1993年にスーパーファミコン用ソフトとして発売されて以来、今もなお根強い人気を誇る不朽の名作『ロックマンX』シリーズ。同シリーズには主人公の「エックス」を含めて魅力的なキャラクターが多数登場しますが、中でも特に高い人気を集めているのは“赤い閃光”「ゼロ」でしょう。


しかし、ゼロに秘められた過去については意外と知られていません。今回はそんなゼロを、出自や過去も含めて解説していきます。

もうひとりの英雄・ゼロ
ゼロは、主人公のエックスと共に人類へ害をなすレプリロイド(イレギュラー)を鎮圧する部隊「イレギュラーハンター」の一員として、第一作目の『ロックマンX』から登場。後に「イレギュラー戦争」と呼ばれる戦いに身を投じ、かつての上司だった「シグマ」と幾度となくぶつかり合います。

特徴的な赤いカラーリングはもちろん、長く伸びた金髪と「ゼットセイバー」(X2ではビームサーベル)も魅力的なゼロ。ですが、『ロックマンX』では今より丸みを帯びたボディで、武器も遠距離武器の「ゼロバスター」のみ。色や髪の毛以外、エックスとの差別化はそこまでされてなかった印象です。

しかし、同作の戦いの中で大破し、続編の『ロックマンX2』で復活。その際に改造を施され、現在のイメージへと変わっていきます。なお、この時点でメインウェポンがゼットセイバーに変更され、ゼロの代名詞に。代償として、「ゼロバスター」は徐々にフェードアウトしていきました。

ちなみに、当初ゼロはプレイアブルキャラクターではなく、『ロックマンX3』にてようやく限定的ながら操作することが可能に。
そして、『ロックマンX4』で正式にプレイアブル化されました。なお、同作はエックスよりもゼロにフォーカスが当たっており、謎に包まれていたゼロの過去も明かされています。ちなみに、この時を境にエックスの影が薄くなっていったという説も…。

全ての元凶はゼロだった!?
『ロックマンX4』の作中アニメーションによると、ゼロは当時イレギュラーとして発見されています。しかも、性格は現在と打って変わって凶暴で、かつ高い戦闘能力を誇っており、鎮圧に向かったイレギュラーハンターを全て返り討ちにするほど。そこで、彼に対抗するべく出向いたのが当時最強のレプリロイドと謳われていたシグマだったのです。

最初こそゼロに対して余裕を見せていたシグマですが、戦闘が進むにつれて一転。ゼロの持つ敵の動きをインプットする「ラーニングシステム」によって形成を逆転され、破壊寸前まで追い詰められてしまいます。しかし、突如ゼロの額に「W」の文字が浮かび上がり、何やら苦しそうな様子。シグマはなんとかこの隙を突いて、ゼロを戦闘不能に追いやりました。

ちなみにこの戦闘は、後に起こる悲劇の引き金となっています。実は「ロボット破壊プログラム」というウイルスがゼロに搭載されており、シグマがゼロの額を割ったことで両者が感染。
その影響でゼロは現在の性格になり、反面シグマはイレギュラー化してしまい、謀反を起こすに至りました。ちなみに、このウイルスはシグマの中で独自の進化を遂げて「シグマウイルス」へと変貌。シリーズで起こる数々の事件の元凶となっています。

ゼロを制作したのはあの名物博士!?
そんな悲劇を引き起こす原因となったプログラムをゼロに組み込んだのは、一体誰なのでしょうか。当然、ゼロも機械の身体なのですから、誰かによって制作されているはず。ここで注目したいのは、ゼロの額に浮かんだという「W」の文字。もしかすると、彼を制作したのは「ロックマン」シリーズのボスキャラクターでお馴染みの「アルバート・W・ワイリー」なのではないでしょうか。

実はアーケード向けゲーム『ロックマン2・ザ・パワーファイターズ』で、ワイリーはゼロの制作に着手していたようで、エンディングでは彼の設計図が映し出されていました。また『ロックマンX4』及び『ロックマンX5』でゼロが見る悪夢の中に、ワイリーとよく似た人物のシルエットが登場しています。

このワイリーと思わしき人物はゼロへエックスの破壊を命じているのですが、それはおそらくエックスがライバルである「トーマス・ライト」によって作られたロボットだからでしょう。ワイリーといえば、「ロックマン」シリーズでロボットによる世界征服を目論んだマッドサイエンティストですが、どうやら「ロックマンX」ではエックスの破壊に執着しているようです。なお、ワイリーはその執着のあまり、作中で他のキャラクターとして出演しているとか、していないとか…。


ちなみに、そんなゼロを含む『ロックマンX』シリーズの登場キャラクターを操作して遊べる『ロックマンX DiVE』が、スマートフォン向けアプリとして好評配信中。本作にてゼロは、シリーズの隠し要素だった「ブラックゼロ」や『ロックマンX5』で登場した「覚醒ゼロ」としても登場しているので、是非プレイしてみてください。
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