格闘ゲームのソロモードでは、並々ならぬ力量をもった「ラスボス」が立ちふさがるもの。その中にはあまりに難易度が高すぎるため、“伝説の存在”となったキャラクターも少なくありません。
本稿ではそんな「強すぎるラスボス」の内、3人をご紹介していきましょう。

“パーフェクトソルジャー”の名に偽りなし!「ジェネラル」
まず取り上げたいのは、1994年にタイトーから発売されたアーケード用ゲーム『カイザーナックル』。作中である条件を満たした際に登場するのが、ジェネラルという名のラスボスです。

実はこのキャラクター、ゲーマーが「格ゲー史上最強のラスボスは誰か?」を議論する際、必ずと言っていいほど名前の挙がる強敵。『カイザーナックル』をプレイしていなくても、名前を聞いたことはあるという方も多いのではないでしょうか。

特筆すべきは、その技性能の隙のなさ。飛び道具として、自身とほぼ同じ大きさの弾を前/斜め前/上の3方向に同時に放ちます。しかも、こちらの飛び道具をかき消すという凶悪な性能。そのほかにもガードすると追撃確定のスライディング、出始めから出終わりまで完全無敵のワープ技など、多彩な技によってプレイヤーを攻めてきます。

その強さは、彼の作中での異名“パーフェクトソルジャー”そのもの。未だにチャレンジする人が後を絶たず、格ゲーの聖地である高田馬場のゲームセンター「ゲーセンミカド」では定期的に「ジェネラルチャレンジ」が実施されています。

ちなみにその様子はYouTubeにて、動画としてアップロードされている模様。
歴戦の格ゲーマーたちが、鬼神の如き強さのジェネラルに挑む姿は必見です。

これが“100%中の100%”!「戸愚呂(弟)」
ジェネラルと並んで最強の呼び声が高いのが、『THE BATTLE OF 幽☆遊☆白書 ~死闘!暗黒武術会~ 120%フルパワー』にラスボスとして登場する戸愚呂(弟)です。

同作は、『週刊少年ジャンプ』の人気漫画『幽☆遊☆白書』をもとにした格闘ゲーム。原作の戸愚呂(弟)は「暗黒武術会」の決勝戦にて、主人公・浦飯幽助を極限まで追い詰める強敵でした。

原作を忠実に再現しているのか、ゲームにおいても戸愚呂(弟)の強さは圧倒的。その秘密は、信じられないほどの“タフネスの高さ”にあります。他のキャラクターより体力ゲージが多い上に、時間経過で自動的に体力を回復するリジェネ能力持ち。さらにコンボを食らっている最中に敵を弾き飛ばす、いわゆる「バースト」技をノーコストで使用可能です。

この時点でプレイヤーとの体力差は歴然。さらに戸愚呂(弟)の飛び道具「指弾」は、プレイヤーの最大体力値を削る効果があり、より絶望が深まっていきます。おまけに削られた最大体力値は、ラウンドを越えても元に戻りません。

あまりに圧倒的な強さから、勝つためには特定のキャラクターによる「ハメ技」しかない…とすら長年言われてきた驚異のラスボス。
しかし2021年になり、ようやくハメ技を使わずに勝つ猛者が登場しました。

格ゲーを中心に動画配信を行っているgogo midouさんは、実に3,000回近いコンティニューの末、戸愚呂(弟)を撃破。その奇跡的な瞬間が収められた動画「格ゲー最強ボスを倒す!『戸愚呂弟100%ハメなしチャレンジ』ゆっくり実況 レトロ格ゲー」は、すでに120万回以上再生されています。

マウントポジションの恐怖…「レオン・グランシエーロ」
ジェネラルや戸愚呂(弟)には知名度で劣りますが、最強候補に挙げたいのがレオン・グランシエーロ。川原正敏先生の格闘マンガ『修羅の門』を題材としたPSソフト『修羅の門』に登場するラスボスです。

原作は、格闘マンガの世界にいち早く異種格闘技戦を取り入れた意欲作。ゲームの方もその流れを汲んでか、当時の格ゲーでは革新的なシステムで、異種格闘技戦を再現しようと試みています。しかしそのシステムを最も悪用(?)しているのが、レオン・グランシエーロでした。

同ゲームは、「骨折」システムを導入しているのが特徴。組技によって腕を破壊するとパンチ技を封じることが可能で、足を破壊すると移動力を下げられます。これによって、打撃でダメージを与える空手家と、組技で相手の行動を封じるプロレスラー・柔術家を差別化する意図があるのでしょう。

しかし「グラシエーロ柔術」を操るレオン・グランシエーロは、ゲームバランスを崩壊させるほど強力。
いとも簡単にマウントポジションを取るタックルで、ボタン1つでタックルから組技に移行。追加入力により、簡単に相手の腕を折ることも可能です。

さらに恐ろしいのはここから。四角ボタンでマウントポジションを取ったあと、追加入力するとパンチを放つのですが、このムーブを確定で逃れる方法がありません。しかもボタンを連打することで、半永久的に継続可能。試合によっては、マウントポジションからのパンチだけで終わってしまうことも…。

たんなるラスボスにとどまらず、プレイアブルキャラクターとして参戦しているのもレオン・グランシエーロの恐ろしいところ。あまりに凶悪な性能から、対人戦では禁止扱いになること間違いなしと言えるでしょう。

以上、格闘ゲームの歴史に名を残してきた「強すぎるラスボス」3選をご紹介。これから先、彼らに匹敵するようなラスボスは現れるのでしょうか…?
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