リマスター発表で注目集まる『ミンサガ』ってどんなゲーム？─名作を刺激的に蘇らせ、シリーズ集大成との呼び声も

「サガ」シリーズの最新情報を明かす公式生放送番組が5月31日に行われ、ニンテンドースイッチ/PS5/PS4/Steam/iOS/Android向けRPG『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』が発表されました。この発表に多くの方が反応し、Twitterなどでも喜びの声が広がっています。しかし、リマスター版の原作にあたる『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』（以下、ミンサガ）を知らない方からすれば、なぜこれだけ盛り上がるのか疑問に思っても不思議ではありません。リマスター版の元となる『ミンサガ』とはどんなゲームなのか。また、なぜ話題になっているのか。今回は、その特徴や背景へと迫ります。なお、本記事で使用する画像は全て、『ロマンシング サガ -ミンストレルソング- リマスター』のものです。■シリーズに新たな流れを加えた名作と深い関係を持つ『ミンサガ』『ミンサガ』のリマスター化に注目が集まる理由を理解するには、まず「サガ」シリーズの歴史に触れる必要があります。「サガ」シリーズの記念すべき1作目『魔界塔士 Sa・Ga』が、1989年にゲームボーイソフトとして登場。その後、『Sa・Ga2 秘宝伝説』『時空の覇者 Sa・Ga3 [完結編] 』が同ハードでリリースされ、シリーズの黎明期を支えました。この時点で確固たる支持を獲得していましたが、その人気に胡座をかくことなく、「サガ」シリーズは新たな挑戦を開始。舞台をスーパーファミコンへと移し、意欲作として評価された『ロマンシング サ・ガ』をリリースしました。『ロマンシング サ・ガ』は、「自由度が高いフリーシナリオ」「プレイ進行に応じてゲーム内世界の時間が経過」「フィールドマップの廃止」といった、当時のRPGには珍しかったシステムの数々を搭載。この挑戦心と、そこから生まれた刺激的な体験が、多くのユーザーを魅了しました。ですが、斬新な要素が多かった分、荒削りな面があったのも否めません。そのため『ロマンシング サ・ガ』は、魅力的な原石を磨き上げたものの、無骨なまま残ってしまった一面も併せ持つ作品となりました。そんな『ロマンシング サ・ガ』の魅力を受け継ぎ、物語やフリーシナリオなどの要素を受け継ぎつつリメイクしたのが、2005年に発売された『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』──本記事の主役である『ミンサガ』です。■名作をリメイクし、さらなる挑戦に臨んだ『ミンサガ』リメイク作の『ミンサガ』は、フリーシナリオをはじめとする『ロマンシング サ・ガ』の特徴を多数受け継ぎながら、キャラクターデザインを一新し、設定の一部も変更。さらに、新キャラの「ダーク」や、設定だけの存在だった「海賊シルバー」を登場させるなど、シリーズ全般に通じる挑戦心の高さが本作でも見られました。特に戦闘システムは、『ロマンシング サ・ガ2』以降に生まれた「閃き」や「連携」といったシリーズお馴染みの要素を積極的に取り入れ、『ロマンシング サ・ガ』当時ではあり得なかった「サガ」シリーズならではのバトル体験を『ミンサガ』で構築。その完成度も素晴らしく、「このリメイクで『ロマサガ』が完成した！」と感じたファンもいました。主人公が8人おり、その関係から周回プレイに励むユーザーもいましたが、繰り返し遊ぶとメリットのあるシステムなども用意され、遊びやすさも向上。また、周回しても敵とのバトルに緊張感があるバランス調整も絶妙で、戦闘に関しては「サガシリーズの集大成」との意見も飛び出すほどでした。「サガ」シリーズの転機となった『ロマンシング サ・ガ』をベースに、無難な安定ではなく、チャレンジに徹したリメイクで名作を生まれ変わらせた『ミンサガ』。数々の大胆な挑戦が、そのまま高い評価へと繋がった一作です。こうした経緯や作品自体の魅力から、今も『ミンサガ』はファンに根強く支えられています。そのため今回のリマスター化発表に、多くの方々が反応したのも頷ける話です。しかも、『ミンサガ』で指折りの入手難易度を誇った「青の剣」が、リマスター版では「取りやすくなってる」と開発陣がコメント。この点もまた、大きな話題となりました。こうした調整は他の面にも及ぶ可能性もあります。さらに遊びやすくなれば、ファンが喜ぶのはもちろん、新規ユーザーにとっても入りやすくなり、良いこと尽くしです。どのような形で『ミンサガ』が令和に蘇るのか、今後も熱い視線が集まることでしょう。(C)SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI