミ・アマテラスの冒険が展開されていきます。神話やおとぎ話をベースにした純和風な世界観、ハートフルなストーリー、和テイストなサウンドなどが受け、多くのゲームファンの支持を集めました。
本作の大きな特徴になっているのが「筆しらべ」です。
アマテラスの冒険に同行することになるイッスン、お調子者ですが何だか憎めないスサノオ、桜餅の作り方が超かっこいいミカン婆など、キャラクターたちも魅力たっぷりで、物語を大いに盛り上げてくれます。ときにシリアス、ときにコミカルなシナリオも秀逸。特に終盤の展開は「泣ける」と評判になりました。
現在、グラフィックやエフェクトなどをリファインした『大神 絶景版』が、プレイステーション4、Nintendo Switch、PC(Steamで配信)などでプレイ可能になっています。かつてプレイしたことがあるという人も、パワーアップした映像でもう一度アマテラスの物語を体験してみてはいかがでしょうか。
機動戦士ガンダム 戦場の絆
発売日:2006年11月7日
機種:アーケード
発売元:バンプレスト
人気アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する、さまざまなモビルスーツに搭乗して戦う対戦ゲームです。コクピットを模した球体型の筐体で4~8人でのチーム対戦を楽しめるというもので、当時はまだ珍しかったアクションゲームの店舗間リアルタイム通信対戦を実現。モビルスーツ同士の戦闘をリアルに体感できることからセンセーションを巻き起こしました。
最大の見どころとなっていたのが、「パノラミック・オプティカル・ディスプレイ」(P.O.D.)と呼ばれるドームスクリーンです。半球型の巨大な画面は上下左右ほぼすべての視野をカバーしており、眼前でモビルスーツとのド迫力のバトルが展開。
チーム戦ならではの戦略性の高さも魅力のひとつです。敵の拠点をどう攻めるか、そのための遠距離砲撃機をどう守るかなど非常に戦略的で、それぞれの役割をこなす必要があることからスポーツの団体競技のような面白さがありました。
もちろん、モビルスーツの性能など原作の再現度も高く、ガンダムファンからの支持も絶大でした。その人気は稼働から14年が経過した現在でも健在で、第2作目となる『戦場の絆II』も稼働予定となっています。
マブラヴ オルタネイティヴ
発売日:2006年2月24日
機種:PC
発売元:アージュ
2021年にテレビアニメでの放送が予定されているアドベンチャーゲームの名作です。成人向けに発売された美少女ゲーム……なのですが、その内容は圧巻のひとこと。圧倒的なボリューム、ハードかつ壮大な世界観、そこらのロボットアニメ顔負けの緻密な設定、そして読む者を熱くする完成度の高いストーリーに多くのファンが唸らされました。
2003年に発売された『マブラヴ』の続編です。前作は個性豊かなヒロインたちが登場する「超王道学園アドベンチャー」と銘打たれていたのですが、特定の条件を満たすと「アンリミテッド編」と呼ばれるシナリオがプレイ可能になります。このパートが人類の存亡をかけて地球外生命体と戦うというもので、それまでの学園を舞台にしたドタバタ恋愛劇とは打って変わったハードな内容になっていました。
本作はこの「アンリミテッド編」の続編になります。ノベルタイプのアドベンチャーで、随所に選択肢が登場しますが、物語の展開自体はほぼ一本道。しかし、ストーリーは恐ろしく長大で、クリアするのは一筋縄ではありません。しかも、アダルトゲームでありながらエロ要素はほとんどないのです。むしろ、プレイヤーの心を折るようなショッキングなシーンのほうが多いのですが、熱い展開の連続に誰もが引き込まれずにはいられませんでした。JAM Projectが歌う『未来への咆哮』をはじめとするサウンドも非常に素晴らしく、多くのプレイヤーが感情を揺さぶられました。
ちなみに、本作単体でも楽しめますが、非常に伏線が巧みなので前作とあわせてのプレイをおすすめします。どちらも表現をマイルドにしたバージョンがPS3、Xbox360、PS-VITAで発売されており、PC版もSteamで配信中です。アニメの予習も兼ねて、この歴史的名作をぜひ体験してみてください。
そのほか、プレイステーション2では『ファイナルファンタジーXII』(スクウェア・エニックス)、『ワールドサッカーウイニングイレブン10』(コナミ)がミリオンヒットを達成。『モンハン』シリーズの2作目となる『モンスターハンター2』(カプコン)、“堂島の龍”こと桐生一馬の活躍を描いたハードボイルドアクション『龍が如く2』(セガ)、ポップでスタイリッシュな学園RPGで以降のシリーズの方向性を決定づけた『ペルソナ3』(アトラス)なども注目を集めました。
Xbox360では迫りくる大量のゾンビをあの手この手で駆逐していく『デッドライジング』(カプコン)、第二次大戦を舞台にした人気FPSの第2作目となる『コール オブ デューティー2』(コナミ※5)などがスマッシュヒット。坂口博信氏と鳥山明氏がタッグを組んだRPG『ブルードラゴン』(マイクロソフト)も話題になりました。
※5:アメリカでは2005年の発売で発売元はアクティビジョン。
いかがだったでしょう。このように一大フィーバーを巻き起こしたニンテンドーDSですが、ご存知のように後継機のニンテンドー3DSが今年で生産終了となりました。なんだか時代の移り変わりを感じてしまいますね。来年はゲームにとってどんな年になるのでしょうか。
そこで、今回の「ゲーム19XX~20XX」は年末にプレイステーション3とWiiが相次いで発売された、2006年のゲームを振り返ります。
ソニーのプレイステーション3は2006年11月11日に発売されました。かなりのハイスペックマシンでブルーレイドライブ、内臓ハードディスク、HDMI出力などを搭載。プレイステーション2のディスクソフトが遊べる下位互換性も備えており(初期型のみ)、新聞やテレビなどでも大きく取り上げられました。
日本での初回出荷台数が10万台と少なく、ゲーム機としては高価格(20GBモデルが49,980円、60GBモデルが59,980円)だったこともあって、出足は今ひとつでした。しかし、PS2ソフトの互換性を外すなど機能を一部制限したバージョンや本体をコンパクト化した低価格の新モデルを次々に投入。販売台数を着実に伸ばしていき、最終的に世界累計出荷台数8,740万台を記録しました(※1)。
※1:数字はいずれも一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会発行の『2020 CESAゲーム白書』より
任天堂のWiiは12月2日に発売。最大の特徴となったのが「Wiiリモコン」です。リモコンをテニスラケットやゴルフクラブなどに見立てて振る、レースゲームではハンドルとして使用するなど、本機は身体を直接動かす体感的な操作が可能になっていました。この新しいインターフェイスへの期待は大きく、発売日には多数の人が量販店などに殺到。日本での初回出荷分約40万台が即日完売となりました。
さらに『はじめてのWii』(本体と同時発売)、2007年発売の『Wii Fit』、2008年発売の『マリオカートWii』(いずれも任天堂)などのソフトもビッグヒットを記録。2013年に世界累計出荷台数1億台突破を達成しました。残念ながらWiiのインターフェイスを活かしたゲームがあまり登場しなかったこともあり、2008年をピークに勢いを落としていきましたが、本機の思想はNintendo SwitchのJoy-Conなどにしっかり受け継がれています。
【そのほかのニュース・出来事】
◆ライブドア堀江貴文社長らが逮捕
ライブドアの堀江貴文社長(当時)らが、関連会社の株価をつり上げるために会社の決算を粉飾したとして東京地検特捜部に逮捕されました。ニッポン放送の買収や衆議院選挙への出馬などで世間からの注目を集め、時代の寵児となった堀江氏の逮捕は、この年一番のニュースとなりました。
◆トリノオリンピックで荒川静香が金メダルを獲得
イタリアのトリノで冬季オリンピックが開催。荒川静香がフィギュアスケート女子シングルスの金メダルを獲得しました。日本フィギュア界初の金メダルにして、本大会の日本選手団唯一のメダルで、荒川の得意技「イナバウアー」は流行語になりました。
◆第1回ワールド・ベースボール・クラシックで日本が初代王者に
野球の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催され、王監督率いる日本代表が決勝でキューバを破って優勝。見事、初代チャンピオンとなり、3試合に先発して3勝を挙げた松坂大輔が最優秀選手に選ばれました。
◆主な流行
ヒット曲:『粉雪』(レミオロメン)※2、『青春アミーゴ』(修二と彰)※3、『純恋歌』(湘南乃風)
映画:『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』、『ダ・ヴィンチ・コード』、『時をかける少女』、『ゲド戦記』
テレビアニメ:『涼宮ハルヒの憂鬱』、『コードギアス 反逆のルルーシュ』、『銀魂』、『DEATH NOTE』、『ひぐらしのなく頃に』、『ゼロの使い魔』
マンガ:『キングダム』(原泰久)、『ダイヤのA』(寺嶋裕二)、『黒執事』(枢やな)、『嘘喰い』(迫稔雄)、『ハチワンダイバー』(柴田ヨクサル)
※2,3:どちらもリリースは2005年11月です。
2006年はこのような年でした。
それではこの年の名作・話題作を紹介していきます。
Wii Sports
発売日:2006年12月2日
機種:Wii
発売元:任天堂
Wii本体と同時発売されたスポーツゲームでテニス、ボウリング、ベースボール、ボクシング、ゴルフという5種類のスポーツを楽しめます。Wiiリモコンをラケットやバットのように振ってボールを打つ、ボウリングの動きをしてボールを投げるなど、実際の競技に近い感覚でプレイできることからWiiを象徴するソフトとして話題になりました。
それぞれのスポーツの再現性はかなり高く、シンプルでありながら操作感は抜群。全身を動かしてプレイするのも楽しく、けっこう運動をした気分になれたものです。特にボクシングはハードで、運動不足解消やダイエット目的でプレイしていたという人もかなりいたのではないかと思います。「体力年齢」を判定・記録する機能なども搭載しており、高齢者や女性などにも大受け。最大4人でのプレイも可能で、ファミリーゲームとしても楽しまれました。
かくして本作は国内外で超絶ヒット。特に欧米での人気はとんでもないものがあり、世界累計出荷本数8249万本(日本では379万本)という空前絶後の記録を残しています(※4)。
※4:欧米ではWii本体に無料同梱されての発売でした。
ポケットモンスター ダイヤモンド・パール
発売日:2006年9月28日
機種:ニンテンドーDS
発売元:ポケモン
プレイステーション3とWiiの登場に沸いた2006年ですが、トータルで見ると任天堂の携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」が席捲した1年でした。
3月2日に新バージョンとなる「ニンテンドーDS Lite」が発売され話題沸騰。ソフトの人気も凄まじく、ゲーム市場のけん引役となりました。
その中でも屈指のヒットとなったのが本作です。ニンテンドーDSで発売された初めての『ポケモン』で国内累計585万本を出荷。世界での人気も絶大で累計出荷本数1,763万本という圧倒的記録を打ち立てました。
一番の特徴はやはりニンテンドーDSの機能を活かした新要素の数々で、特にうれしかったのが「ダブルスロット」機能を利用した過去作との連動です。ゲームボーイアドバンスで発売された『ルビー・サファイア・エメラルド』、『ファイアレッド・リーフグリーン』のポケモンを連れてくることができるというもので、ユーザーたちに大いに歓迎されました。
もちろんWi-Fi通信を介したポケモンの交換やバトル、下画面のパネルをタッチしての操作なども盛り込まれており、こちらも注目を集めました。さらに、世界中のトレーナーと手軽にポケモンを交換できる「グローバルトレードステーション(GTS)」も話題になるなど、ポケモン人気健在を印象付けました。
ちなみに、2006年はほかにも以下のDSソフトが国内累計出荷本数100万本超えを達成しています。DSフィーバーがいかにすごいものだったか、実感できるでしょう。
◆ミリオンヒットを達成した2006年発売のニンテンドーDSソフト
『New スーパーマリオブラザーズ』(任天堂):649万本
『英語が苦手な大人のDSトレーニング えいご漬け』(任天堂):236万本
『いまさら人には聞けない 大人の常識力トレーニングDS』(任天堂):168万本
『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー』(スクウェア・エニックス):160万本
『テトリスDS』(任天堂):138万本
『オシャレ魔女 ラブandベリー~DSコレクション~』(セガ):111万本
『ファイナルファンタジーIII』(スクウェア・エニックス):110万本
『しゃべる!DSお料理ナビ』(任天堂):101万本
目立ったのが実用系や知育系ソフトの人気です。
火付け役になったのは前年に発売された『東北大学未来科学技術共同研究センター川島隆太教授監修 脳を鍛える大人のDSトレーニング』(任天堂)で、同作が記録的ヒットとなったことから同系統のソフトが続々発売されました。
特に注目したいのが『しゃべる!DSお料理ナビ』(任天堂)のヒットです。いわゆる料理レシピ集なのですが、音声ガイドや調理用タイマーなどの機能が受け、出荷本数100万本超えを達成しました。言わずもがなですが、現在ではスマホやタブレットでレシピを検索したり、動画を参考に料理をしたりするのは、よくある光景になっています。本作が人気になったのは、そうしたモバイルの利用が日常になっていく、過渡期ならではの現象だったと言えるのかもしれません。
一方、この頃から転売屋の横行が目立ち始めます。ニンテンドーDS Liteはあまりの人気に入手困難な状態が続いたのですが、同時にネットオークションなどへの高額での出品が多数見られるようになりました。ご存知のように、この問題は年々悪化の一途をたどっていくことになります。
大神
発売日:2006年4月20日
機種:プレイステーション2
発売元:カプコン
プレイステーション2を代表する傑作として名高いアクションアドベンチャーです。日本画を思わせる映像世界を舞台に、白いオオカミ・アマテラスの冒険が展開されていきます。神話やおとぎ話をベースにした純和風な世界観、ハートフルなストーリー、和テイストなサウンドなどが受け、多くのゲームファンの支持を集めました。
本作の大きな特徴になっているのが「筆しらべ」です。
左スティックを筆のように動かして模様を描くことで、さまざまな「奇跡」を起こすことができるというもので、「一の字を描いてあらゆるものを切り裂く」、「丸を描いて枯れ木に花を咲かせる」など種類はさまざま。「筆しらべ」を使ったときの演出も非常に凝っていて、本作の面白さのキモになっていました。
アマテラスの冒険に同行することになるイッスン、お調子者ですが何だか憎めないスサノオ、桜餅の作り方が超かっこいいミカン婆など、キャラクターたちも魅力たっぷりで、物語を大いに盛り上げてくれます。ときにシリアス、ときにコミカルなシナリオも秀逸。特に終盤の展開は「泣ける」と評判になりました。
現在、グラフィックやエフェクトなどをリファインした『大神 絶景版』が、プレイステーション4、Nintendo Switch、PC(Steamで配信)などでプレイ可能になっています。かつてプレイしたことがあるという人も、パワーアップした映像でもう一度アマテラスの物語を体験してみてはいかがでしょうか。
機動戦士ガンダム 戦場の絆
発売日:2006年11月7日
機種:アーケード
発売元:バンプレスト
人気アニメ『機動戦士ガンダム』に登場する、さまざまなモビルスーツに搭乗して戦う対戦ゲームです。コクピットを模した球体型の筐体で4~8人でのチーム対戦を楽しめるというもので、当時はまだ珍しかったアクションゲームの店舗間リアルタイム通信対戦を実現。モビルスーツ同士の戦闘をリアルに体感できることからセンセーションを巻き起こしました。
最大の見どころとなっていたのが、「パノラミック・オプティカル・ディスプレイ」(P.O.D.)と呼ばれるドームスクリーンです。半球型の巨大な画面は上下左右ほぼすべての視野をカバーしており、眼前でモビルスーツとのド迫力のバトルが展開。
その臨場感は息を飲むほどで、過去に類のないプレイフィールを実現していました。
チーム戦ならではの戦略性の高さも魅力のひとつです。敵の拠点をどう攻めるか、そのための遠距離砲撃機をどう守るかなど非常に戦略的で、それぞれの役割をこなす必要があることからスポーツの団体競技のような面白さがありました。
もちろん、モビルスーツの性能など原作の再現度も高く、ガンダムファンからの支持も絶大でした。その人気は稼働から14年が経過した現在でも健在で、第2作目となる『戦場の絆II』も稼働予定となっています。
マブラヴ オルタネイティヴ
発売日:2006年2月24日
機種:PC
発売元:アージュ
2021年にテレビアニメでの放送が予定されているアドベンチャーゲームの名作です。成人向けに発売された美少女ゲーム……なのですが、その内容は圧巻のひとこと。圧倒的なボリューム、ハードかつ壮大な世界観、そこらのロボットアニメ顔負けの緻密な設定、そして読む者を熱くする完成度の高いストーリーに多くのファンが唸らされました。
2003年に発売された『マブラヴ』の続編です。前作は個性豊かなヒロインたちが登場する「超王道学園アドベンチャー」と銘打たれていたのですが、特定の条件を満たすと「アンリミテッド編」と呼ばれるシナリオがプレイ可能になります。このパートが人類の存亡をかけて地球外生命体と戦うというもので、それまでの学園を舞台にしたドタバタ恋愛劇とは打って変わったハードな内容になっていました。
本作はこの「アンリミテッド編」の続編になります。ノベルタイプのアドベンチャーで、随所に選択肢が登場しますが、物語の展開自体はほぼ一本道。しかし、ストーリーは恐ろしく長大で、クリアするのは一筋縄ではありません。しかも、アダルトゲームでありながらエロ要素はほとんどないのです。むしろ、プレイヤーの心を折るようなショッキングなシーンのほうが多いのですが、熱い展開の連続に誰もが引き込まれずにはいられませんでした。JAM Projectが歌う『未来への咆哮』をはじめとするサウンドも非常に素晴らしく、多くのプレイヤーが感情を揺さぶられました。
ちなみに、本作単体でも楽しめますが、非常に伏線が巧みなので前作とあわせてのプレイをおすすめします。どちらも表現をマイルドにしたバージョンがPS3、Xbox360、PS-VITAで発売されており、PC版もSteamで配信中です。アニメの予習も兼ねて、この歴史的名作をぜひ体験してみてください。
そのほか、プレイステーション2では『ファイナルファンタジーXII』(スクウェア・エニックス)、『ワールドサッカーウイニングイレブン10』(コナミ)がミリオンヒットを達成。『モンハン』シリーズの2作目となる『モンスターハンター2』(カプコン)、“堂島の龍”こと桐生一馬の活躍を描いたハードボイルドアクション『龍が如く2』(セガ)、ポップでスタイリッシュな学園RPGで以降のシリーズの方向性を決定づけた『ペルソナ3』(アトラス)なども注目を集めました。
Xbox360では迫りくる大量のゾンビをあの手この手で駆逐していく『デッドライジング』(カプコン)、第二次大戦を舞台にした人気FPSの第2作目となる『コール オブ デューティー2』(コナミ※5)などがスマッシュヒット。坂口博信氏と鳥山明氏がタッグを組んだRPG『ブルードラゴン』(マイクロソフト)も話題になりました。
※5:アメリカでは2005年の発売で発売元はアクティビジョン。
いかがだったでしょう。このように一大フィーバーを巻き起こしたニンテンドーDSですが、ご存知のように後継機のニンテンドー3DSが今年で生産終了となりました。なんだか時代の移り変わりを感じてしまいますね。来年はゲームにとってどんな年になるのでしょうか。
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