環境上位デッキの多くに採用されている、現代遊戯王を代表すると言っても過言ではない4枚の汎用カード「灰流うらら」「増殖するG」「墓穴の指名者」「抹殺の指名者」について、その強みを徹底解説します。
◆相手の展開を妨害!幅広いデッキに通用する「灰流うらら」
遊戯王において、ほぼ全てのテーマデッキで利用するのが「デッキを通した動き」です。例えば好きなカードをデッキから手札に加えたり、モンスターをデッキから特殊召喚したり、墓地発動カードを使うためにデッキから墓地へ送ったり。多くのデッキでは、満足のいく盤面を目指すために必ず利用します。
そんな重要行為の数々を、「灰流うらら」は無効にできるのです。カードテキストは以下の通り。
【灰流うららのカードテキスト】
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。1:以下のいずれかの効果を含む魔法・罠・モンスターの効果が発動した時、このカードを手札から捨てて発動できる。その効果を無効にする。
・デッキからカードを手札に加える効果
・デッキからモンスターを特殊召喚する効果
・デッキからカードを墓地へ送る効果
見てわかる通り、その真価は「妨害」にあります。相手ターン中、自分の手札に「灰流うらら」があれば、デッキを通した動きに1回だけ「待った!」を掛けられるわけ。このような相手効果に誘発して手札から使うカードを、界隈では「手札誘発」と呼びます。
デッキによっては、キーカードを手札に加えなければ満足に動けない、あるモンスターを特殊召喚しないと中途半端な盤面になるなど、たった1枚で動きが止まってしまう場合も少なくありません。そこで「灰流うらら」を使われたら、相手としては堪ったもんじゃないのです。
もし後攻になった際、最初に引けていればラッキー!先攻1ターン目は魔法・罠カードがなく、相手が好き勝手動ける大チャンス。それに対抗できる数少ない手段が、「灰流うらら」をはじめとする手札誘発なのです。これを意識して、必要最小限の手札誘発を入れている人も少なくありません。
なお、「灰流うらら」は1ターンに1度しか使えないので、使いどころは慎重に選びましょう。デッキを通した動きであっても、そこまで重要でない場合があります。ここは経験がものを言うので、実戦で「このデッキはここで止められると弱い」を学んでいきましょう。
◆手札補充だけじゃない!相手の動きも牽制できる「増殖するG」
遊戯王のデッキコンセプトとして、モンスターを多数召喚し盤面を形成していく「展開系」があります。環境上位デッキでいえば電脳堺や幻影騎士団、ドライトロンなどのこと。こられに限らず、ほぼ全てのデッキは「モンスターの特殊召喚」をしなければ勝負になりません。
ここで活躍するのが「増殖するG」。
【増殖するGのカードテキスト】
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できず、相手ターンでも発動できる。1:このカードを手札から墓地へ送って発動できる。このターン、以下の効果を適用する。
・相手がモンスターの特殊召喚に成功する度に、自分はデッキから1枚ドローしなければならない。
先ほど紹介した「灰流うらら」と同じく、手札誘発に数えられる1枚。相手が特殊召喚した際、チェーンして使えば最低1枚ドローは確実です。また、そのドロー数に際限はなく、例えば相手が特殊召喚を7回行ったなら、こちらも7枚ドローできます。
手札補充もさることながら、もう1つの強みが「相手の動きを牽制できる」こと。手札が増えれば増えるほど、より柔軟な動きができるのは言うまでもありません。
ちなみに、この効果で「灰流うらら」を引ければもちろん使えます。妨害の機会を増やすことにも繋がりかねないので、必要最小限の展開で済ませたり、そのまま魔法・罠をセットしてターンエンドしたりと、相手の動きをためらわせるのです。
「灰流うらら」と同じ理由で、こちらも後攻になった際、最初に引けていればラッキー!ただし、中にはドローを気にせず展開する人もいます。幻影騎士団でよく見られる「No.86 H-C ロンゴミアント」なんかを出されると堪ったもんじゃないので、念のため「灰流うらら」などの手札誘発をセットで入れるのがオススメです。
◆「増殖するG」は「灰流うらら」に弱い!
話を変えて、ここからは「灰流うらら」の“もう1つの強み”を紹介。実は「増殖するG」の対抗手段として活躍します。デッキからカードを手札に加える効果なので、チェーンして使えば完全無効化。そのターン中であれば、いくら特殊召喚しても「増殖するG」の効果で相手はドローできません。
妨害だけでなく、先攻時は「増殖するG」の保険としても活躍できることから、多くのデッキで採用されているのです。この2枚を出し合う光景は、遊戯王で珍しくありません。
◆手札誘発を潰せ!墓地効果モンスターにも有効な「墓穴の指名者」
ここまでに紹介した「灰流うらら」と「増殖するG」は、後攻時の妨害として使われる機会が多め。
速攻魔法「墓穴の指名者」を使えば、それらの抵抗を無効化できるのです。カードテキストは以下の通り。
【墓穴の指名者のカードテキスト】
1:相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを除外する。次のターンの終了時まで、この効果で除外したモンスター及びそのモンスターと元々のカード名が同じモンスターの効果は無効化される。
相手の墓地モンスターを除外し、そのモンスター効果を無効化するというもの。「灰流うらら」と「増殖するG」を含めて、基本的に手札誘発は「墓地へ送って」発動します。発動時にはすでに墓地なので、「墓穴の指名者」の対象として無効化できるわけ。多くのデッキにおいて、先攻時の手札誘発対策で活躍します。
もちろん手札誘発以外にも使用可能。
さらに嫌らしいのは、無効化されるのが「次のターン終了時」までなのと、対象が「除外したモンスターと同名のカード」にまで及ぶこと。相手ターン中にも墓地から発動できるカードや、墓地発動以外の効果を持つモンスターが複数枚入っていた際は、大きなアドバンテージとなります。
ただし、次のターンまで無効化されるのは「相手だけでなく自分」にも及ぶため、もし自分のターンで「灰流うらら」を無効化した場合、次の相手ターンはこちらも「灰流うらら」を使えません。そこだけは要注意です。
◆ここまでの3枚を狙い撃ち!条件付きの対策カード「抹殺の指名者」
ここまでに紹介した「灰流うらら」「増殖するG」「墓穴の指名者」は、いずれも汎用性の高いカード。それ故に活きるのが速攻魔法「抹殺の指名者」です。条件付きではありますが、この3枚を無効化できます。カードテキストは以下の通り。
【抹殺の指名者のカードテキスト】
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。1:カード名を1つ宣言して発動できる。
少し「墓穴の指名者」と似ていますが、対象が墓地に縛られなかったり、モンスターだけでなく魔法・罠にも使えたり、除外されるのが自分のカードだったりします。何よりも特徴的なのが発動条件で、無効化するためには「対象と同じカード」がデッキに入っていなければなりません。
先ほど「灰流うらら」「増殖するG」「墓穴の指名者」の汎用性が高いため活きるとしたのもこれが理由。この3枚は多くのデッキで使用機会があり、かつ相手デッキにも入っている可能性が高いため、ピンポイントな発動条件を満たせるのです。
使い方は「墓穴の指名者」と同じく、先攻時の手札誘発対策で活躍。デッキに入っていれば、墓地へ送らず発動できる「原始生命態ニビル」、そもそも罠カードな「無限泡影」など、「墓穴の指名者」で無効化できない手札誘発にも対抗できます。また、無効化されるのがターン終了時までなので、もし自分のターンで「灰流うらら」を無効化しても、次の相手ターンには使用可能となっているのが嬉しいところ。
ただし、相手がそういったカードを使ってこない場合、完全に役立たずとなります(※微々たるものですが、いらないカードを除外し必要なカードを引きやすくする「デッキ圧縮」には使えます)。相手デッキのキーカードをピンポイントで狙い撃ちするのも難しいので、やはり「灰流うらら」「増殖するG」「墓穴の指名者」などの対抗手段として使うのが一般的です。
◆「灰流うらら」に止められた「増殖するG」を押し通せ!
魔法がセットできない1ターン目の後攻側を除き、先ほど紹介した「増殖するG」が「灰流うらら」で無効化されるのを、「墓穴の指名者」または「抹殺の指名者」で解決できます。チェーンして使えば「灰流うらら」が無効化され、「増殖するG」を押し通せるのです。
よくあるパターンは、先攻で「墓穴の指名者」または「抹殺の指名者」を使わず、セットしてターンエンド→相手ターンに「増殖するG」を発動→相手が「灰流うらら」で無効化→「墓穴の指名者」または「抹殺の指名者」でさらに無効化し、「増殖するG」を発動するという流れ。
ちなみに「抹殺の指名者」は、「墓穴の指名者」および相手の「抹殺の指名者」にも使えるので、この流れに相手が「抹殺の指名者」を使い、けっきょく「増殖するG」が無効化されるということも稀にあります。
本記事で紹介した4枚は、どんなデッキに入れても活躍できる性能をしています。一部では「後攻で手札誘発を引けなかったら厳しい」とも言われるほど、手札誘発は大事。その妨害を防げる「墓穴の指名者」と「抹殺の指名者」も大活躍するというわけ。
『遊戯王 マスターデュエル』公式Twitter(@YuGiOh_MD_INFO)を通して紹介されている、遊戯王カードゲームインストラクターの「オススメデッキレシピ」を見ても、多くのデッキでこの4枚が入っているのを確認できると思います。その強みを覚えて、自身のデュエルに役立ててください。