『テイルズ オブ』シリーズといえば、バンダイナムコエンターテインメントが誇るRPGゲームの金字塔。その作品群には、何十年経っても色あせない魅力が秘められています。
今回は初期3作品を題材として、いかに魅力的なゲームだったのか振り返っていきましょう。

ファンタジーの王道『テイルズ オブ ファンタジア』
記念すべきシリーズ第1作『テイルズ オブ ファンタジア』は、1995年にSFCで発売。主人公・クレスとその仲間たちが、復活した魔王・ダオスを倒すために、さまざまな時代を旅するという壮大なファンタジーでした。

まさしく王道のストーリー展開なので、令和を迎えた現代でも親しみやすさを感じられるはず。漫画やアニメなどでお馴染み、中世ヨーロッパをモチーフとしたいわゆる“中世ファンタジー”であり、「魔王」と「勇者」の鉄板ストーリーであることもたまりません。

また、エルフやドワーフなどの異種族、イフリートやウンディーネといった精霊が登場する北欧神話をモチーフとした世界観も、決して古びていない魅力です。昨今のファンタジーブームの源流として、影響力を及ぼしたと言っても過言ではないでしょう。

伝説の中二病セリフを生んだ『テイルズ オブ デスティニー』
第2作目の『テイルズ オブ デスティニー』は、1997年にPS向けソフトとして発売されました。同作を語る上で外せないのが、ライバルキャラクターであるリオン・マグナスのかっこよさです。

リオンは主人公のスタンと同じソーディアン・マスターとして、時に衝突しつつも、協力していくことになります。クールな性格や、片目を黒髪で隠したヘアスタイル、色白で細面なビジュアル、そして大人気声優・緑川光によるボイス…。どこをとっても魅力的なリオンに、当時のファンは酔いしれました。


その反面、キャラクター造形が秀逸すぎたあまり、多くの「中二病」患者を生み出したという功績も。リオンの「闇の炎に抱かれて消えろ」というセリフは、ファンならば誰もが真似したくなるセンスでした。ちなみにこのセリフは大人気ライトノベル『中二病でも恋がしたい!』でも引用され、中二病の代名詞として扱われています。

そんなリオンですが、続編である『テイルズ オブ デスティニー2』にも重要キャラクターとして出演。リメイク版『テイルズ オブ デスティニー ディレクターズカット』では、物語をリオンの視点から描いた「リオンサイド」が収録されるなど、その人気は計り知れません。

やれやれ系主人公の元祖!?『テイルズ オブ エターニア』
シリーズ3作目にあたるのが、2000年にPSで発売された『テイルズ オブ エターニア』。メインキャラクターであるリッドは、当時のRPGとしては、かなり変わった性格の持ち主でした。

リッドの職業は、平凡な村に住む普通の猟師。自然体で生きることを信条としていて、「食べたいときに寝たいだけ寝る、寝たいときに食べたいだけ食べる、何も起きず平穏ならそれが一番」と公言してはばかりません。

『エターニア』の物語は、そんな彼が空から降ってきた言葉の通じない少女・メルディと出会うことから始まります。いつの間にか世界の存亡を賭けた戦いに巻き込まれるリッドですが、事態が大きくなっても本質は変わりません。本人は静かに暮らしたいのに、周りが放っておいてくれない…というスタンスを見せるのです。


このようなキャラクター造形は、今では「やれやれ系」として、多くの作品で見られるようになりました。ですが当時は、かなり斬新な設定だった印象。いわばリッドは、「やれやれ系」主人公の元祖と言える存在なのかもしれません。

20年以上にわたり、愛され続けている『テイルズ オブ』シリーズ。初期作品には、その神髄と言うべき魅力がたっぷり詰まっているようです。
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