競走馬をモチーフとした「ウマ娘」たちを導き、二人三脚で数々のレースに挑む育成アプリ『ウマ娘 プリティダービー』。定期的に様々なレースが新たに開催されていますが、5月20日まで行われていた「タウラス杯」も大きな話題となりました。
「タウラス杯」は、プレイヤー同士がリアルタイムでマッチングし、それぞれのウマ娘たち(3人ずつ、計9人)がレースに挑んで勝敗を競うというもの。育成ランクB以下の「オープンリーグ」と、条件のない「グレードリーグ」のふたつがあり、参加者はいずれかのリーグにエントリーし、熾烈な戦いを繰り広げました。
また、この「タウラス杯」に挑むと、毎レースごとに自動的に生成される「月刊トゥインクル 増刊号」も、見所のひとつとして注目を集めます。自分やライバルが育てたウマ娘が紙面を飾り、彼女たちの個性が存分に発揮されているコメントも掲載。レースを更に盛り上げ、没入感を後押しする好演出も評判でした。
レースの結果も大事ですが、豊かなコメントの数々も気になるものばかり。大勝負に向けた想いを真剣に語るものが多かった一方で、意外な一面を見せたり、思わずツッコミを入れたくなるようなコメントも複数ありました。
残念ながら今回の「タウラス杯」は既に終了していますが、開催中にウマ娘たちが述べたコメントの中から特にユニークなものをピックアップし、今回お届けしたいと思います。どのウマ娘が、どんな迷コメントを残したのか。改めて振り返りつつ、駆け抜けた「タウラス杯」の激闘に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
迷コメントといえば、まずはこのウマ娘!「ゴールドシップ」の安定した迷走ぶり
「月刊トゥインクル 増刊号」の2面に、「注目のウマ娘」が3人ピックアップされており、各質問に対してそれぞれ個性が見えるコメントを返しています。
真面目な返答も多く、「緊張しないコツ」を聞かれたエアグルーヴは、「呆れるほどに鍛錬を積むことです。
一方、まともな返答なんてあり得ないだろうと誰もが最初に予想するゴールドシップは、その期待(?)に見事応えてくれました。「一番大変だったトレーニング」について問われると、「アタクシ考案の不可逆式セメント型抜きで首から下が固まった時は死を覚悟しましてよ」と回答。
まず、不可逆式セメント型抜きの意味が全く分かりません。しかし、危険性の高さだけは伝わってくるのが恐ろしいところです。その意味では、“一番大変だった”という質問にちゃんと答えているとも言えますが、そもそもなぜそんなトレーニングを考案し、実行したのか。担当トレーナーの苦労を思うと、涙が禁じ得ません。
ゴールドシップの迷言がひとつで終わるわけもなく、「ご家族へのメッセージ」を聞かれると、「生き別れた妹の伊勢海老にこれだけは伝えてぇ……黒潮から赤出汁は取れねぇってな!」と述べています。
実際の血統で考えると、彼女の妹にはフラワーシップがいますし、母親が同じという意味ではポイントキセキも妹です。また、本作の世界観に合わせて性別が女性になる可能性も考えると、実在上では弟のトレジャーマップなども、作中では妹候補と言えるかもしれません。
……と、ゴールドシップの妹は誰なのか色々と考えてみましたが、この発言だけの“でっちあげ妹”について語っている可能性もありますし、そもそも妹ではなく“妹の伊勢海老”へのコメントです。
さらに「レース前のルーティンはありますか?」と聞かれると、「産地ごとに牡蠣を仕分けして心を落ち着かせる。それがゴルシ様のジャスティスだ」と豪語。それで気持ちが落ち着くなら、立派なルーティンと言えますが……扱っているモノが、最早業者レベルです。
シンボリルドルフのお馴染みっぷりから、ここでもハイ可愛いナイスネイチャまで!
もちろん、迷コメントを残したはゴルシだけではありません。ウマ娘たちの頂点に立ち、役職とレースの双方で導かんとするシンボリルドルフは、「皇帝の進撃は一掬の泥濘で止まりはしない」といった自信に満ちたコメントを返します。
さすが生徒会長……と賞賛したいところですが、「勝負メシは何を食べたか?」といった質問を受けると、「カツを食べて勝つ。この偉大なダジャレに敬意を表しながらトンカツを頂いた」と、流れるようにダジャレを盛り込んで(そのダジャレを)褒め称えます。いつも通りの言動なので、その落ち着きぶりを評価するべきかもしれませんが、敬意の方向が斜め上なのでやや不安に駆られます。
落差の激しい(主にダジャレで)シンボリルドルフと違い、日常生活から練習まで自分のスタンスを崩さないアグネスタキオンは、ゴールドシップと違う意味でマイペースを貫くウマ娘。その姿勢は、タウラス杯のコメントでも変わりません。
ゴールドシップも投げかけられた「一番大変だったトレーニング」について、彼女は「音速が体験できる装置の試運転かな。
“不可逆式セメント型抜き”と比べると、まだレースに役立つような感じはします。が、モチーフ元の競走馬が「音速の貴公子」と呼ばれていたとはいえ、実際に音速に耐える訓練は果たして必要なのか、疑問が拭えません。それともウマ娘たちの速度は、もう少しで音速に手が届くレベルなのでしょうか。それを先取ったトレーニングと考えれば……いや、流石に時代の先端を行き過ぎです。
自分のペースを貫くといえば、まだ実装から日が浅いスマートファルコンもかなりのもの。「仕上がりはいかがですか」との質問に、「もちろん、ステップも歌もコーレスも、ば~っちりだよ♪ ──あっ、レースのこと?」と、その心はすでにレース終了後のステージに飛んでいます。1位を穫るのが大前提という自信の表れかもしれませんが、これもまた個性が浮き彫りになった返答と言えるでしょう。
また、トレーニングで気をつけている点を問われたマルゼンスキーは、「アフター5を満喫することね! 花金はフィーバーして気分をリフレッシュしてるわ♪」と明言。ご褒美があると頑張れる、もしくはメンタルケアに気を配っている、といった意味なのでしょうが、清々しいほどトレーニングそのものには触れていません。
そして、ある意味巻き込まれて迷コメントになったという例も。キングヘイローの場合は、最近失敗した出来事として、「スカイさんに薦められた教本で時間を無駄にしたわ! ネコちゃんパワーって何よ!?」と回答。
もうひとつ、巻き込まれた例として取り上げたいのがナイスネイチャです。これはインタビュアーが意地悪だったのですが、「福岡弁で、意気込みをどうぞ」といった無茶振りを突きつけられた彼女は、しかし「ばり頑張るけん、よろしゅうねー!」と淀みなく即答。躊躇なく相手が望む反応を返した、ナイスネイチャらしい見事な切り返しでした。
さらに「……って、なんで福岡弁!?(笑)」とツッコむことで、読者側の気持ちも代弁し、Q&Aとして綺麗な着地まで見せてくれます。こちらは返答側ではなく質問者側の迷コメントでしたが、ナイスネイチャのコミュ力の高さを改めて実感させられました。
ちなみに、ナイスネイチャのCVを担当している前田佳織里さんは福岡県の出身なので、その繋がりで生まれた質問なのかもしれません。なお、競走馬のナイスネイチャは、北海道生まれです。
関連性を踏まえると、繋がりが見えてくるコメントも
ウマ娘たちのコメントは単独で成立していますが、関連性を踏まえながら見ると味わい深いものもあります。その代表格とも言えるものを、ひとつ紹介します。まずは、「今回もカッコいい走りを期待しています!」に対するウオッカの返答がこちら。
「ふっ、そいつは見てのお楽しみ……って、こーゆー感じ、カッコよくないっすか!?」とコメント。
さらに、「このレースの結果次第で、海外挑戦も?」と問われた時は、「ノーコメントで……」と、こちらでもクールな出足から始まります。が、その直後に「くぅ~~! これ1回言ってみたかったんだよなっ!!」と続き、むしろ感情を爆発。クールな寡黙さは微塵も残っていませんが、いずれもカッコよさにこだわるウオッカらしい返答でした。
そんなウオッカとライバル関係にあるダイワスカーレットは、「今回、マークしている選手はいますか?」との問いかけに対し、「いえ、特にいませんよ?」と回答。ですが、そこから「誰がカッコつけていようが、叫んでいようが気になりません」と続けています。
ダイワスカーレットのコメントを単独でみると、レースに向けて冷静さを心がける一選手の発言に見えます。しかし、ウオッカの発言を振り返ってみると、「カッコつけ」ていますし、「叫んで」もいます。ウオッカのコメントを一刀両断する、抜群の切れ味と言えるでしょう。
持論のカッコよさに痺れるウオッカと、そんな彼女に容赦ない一太刀を浴びせるダイワスカーレット。見事なカウンターが決まったようにも思えますが、「気になりません」と言いつつもウオッカを意識しているダイワスカーレット、という解釈もできます。
<cms-pagelink data-text="レースへの質問が、なぜか食事に関する話に……。短距離勢や決勝専用のコメントも" data-page="2" data-class="center"></cms-pagelink>
彼女たちと食事の話は切っても切れない!? 「健康的ウマ娘」大集合
「月刊トゥインクル 増刊号」は1面も凝っており、これから展開する激戦をさらに盛り上げる見出しを大きく掲載しています。……が、たまに路線が少々変わることもあり、例えば「そんな食事で大丈夫か? 健康的ウマ娘」といった見出しが出る時も。
しかし食事について語るのは、この見出しだけではありません。大食漢でも知られているオグリキャップは、日々の心がけとして「……よく寝て、よく食べて、よく食べることだ」と語っています。確かに、栄養面の管理も重要なポイントのひとつ。その意味で、決して間違ったことは言ってませんが……「よく食べること」を2回繰り返す強調ぶりが、なんともオグリキャップらしいところです。
さらに、「レースに勝ったら、まずやりたいことは?」の質問に対して、「もちろん、故郷に──」と真面目な切り口で始めるオグリキャップ。ですが、直後に腹の音が鳴ってしまい、「……ひとまず、ご飯を食べる」と、やはり食事の話に軟着陸。空腹は、まず取りかかるべき一大事。それはレース後でも変わりません。
また、こちらも巻き込まれるような形で、迷コメントになってしまった回答者がいます。減量の効果について訊ねられたメジロマックイーンは、「あまり……」と浮かない様子で答えました。その理由は、「ゴールドシップさんときたら、これ見よがしにドーナツを掲げて……!」といったコメントから察することができます。
ゴールドシップに振り回されるメジロマックイーンという構図は、『ウマ娘』ファンにとってはお馴染みの光景。今回の減量でも、その罠に見事ハマってしまったようです。とはいえ、減量がうまくいかなかったのは、その意地悪に屈したのが原因なのでは……いえ、これ以上の追求は野暮なので、そっとしておきましょう。
「勝負メシは何を食べましたか?」と聞かれたハルウララは、「なにそれ!? どこで食べられるの!? しょーぶメシ食べてみたーい!!」と興味津々に返答。どうやら、特定にメニューだと勘違いしたようです。レース場の食堂あたりなら、そんなメニューもあるかも?
食事についての話なら、こちらも負けていない(?)のがスペシャルウィーク。ハルウララと同じ問いを投げかけられ、「にんじんハンバーグにパスタ、あとオムライスです!」と流暢に答えます。ですが、淀みなく三品挙げた後に「あれ、どれが勝負メシ……?」と自問自答する場面も。健啖家ゆえに、難しい質問になってしまった模様です。
食事絡みのコメントで最後の紹介するのは、ちょっと意外かもしれないミホノブルボンです。「レースやトレーニングのない日の過ごし方」について聞かれると、「時々、友達と『カフェへバクシーン!』することがあります」と、なかなかインパクトのあるコメントを残しました。
休みを利用してにカフェに行く、と考えれば何もおかしくありませんが、その表現が「バクシーン!」なのは、明からに特定のウマ娘からの影響と思われます。とはいえ、ミホノブルボンの人柄を踏まえると、ウキウキとカフェに向かうより、バクシーンしている方が想像しやすい気もするので、意外と的を射た表現なのかもしれません。
短距離勢からも、期待を裏切らない迷コメントが!
ここまで様々なコメントを紹介してきましたが、「タウラス杯」に参加したプレイヤーは、実際に目にしたものも多かったことでしょう。一方で、この「タウラス杯」の距離に合わない短距離勢のコメントは、目にする機会が少なかったはず。そこで、レース結果は一度諦め、ハルウララ、タイキシャトル、サクラバクシンオーのチーム編成で挑んだ際のコメントを、いくつか紹介したいと思います。
食事ネタに引き続き、ハルウララの勘違い第2弾がこちら。レースの醍醐味についての質問に、「レースは“おっきいゴミ”じゃないよ! ワクワクして、すっごく楽しいんだー!」と答えているハルウララ。どうやら、“醍醐味”を間違って捉えてしまった模様です。そのミスはともあれ、レースに対する想いはしっかりと伝わりました。
また、「どのような特訓をしたのか」と問われると、「いろいろやったよ! 1番おもしろかったのはねー、ライスちゃんとの手押し車!」と威勢良く答えるハルウララ。威勢の良さは満点ですが、果たしてどんな特訓なのか、想像もつきません。
独特な口調も印象的なタイキシャトルは、「併走パートナーとパーティーした次の日の早起きがベリーハードでシタ!」といったトレーニングの苦労話をコメントします。これは文字通りのパーティーではなく、おそらくトレーニングに熱が入ったという意味でしょう。パッと見は迷コメントっぽいものの、実はしっかりとした返答をしており、どことなくタイキシャトルらしさを感じさせる一言です。
そして、インパクトたっぷりのコメントを残してくれたのが、期待を裏切らないサクラバクシンオー。「意気込みを、四文字熟語でどうぞ」という質問もやや狙い打ちの感がありますが、「もちろん、バクシンです! ……それは2文字? いえ! 4文字で、バクシンです!!」と力強く断言。バクシンは“爆進”にあらず、しかも四文字熟語だったことが、この「タウラス杯」で判明しました。委員長のバクシンぶりは、新レースでも全くかげりを見せません。
決勝戦には、専用のコメントを用意! あのウマ娘は、大舞台でも相変わらず
短距離勢以上に貴重なのが、「タウラス杯」決勝ラウンドのコメント。何度もチャレンジできる予選と違うため、閲覧できる機会はごくわずか。今回は、筆者が巡り会った3人の決勝コメントをお届けします。
「月刊トゥインクル 増刊号」には決勝ラウンド用のコメントも用意されており、今回チェックできたのは3人の中では、ライスシャワーが最も健気な返答を見せてくれました。
「弊誌に『元気をありがとう』との声が届いています!」と伝えられたライスシャワーは、「……っ! えっとえっと! ライスも元気もらってて、だから……嬉しいな……えへへ」と答え、はにかんでいる様が目に浮かぶようです。彼女らしいこの反応に、ファンからは喜びの声が上がったことでしょう。
また「決勝戦を戦う上で秘策はありますか?」と問われたシンボリルドルフは、「実況者が呼びやすい名前に改名しようと思っている……ふふっ、冗談だ」と、余裕を伺わせるコメント。“会長”と“冗談”とくればダジャレを連想してしまいますが、今回は自信に裏付けられた軽口の類なので、これもまた決勝に挑む選手らしい一言です。
さすがに決勝ともなれば、どのウマ娘もコメントがしっかりしているのか。そんな予想をあっさり打ち破ってくれるのが、どこでもマイペースというか、いつでも自分を見失ってるというか、表現の仕方も悩ましいゴールドシップ。
質問自体は「決勝ですが、何か心配事はありますか?」と至極真っ当なのに、ゴールドシップの答えは「コースが変形するギミックの対策をしてきたんだけどよ、コマンドを忘れちまった……」といったもの。
コースは変形しません! 変形への対策ってなに? コマンドで対策が発動するの? 上上下下左右左右ゴルシなの? そして何で忘れるの!?
徹頭徹尾ツッコミどころと言いますが、噛み合った部分がひとつもないゴールドシップの返答。決勝戦を前に、ある意味堂々としたものです。これだけの大舞台を前にしても全く動じない彼女に、脱帽するしかありません。
迷コメントも多数飛び出した「タウラス杯」は先日幕を閉じ、今はレジェンドレースが展開中です。また、更なる新レースが『ウマ娘 プリティダービー』のこれからを彩ることでしょう。
レースの激戦も楽しいものですが、今回の「月刊トゥインクル 増刊号」のように、ウマ娘たちの個性が垣間見えるコンテンツも定期的に登場して欲しいものです。
「タウラス杯」は、プレイヤー同士がリアルタイムでマッチングし、それぞれのウマ娘たち(3人ずつ、計9人)がレースに挑んで勝敗を競うというもの。育成ランクB以下の「オープンリーグ」と、条件のない「グレードリーグ」のふたつがあり、参加者はいずれかのリーグにエントリーし、熾烈な戦いを繰り広げました。
また、この「タウラス杯」に挑むと、毎レースごとに自動的に生成される「月刊トゥインクル 増刊号」も、見所のひとつとして注目を集めます。自分やライバルが育てたウマ娘が紙面を飾り、彼女たちの個性が存分に発揮されているコメントも掲載。レースを更に盛り上げ、没入感を後押しする好演出も評判でした。
レースの結果も大事ですが、豊かなコメントの数々も気になるものばかり。大勝負に向けた想いを真剣に語るものが多かった一方で、意外な一面を見せたり、思わずツッコミを入れたくなるようなコメントも複数ありました。
残念ながら今回の「タウラス杯」は既に終了していますが、開催中にウマ娘たちが述べたコメントの中から特にユニークなものをピックアップし、今回お届けしたいと思います。どのウマ娘が、どんな迷コメントを残したのか。改めて振り返りつつ、駆け抜けた「タウラス杯」の激闘に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
迷コメントといえば、まずはこのウマ娘!「ゴールドシップ」の安定した迷走ぶり
「月刊トゥインクル 増刊号」の2面に、「注目のウマ娘」が3人ピックアップされており、各質問に対してそれぞれ個性が見えるコメントを返しています。
真面目な返答も多く、「緊張しないコツ」を聞かれたエアグルーヴは、「呆れるほどに鍛錬を積むことです。
絶対の自信の前では緊張など大海の一滴に過ぎません」と返答。勝負に臨む選手として、100点満点の答えと言えます。
一方、まともな返答なんてあり得ないだろうと誰もが最初に予想するゴールドシップは、その期待(?)に見事応えてくれました。「一番大変だったトレーニング」について問われると、「アタクシ考案の不可逆式セメント型抜きで首から下が固まった時は死を覚悟しましてよ」と回答。
まず、不可逆式セメント型抜きの意味が全く分かりません。しかし、危険性の高さだけは伝わってくるのが恐ろしいところです。その意味では、“一番大変だった”という質問にちゃんと答えているとも言えますが、そもそもなぜそんなトレーニングを考案し、実行したのか。担当トレーナーの苦労を思うと、涙が禁じ得ません。
ゴールドシップの迷言がひとつで終わるわけもなく、「ご家族へのメッセージ」を聞かれると、「生き別れた妹の伊勢海老にこれだけは伝えてぇ……黒潮から赤出汁は取れねぇってな!」と述べています。
実際の血統で考えると、彼女の妹にはフラワーシップがいますし、母親が同じという意味ではポイントキセキも妹です。また、本作の世界観に合わせて性別が女性になる可能性も考えると、実在上では弟のトレジャーマップなども、作中では妹候補と言えるかもしれません。
……と、ゴールドシップの妹は誰なのか色々と考えてみましたが、この発言だけの“でっちあげ妹”について語っている可能性もありますし、そもそも妹ではなく“妹の伊勢海老”へのコメントです。
というか、“妹の伊勢海老”ってなに? 黒潮から赤出汁は取れないのを伝える意味って? たった2行のコメントなのにツッコミどころばかりとか、ホントどうなってるんですがゴルシさん。
さらに「レース前のルーティンはありますか?」と聞かれると、「産地ごとに牡蠣を仕分けして心を落ち着かせる。それがゴルシ様のジャスティスだ」と豪語。それで気持ちが落ち着くなら、立派なルーティンと言えますが……扱っているモノが、最早業者レベルです。
シンボリルドルフのお馴染みっぷりから、ここでもハイ可愛いナイスネイチャまで!
もちろん、迷コメントを残したはゴルシだけではありません。ウマ娘たちの頂点に立ち、役職とレースの双方で導かんとするシンボリルドルフは、「皇帝の進撃は一掬の泥濘で止まりはしない」といった自信に満ちたコメントを返します。
さすが生徒会長……と賞賛したいところですが、「勝負メシは何を食べたか?」といった質問を受けると、「カツを食べて勝つ。この偉大なダジャレに敬意を表しながらトンカツを頂いた」と、流れるようにダジャレを盛り込んで(そのダジャレを)褒め称えます。いつも通りの言動なので、その落ち着きぶりを評価するべきかもしれませんが、敬意の方向が斜め上なのでやや不安に駆られます。
落差の激しい(主にダジャレで)シンボリルドルフと違い、日常生活から練習まで自分のスタンスを崩さないアグネスタキオンは、ゴールドシップと違う意味でマイペースを貫くウマ娘。その姿勢は、タウラス杯のコメントでも変わりません。
ゴールドシップも投げかけられた「一番大変だったトレーニング」について、彼女は「音速が体験できる装置の試運転かな。
Gの負荷まで再現して三半規管をやられたよ!」と、いつも通りのマイペースさで返答。
“不可逆式セメント型抜き”と比べると、まだレースに役立つような感じはします。が、モチーフ元の競走馬が「音速の貴公子」と呼ばれていたとはいえ、実際に音速に耐える訓練は果たして必要なのか、疑問が拭えません。それともウマ娘たちの速度は、もう少しで音速に手が届くレベルなのでしょうか。それを先取ったトレーニングと考えれば……いや、流石に時代の先端を行き過ぎです。
自分のペースを貫くといえば、まだ実装から日が浅いスマートファルコンもかなりのもの。「仕上がりはいかがですか」との質問に、「もちろん、ステップも歌もコーレスも、ば~っちりだよ♪ ──あっ、レースのこと?」と、その心はすでにレース終了後のステージに飛んでいます。1位を穫るのが大前提という自信の表れかもしれませんが、これもまた個性が浮き彫りになった返答と言えるでしょう。
また、トレーニングで気をつけている点を問われたマルゼンスキーは、「アフター5を満喫することね! 花金はフィーバーして気分をリフレッシュしてるわ♪」と明言。ご褒美があると頑張れる、もしくはメンタルケアに気を配っている、といった意味なのでしょうが、清々しいほどトレーニングそのものには触れていません。
そして、ある意味巻き込まれて迷コメントになったという例も。キングヘイローの場合は、最近失敗した出来事として、「スカイさんに薦められた教本で時間を無駄にしたわ! ネコちゃんパワーって何よ!?」と回答。
おそらくイタズラに引っかかったのでしょうが、「無駄にした」と言える程度の時間をその本にしっかり注ぎ込んだあたり、人柄が見えて微笑ましい限りです。
もうひとつ、巻き込まれた例として取り上げたいのがナイスネイチャです。これはインタビュアーが意地悪だったのですが、「福岡弁で、意気込みをどうぞ」といった無茶振りを突きつけられた彼女は、しかし「ばり頑張るけん、よろしゅうねー!」と淀みなく即答。躊躇なく相手が望む反応を返した、ナイスネイチャらしい見事な切り返しでした。
さらに「……って、なんで福岡弁!?(笑)」とツッコむことで、読者側の気持ちも代弁し、Q&Aとして綺麗な着地まで見せてくれます。こちらは返答側ではなく質問者側の迷コメントでしたが、ナイスネイチャのコミュ力の高さを改めて実感させられました。
ちなみに、ナイスネイチャのCVを担当している前田佳織里さんは福岡県の出身なので、その繋がりで生まれた質問なのかもしれません。なお、競走馬のナイスネイチャは、北海道生まれです。
関連性を踏まえると、繋がりが見えてくるコメントも
ウマ娘たちのコメントは単独で成立していますが、関連性を踏まえながら見ると味わい深いものもあります。その代表格とも言えるものを、ひとつ紹介します。まずは、「今回もカッコいい走りを期待しています!」に対するウオッカの返答がこちら。
「ふっ、そいつは見てのお楽しみ……って、こーゆー感じ、カッコよくないっすか!?」とコメント。
文字だけの掲載ですが、どんな口調でこの台詞を決め、その後同意を求めたのか。ウオッカの振る舞いが、まるで見えるかのようです。
さらに、「このレースの結果次第で、海外挑戦も?」と問われた時は、「ノーコメントで……」と、こちらでもクールな出足から始まります。が、その直後に「くぅ~~! これ1回言ってみたかったんだよなっ!!」と続き、むしろ感情を爆発。クールな寡黙さは微塵も残っていませんが、いずれもカッコよさにこだわるウオッカらしい返答でした。
そんなウオッカとライバル関係にあるダイワスカーレットは、「今回、マークしている選手はいますか?」との問いかけに対し、「いえ、特にいませんよ?」と回答。ですが、そこから「誰がカッコつけていようが、叫んでいようが気になりません」と続けています。
ダイワスカーレットのコメントを単独でみると、レースに向けて冷静さを心がける一選手の発言に見えます。しかし、ウオッカの発言を振り返ってみると、「カッコつけ」ていますし、「叫んで」もいます。ウオッカのコメントを一刀両断する、抜群の切れ味と言えるでしょう。
持論のカッコよさに痺れるウオッカと、そんな彼女に容赦ない一太刀を浴びせるダイワスカーレット。見事なカウンターが決まったようにも思えますが、「気になりません」と言いつつもウオッカを意識しているダイワスカーレット、という解釈もできます。
「タウラス杯」という舞台でも、ふたりの在り方は健在のようです。
<cms-pagelink data-text="レースへの質問が、なぜか食事に関する話に……。短距離勢や決勝専用のコメントも" data-page="2" data-class="center"></cms-pagelink>
彼女たちと食事の話は切っても切れない!? 「健康的ウマ娘」大集合
「月刊トゥインクル 増刊号」は1面も凝っており、これから展開する激戦をさらに盛り上げる見出しを大きく掲載しています。……が、たまに路線が少々変わることもあり、例えば「そんな食事で大丈夫か? 健康的ウマ娘」といった見出しが出る時も。
しかし食事について語るのは、この見出しだけではありません。大食漢でも知られているオグリキャップは、日々の心がけとして「……よく寝て、よく食べて、よく食べることだ」と語っています。確かに、栄養面の管理も重要なポイントのひとつ。その意味で、決して間違ったことは言ってませんが……「よく食べること」を2回繰り返す強調ぶりが、なんともオグリキャップらしいところです。
さらに、「レースに勝ったら、まずやりたいことは?」の質問に対して、「もちろん、故郷に──」と真面目な切り口で始めるオグリキャップ。ですが、直後に腹の音が鳴ってしまい、「……ひとまず、ご飯を食べる」と、やはり食事の話に軟着陸。空腹は、まず取りかかるべき一大事。それはレース後でも変わりません。
また、こちらも巻き込まれるような形で、迷コメントになってしまった回答者がいます。減量の効果について訊ねられたメジロマックイーンは、「あまり……」と浮かない様子で答えました。その理由は、「ゴールドシップさんときたら、これ見よがしにドーナツを掲げて……!」といったコメントから察することができます。
ゴールドシップに振り回されるメジロマックイーンという構図は、『ウマ娘』ファンにとってはお馴染みの光景。今回の減量でも、その罠に見事ハマってしまったようです。とはいえ、減量がうまくいかなかったのは、その意地悪に屈したのが原因なのでは……いえ、これ以上の追求は野暮なので、そっとしておきましょう。
「勝負メシは何を食べましたか?」と聞かれたハルウララは、「なにそれ!? どこで食べられるの!? しょーぶメシ食べてみたーい!!」と興味津々に返答。どうやら、特定にメニューだと勘違いしたようです。レース場の食堂あたりなら、そんなメニューもあるかも?
食事についての話なら、こちらも負けていない(?)のがスペシャルウィーク。ハルウララと同じ問いを投げかけられ、「にんじんハンバーグにパスタ、あとオムライスです!」と流暢に答えます。ですが、淀みなく三品挙げた後に「あれ、どれが勝負メシ……?」と自問自答する場面も。健啖家ゆえに、難しい質問になってしまった模様です。
食事絡みのコメントで最後の紹介するのは、ちょっと意外かもしれないミホノブルボンです。「レースやトレーニングのない日の過ごし方」について聞かれると、「時々、友達と『カフェへバクシーン!』することがあります」と、なかなかインパクトのあるコメントを残しました。
休みを利用してにカフェに行く、と考えれば何もおかしくありませんが、その表現が「バクシーン!」なのは、明からに特定のウマ娘からの影響と思われます。とはいえ、ミホノブルボンの人柄を踏まえると、ウキウキとカフェに向かうより、バクシーンしている方が想像しやすい気もするので、意外と的を射た表現なのかもしれません。
短距離勢からも、期待を裏切らない迷コメントが!
ここまで様々なコメントを紹介してきましたが、「タウラス杯」に参加したプレイヤーは、実際に目にしたものも多かったことでしょう。一方で、この「タウラス杯」の距離に合わない短距離勢のコメントは、目にする機会が少なかったはず。そこで、レース結果は一度諦め、ハルウララ、タイキシャトル、サクラバクシンオーのチーム編成で挑んだ際のコメントを、いくつか紹介したいと思います。
食事ネタに引き続き、ハルウララの勘違い第2弾がこちら。レースの醍醐味についての質問に、「レースは“おっきいゴミ”じゃないよ! ワクワクして、すっごく楽しいんだー!」と答えているハルウララ。どうやら、“醍醐味”を間違って捉えてしまった模様です。そのミスはともあれ、レースに対する想いはしっかりと伝わりました。
また、「どのような特訓をしたのか」と問われると、「いろいろやったよ! 1番おもしろかったのはねー、ライスちゃんとの手押し車!」と威勢良く答えるハルウララ。威勢の良さは満点ですが、果たしてどんな特訓なのか、想像もつきません。
独特な口調も印象的なタイキシャトルは、「併走パートナーとパーティーした次の日の早起きがベリーハードでシタ!」といったトレーニングの苦労話をコメントします。これは文字通りのパーティーではなく、おそらくトレーニングに熱が入ったという意味でしょう。パッと見は迷コメントっぽいものの、実はしっかりとした返答をしており、どことなくタイキシャトルらしさを感じさせる一言です。
そして、インパクトたっぷりのコメントを残してくれたのが、期待を裏切らないサクラバクシンオー。「意気込みを、四文字熟語でどうぞ」という質問もやや狙い打ちの感がありますが、「もちろん、バクシンです! ……それは2文字? いえ! 4文字で、バクシンです!!」と力強く断言。バクシンは“爆進”にあらず、しかも四文字熟語だったことが、この「タウラス杯」で判明しました。委員長のバクシンぶりは、新レースでも全くかげりを見せません。
決勝戦には、専用のコメントを用意! あのウマ娘は、大舞台でも相変わらず
短距離勢以上に貴重なのが、「タウラス杯」決勝ラウンドのコメント。何度もチャレンジできる予選と違うため、閲覧できる機会はごくわずか。今回は、筆者が巡り会った3人の決勝コメントをお届けします。
「月刊トゥインクル 増刊号」には決勝ラウンド用のコメントも用意されており、今回チェックできたのは3人の中では、ライスシャワーが最も健気な返答を見せてくれました。
「弊誌に『元気をありがとう』との声が届いています!」と伝えられたライスシャワーは、「……っ! えっとえっと! ライスも元気もらってて、だから……嬉しいな……えへへ」と答え、はにかんでいる様が目に浮かぶようです。彼女らしいこの反応に、ファンからは喜びの声が上がったことでしょう。
また「決勝戦を戦う上で秘策はありますか?」と問われたシンボリルドルフは、「実況者が呼びやすい名前に改名しようと思っている……ふふっ、冗談だ」と、余裕を伺わせるコメント。“会長”と“冗談”とくればダジャレを連想してしまいますが、今回は自信に裏付けられた軽口の類なので、これもまた決勝に挑む選手らしい一言です。
さすがに決勝ともなれば、どのウマ娘もコメントがしっかりしているのか。そんな予想をあっさり打ち破ってくれるのが、どこでもマイペースというか、いつでも自分を見失ってるというか、表現の仕方も悩ましいゴールドシップ。
質問自体は「決勝ですが、何か心配事はありますか?」と至極真っ当なのに、ゴールドシップの答えは「コースが変形するギミックの対策をしてきたんだけどよ、コマンドを忘れちまった……」といったもの。
コースは変形しません! 変形への対策ってなに? コマンドで対策が発動するの? 上上下下左右左右ゴルシなの? そして何で忘れるの!?
徹頭徹尾ツッコミどころと言いますが、噛み合った部分がひとつもないゴールドシップの返答。決勝戦を前に、ある意味堂々としたものです。これだけの大舞台を前にしても全く動じない彼女に、脱帽するしかありません。
迷コメントも多数飛び出した「タウラス杯」は先日幕を閉じ、今はレジェンドレースが展開中です。また、更なる新レースが『ウマ娘 プリティダービー』のこれからを彩ることでしょう。
レースの激戦も楽しいものですが、今回の「月刊トゥインクル 増刊号」のように、ウマ娘たちの個性が垣間見えるコンテンツも定期的に登場して欲しいものです。
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